Aug,22,2014


ドッドッドッドッド。
体の奥からマグマが湧いてくるような、そんな感覚を知床が思い出させてくれた。

お盆休み、久々の4連休。
先日我が家に遊びに来てくれたスイス人の友人の今年の夏休みは7週間。
それに比べて我が家の夏休みは4日間。
4日間の夏休みに何をしようか、どこに行こうかとワクワクしてるんだと話したら、
日本人に生まれなくてよかったとポソッと言われてしまった。


4日間はさすがに短いなーとは思うけど、幸い北海道には近場に行きたいところがまだまだ沢山あるから、
短い休みでも「どこに行こう」とワクワク悩めるのが幸せ。
それにお盆休みでも北海道は渋滞知らず。
東名高速65km渋滞なんていう悲惨なニュースがラジオから流れて来ても、すっかり他人事で済んでしまう。


森の息づかいが聞こえてくる、生き生きしたモリ。

そうして行ってきました、Shiretoko!
羅臼岳と斜里岳に登るぞ、と意気込んで行ったものの、お天気がいまひとつでどちらも登れず。
ちょっぴりがっかりしたものの、自転車で走った知床があまりにも素敵だったので、すっかり大満足。
交通規制中のためバスしか通れないカムイワッカの湯への道も、自転車ならオッケー。
静かな未舗装路、鹿、きつね、熊の気配むんむん、緑もりもりの道を、いろんな意味でドキドキしながら走る。
本当に美しいものを見たときに体の底から間欠泉のように沸き上がる「喜び」の感情が、久々に溢れ出して来て、
自転車を走らせながら、その感情との再会の嬉しさを噛み締める。


ヒグマにも出会いました

翌日、羅臼岳トレッキングを諦めて、悪天候のため何をしようかと考えながら知床峠を車で越えると、
峠の向こうは雲間に青空が点在していて、優しい光がまるで教会に差し込む神々しい光のように緑を輝かせていた。眼下に広がる緑の海と、そしてその向こうにかすかに見える国後島。
「うわーー」と慌てて窓を開ける。
止まってゆっくりと眺めたいのに、車を停めるところがない。
「ひろ、きっとこの天気は数時間持つよね?自転車でこの峠をあがって来ようよ!」と鼻息荒くひろの顔を見たら、ひろも興奮して頷いている。
さすが我がパートナーよ!とテンションハイな私は何もかもが嬉しい。
そして羅臼側から峠に向けて走り出す。
交通量が多いのが玉に傷だけれども、それでもやっぱり車の中から眺めていた景色よりも数倍も数十倍も素敵に感じる景色の中を走れていることに幸せを感じる。同じ景色なのにね。
北海道はやっぱり素晴らしいところだとホクホクした気持ちで峠の下りも楽しんだ。


道東からの帰り道、北海道の自然の奥深さに感動し、北海道に帰って来て本当に正解だったねと気分よくドライブを楽しんでいた。
途中小腹が空いたなと道の駅に寄った。
静かな山道から、突然カオスな世界が現れた。
どこから集まってきたんだというくらいの人の数。どうしようもないお土産ものにたかる人々。
個性のないらーめん、そば、ソフトクリーム。
目立つことしか考えていないノボリ。

どうしようもない反発を覚えた。
どうこの気持ちを表していいのか分からないけど、
怒りにも近い感情が湧いて、
空いていたお腹のこともすっかり忘れて、二人でそそくさとその場を去った。


サクラマスが遡上しているところを見ることができた。チャレンジングなサクラマスの姿はかっこよく、美しかった。

昔、カナダのバンフでお土産物屋にたかる日本人観光客の群れを見たときに感じたものと一緒だった。
バンフといえばカナディアンロッキーへのベースになる街で、街から山々の景色も素晴らしく、素敵な散歩道も沢山有る。観光客も沢山立ち寄る街なのだけど、それらの散歩道は静かでほとんど観光客を見ない。
私たちがゆっくりと散歩を楽しんだ帰り道に小さな街の中心を横切ったとき、お土産物屋が連なる界隈が両手をお土産物袋でいっぱいにした日本人観光客で溢れているのに驚いた。
そして両手一杯でもまだ尚お土産ものを物色している。
聳える美しい山を一瞥もせずに。
この人たちは何をしにはるばるカナダまでやってきたんだろう。
がっかりと同時にとても悲しい気持ちになった。


日本に帰国して1年。
日本に帰って来てよかった、北海道に帰って来てよかったと思うところもあれば、
日本の嫌なところが見えて来てがっかりすることもある。
そんな二つが同時にやってきたお盆休みだった。

なんだか暗い終わり方になってしまったけど、北海道LOVEな気持ちは変わらない。
変わらないどころか、ホッカイドウはまだまだ私たちの知らない魅力をチビリチビリとこわけにして出してきて、
ますますドンドン虜にさせられてしまってる。
ちょうど10年前の今頃、北海道移住を唐突に思いついて決めた。
縁と思いつきに、思いつきを行動にうつせた自分たちに、感謝。


自然ってアートだ!


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