Sep,28,2012

私たちの赤裸々な日常をつづったチャリダー日記、インド・ラダック編Vol.2。
今回は、パドゥム周辺の観光から、ザングラに到着してトレッキングの準備を整えるまでの日記です。
なお、GoogleMap、標高プロファイル、距離一覧表、簡単なホテル情報をNotesにまとめてありますので、そちらも参照して下さい。
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2012.08.01 Padum (Karsha) 20km Hotel

今日から2日間サニで祭りがあるはずだったのだけれども、ダライラマが来ていた関係で僧侶たちが祭りの練習ができなかったとかなんとかで今日の祭りはキャンセルになり、明日のみになるという。ダライラマが来ることは前々から決まっていただろうし、祭りの日程も決まっていたはずなのに、意外と適当なんだな。
そんなわけで今日は予定を変更してカルシャ・ゴンパへ行くことに。岩壁にへばりつくように建てられているゴンパの麓に自転車を停め、歩いてゴンパへ向かう。ゴンパそのものが小さな村のようになっていて、小さな家々をつなぐ小道を歩いていると宮崎駿の世界に迷い込んだ気分になる。ゴンパの一番上からの景色も抜群だった。堂内にはあまり壁画などはなかったけど厳かな雰囲気でいい。入口近くにも見るべき壁画などがあったようだったのに見逃してしまったのが残念。(ようこ)
2012.08.02 Padum (Sani) 18km Hotel

今日こそサニで祭りがあるのでチャリで行く。祭りでは観光客のマナーの悪さに気分が悪くなったのだけど、詳細はこちらのブログで。祭り自体は、寺の中でのお祈りは厳かでいい感じだったのだけど、その後のマスクをつけたダンスセレモニーは単調で、まあ一度見れば十分かなという感じだった。
それにしても暑い。サニからの帰り道、道路がやたら冠水しているなと思ったら山の方で洪水があったようで、その影響で村全体が断水していた。宿に帰っても水浴びも洗濯もできない。ううむ、街に着いたらシャワーと洗濯と思っていただけに、水がないのはかなり痛い。(ひろ)
2012.08.03 Padum – Phuktal (Bike & Trek) 40km Campsite

沢山あるザンスカールのゴンパの中でも最も美しいと言われるプグタルのゴンパへ向かう。途中の村まで道路が出来ているのでそこまで走り、その先は歩くことに。最初の25kmは基本的に舗装路と聞いていたけれども結構な割合でひどい道だった。その先15km未舗装路が続いた。どこかの村で道が終わるのかと思っていたら、村も家もないところで突如道が終わってしまっていた。今まさに岩を崩して道を造っていますというところで、この大きな岩場を越えたら道が再び現れてエンムーという村まで行けるという。自転車を担いで通ってもいいと言われたけれど、工事中の岩場は足場も狭く、足を滑らせたら一巻の終わりという恐ろしい場所だったのでどうも進む気になれない。6,7km近く戻ると村があって、そこで自転車を預けて橋を渡って対岸に行けばプグタルゴンパへのトレッキングルートが始まるのだけれども、6,7km自転車で戻るのはいいとしても、そうすると歩く時間が往復で3時間ほど増えてしまうのかと思うと考えてしまう。
悩みに悩んだ結果、工事現場のすぐ近くにテントで住むラダック人の老人がいて、そのおじいさんは信用できる人だとたまたま通りかかった村人が言っていたので、それを信じることにしておじいさんに自転車を預かってもらえるかを頼みにいくことにした。普通だったら絶対にこんなところには預けないよなと思うのだけれども、ここは安全なラダックだし、おじいさんはいい人そうだしということで預かってもらうことに。
身軽になって岩場を渡る。足場が狭くてかなり怖い。無理して自転車を運んでこなくてよかった。ここからプグタルゴンパへのベースになるプルネ村(約11km先)を目指す。エンムー村の手前で橋を渡って対岸のツェタン村へ。激流を渡るにはかなり不安な作りの小さな橋で、人生で一番おっかない橋だった。小さなアップダウンがあるものの楽なルートだったのでプルネまで余裕で着くなと思っていたら、結構な雨が降り始めてしまって、雨宿りがてらに茶屋に入ったら意外と疲れていることに気が付き、キャンプ場を併設しているということなのでそこで終了することにした。明日多く歩けばいいだけだし、どうせ同じ道を戻ってくるのだからバックパックを置いていけばより身軽で楽だ。ここのおじちゃんはフレンドリーで笑顔がかわいい。超フレンドリーな犬もいていいサイトだ。(ようこ)
2012.08.04 Phuktal – Padum (Trek & Hitchhike) 0km Hotel

キャンプ場にバックパックを預けてプクタル・ゴンパへ。これで荷物はレー、パドゥム、おじいさんのテント、キャンプ場と4か所に分散していることになる。普段はこんなことしないけど、ラダック地方にはこういう事をしても安心な空気感がある。とはいえさすがに4分散にもなると少し不安だ。
プルネまでは約40分、そこからゴンパまでは地味なアップダウンの道を1時間ちょっと歩き、橋を渡って少し登ったところで景色がぱっと開けてプクタル・ゴンパがドラマティックに登場した。噂通りの素晴らしいロケーション、これにはテンションがグーンと急上昇だ。ちょうどゴンパに入っていく時に中からお経が聞こえてきたのも気分を盛り上げる。ゴンパの中も雰囲気があって素敵だ。メインのお堂は普通だったけど、古いお堂には素晴らしい壁画があったり立体曼陀羅があったりして見応え充分だった。ロケーションも内容も、はるばる山奥までやって来た甲斐があったというものだ。
帰りは同じ道を帰るので面倒くさい。荷物を預けたキャンプ場に戻りマギー(インスタント麺)を食べ、その後は黙々と歩いて自転車のもとへ戻る。昨日より天気が良くて少し景色も良かったけど、基本的にはあまり変化がなくて面白くない風景だ。
自転車はおじいさんの下で無事に保管されていた。ホッとしていたら、道路上に今からパドゥムへ帰るという空っぽのピックアップトラックが一台ポツンといて、あっという間にヒッチハイクの交渉が成立。帰りは同じ道で面倒だからヒッチで帰りたいなーと思っていたところだったので、まるでお出迎えしてくれたような絶妙なタイミングで車を見つけられたことに大興奮。うおー、なんてラッキーなんだ。ちなみに約40kmの道のりなのに車でも2時間かかった。よくこんなガタガタ道を自転車で走ってきたものだ。
パドゥムの町はいまだに水道が復旧していなかった。埃と汗にまみれているので今日こそは水浴びしたかったのに。(ひろ)
2012.08.05 Padum 0km Hotel

今日は休憩日なのに水浴びも出来なければ洗濯も出来ない。水がない代わりに今日は珍しく昼から電気があるのだけど、今は電気よりも水が欲しいのだー。そしてこの先トレッキング生活になるからいつ洗濯できるか分からないので、川の水でもいいから洗濯がしたいと水探しの旅に出た。結局濁った川しかみつからなかったのだけれども、仕方がないのでそこで洗濯。村人たちもそこらここらで洗濯中。野宿中のときとかは川で洗濯することも多いけど、村に滞在しているのに川へ洗濯にというのは初めて。いや川っていうかどぶに近かったかな。汚い水で洗ってもなんだか気持がすっきりせず今日は一日中ローテンション。別に自転車走行中に泊まった小さな村だったら洗濯ができなくても水浴びができなくても不満は感じないのだけれども、パドゥムはレーに戻る前の一番大きな町で期待度が大きかっただけに、その分がっかり度も大きい。(ようこ)
2012.08.06 Padum – Zangla 31km Homestay

朝からチャイ屋でチャパティ&オムレツとサモサをモリモリ食べて出発。ザングラへの道も美しい。谷の開け具合も、山の岩肌の感じも、緑に溢れた村の感じも、全てがプクタルへの道より断然素敵に感じられる。12kmほどでストンデの村に到着。丘の上にあるゴンパを見に行く間自転車を預かってもらおうと民家を尋ねてみる。出てきたおばちゃんは二つ返事でいいわよーと明るく対応してくれた。そしておじさんも登場してきて、チャイでもどうだ?と家に招待してくれた。家の中にはかわいいおばあちゃんが2人いて、バター茶やミルクティーやツァンパをご馳走してくれた。ここのツァンパ、グリーンピースも一緒に練りこんであるらしく、味も香ばしさも抜群、今までで食べた中でダントツに一番美味しいツァンパだった。おじさんは最近目を怪我したらしいのでお礼に抗菌目薬をプレゼント。ここでは入手困難でも僕らはレーに戻れば(たぶん)買えるからね。
ゴンパへの道は急だったけど景色が良くて気持ちいい。ゴンパに着くとちょうどプージャ(お祈り)をしていて厳かな雰囲気が素敵だった。この辺りのゴンパは、どこを訪ねても坊さんはフレンドリーで親切だし、寺の中は歴史を感じられる美しい美術が残っているし、寺によって少しずつ雰囲気が違うし、まるで日本の古い寺巡りをしているような趣があって楽しい。
ストンデからザングラへの道も景色が素晴らしく、しかも舗装路&追い風だったので快適に走ることができた。ザングラではバラージュに教えてもらったソナムホームステイに滞在。ハンガリー人&トランシルバニア人のボランティアでめちゃくちゃ混んでいたのだけど、バラージュの友人だからという事で特別に庭にテントを張らせてもらう事になった。ソナムも家族もとても感じがいいし、特に娘のパドマは朝から晩まで休みなしにテキパキと良く働いている。そして何よりご飯が上手い!
夕食の前に、ホースマンのタシを紹介してもらってさっそく馬を借りる値段交渉を始める。最初は想定の4倍くらいの値段を言われて撃沈。その後ちまちまと交渉し、最終的には実際に荷物の量を見てから再交渉することになった。ソナムに交渉経緯を報告したら、そんな高い値段を言われたの!と呆れていた。交渉が決裂したら他の村のホースマンを紹介するよと言ってくれたのだけど、僕らとしては少し高くてもこちらの希望する日時に出発できることを優先したい。明日の交渉がうまくいきますように。(ひろ)
2012.08.07 Zangla 0km Homestay

値段交渉も上手くいってタシと一緒に行くことに決まった。少々相場より高いけれども、馬が無事確保でき、このハイシーズンに希望日どおり出発できるということで私たちも満足。馬が確保できなければ私たちのトレッキングは成り立たなかったので、トレッキングへ行けることが決まって嬉しい。
午後は修復中の旧王宮へ。伝統的な手法で、昔ながらの見かけを保ちながらの修復をしているのだけれども、これに関しては最初地元民の理解がなかなか得られなかったよう。バラージュによるとコンクリート造りの方が「最先端だ」と地元民や僧侶たちは思うようで、コンクリートでぱぱっと直してしまえばいいのにと言われてしまうらしい。地元民の気持ちも少し分かる気がする。機械も使わず人手のみの修復なので時間はかかるし、かなりの重労働だ。私たちが滞在しているときだけでもハンガリー人のボランティアが20人近くいて、ひと夏の間に40人近くのボランティアが活動しているよう。私たちが1年前に寄付をした梁もちゃんとあった。
夕方、タシと一緒にトレッキング用の食料を買いに行く。買いに行くと行っても村の商店は2軒だけ、そのうち1軒はお休みだったので、あっという間に終わってしまう。欲しかった野菜はお休みだった方にあるようで今日は手に入らなかった。明日はちゃんと開店しますように。(ようこ)
2012.08.08 Zangla 0km Homestay

朝からポツリポツリと小雨が降る中、1時間ほど歩いた先にあるマラカルツェという古い王宮&仏塔(チョルテン)を見に行く。狭い渓谷を川沿いに歩く約1時間の道のりもなかなかスペクタクラーで気持ちいい。途中一人のおじいさんと会ったので話してみたら何とソナムのお父さんだった。相当なじいさんなのに冷たい川をすたすたと渡っていく姿が勇ましい。僕らはあまりの冷たさに足がしびれて泣きそうなのに。
マラカツェは崖の上にあって、川沿いからは崖をクライミングするみたいに登らないといけない。古い王宮は完全な廃墟だったけど、チョルテンは色鮮やかな仏画が残っていて、ちょっとヒンドゥチックな絵だったけど素敵だった。そして帰り道もかなりスリリングで、地滑りの跡をトラバースしないといけず、道なき道を小さな岩にしがみつきながら歩く。ずり落ちたら洒落にならない傾斜だったのでかなり怖かった。
無事に村まで生還し、午後は洗濯したり村はずれの尼寺を見に行ったりして過ごす。夜になると念願の商店兼八百屋も開店して無事に野菜をゲットできた。これで準備は万端、明日からトレッキングの始まりだ。(ひろ)

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