Feb,09,2012

私たちの赤裸々な日常をつづったチャリダー日記、アルゼンチン&チリ北部編Vol.2。
今回はサンペドロ・デ・アタカマから、シコ峠&アカイ峠を越え、アルゼンチンのカファジャテに到着するまでの走行日記です。
なお、GoogleMap、標高プロファイル、距離一覧表、簡単なホテル情報をNotesにまとめてありますので、そちらも参照して下さい。→Click Here!

2011.12.04 Socaire 88km Hotel

今日はまだ舗装路だし、きっと追い風だろうから楽勝かと思いきや、意外や意外と向かい風だったうえに見た目は登ってなさそうな登り坂が続いてぐったり。貧血のような感じでフラフラする。休憩の度に道路に寝っ転がっているとチリ人ドライバーたちが心配そうに声をかけてくれて、ある家族はリンゴにバナナにコーラまで差し入れてくれた。
今日はチリ側最後の集落ソカイレで終了。ソカイレで食糧を補給しようと思っていたのだけれど小さな売店が1軒しか開いていなくて(もう一軒売店があったのだけど日曜で閉まっていた)、買えるようなものがほとんどなくて困った。やっぱりサンペドロで完璧に揃えてくるべきだった。(ようこ)
2011.12.05 On the way(Paso de Sico) 50km BushCamp

今日から未舗装路。未舗装路に突入した途端に僕のタイヤが2回連続でパンクする。大丈夫か、この中国製タイヤ?途中、ラウカ国立公園で会ったベルギー人サイクリストと再会。彼はチリの出国スタンプなしにシコ峠を越えようとしてイミグレで追い返されたらしい。「サンペドロで事前に出国手続きが必要なんて誰が分かるんだ!」と怒っていた。4日かけて走ってきた未舗装悪路を引き返さないといけない彼がかわいそうだったので、「それは旅人なら全員が知っていることだよ。」とは突っ込めなかった。彼はラウカ国立公園にも地図なし、食糧なし、チリのお金なしでふらりと無計画でやってきていたくらいだから、まあ彼ならやりかねないと妙に納得。
今日は道がかなり悪くて、予定よりも距離を稼げないまま終了。美しい火山が目の前にドーンと見えるスポットに風よけになりそうな小山を発見してそこにテントを張る。さぞかし夕日がきれいに違いないと期待していたのだけど、疲れすぎて結局夕日タイムの前に寝てしまった。自転車ってもっと朝日や夕日や星空を堪能できるものだと思っていたけれど、結構疲れすぎて楽しむ余裕がないことが多い。(ひろ)
2011.12.06 On the way(Paso de Sico) 53km BushCamp

今朝は強烈に寒かった。朝から登りで体を温められてよかったな。本日1つ目の湖アグアスカリエンテス、凄く美しかったのだけど近づくのが面倒で遠目に見て満足することに。こういうときモーターバイクだったら気軽に行けるのに。湖の色もさることながら周りの山々の山肌の透明感があって立体感のある(なんと表現したらいいのかよく分からない)不思議な色がたまらない。2つ目の湖の乳白エメラルドグリーンも優しい色でいい。
その先は砂道な上に横風がものすごくて、自転車を漕げないどころか押すのもままならない。風に頬をずっとパンチされているようで辛い。今日はチリ側のカスタムチェックポスト(SAG)で泊めてもらおうと思っていたのだけど、駄目だと断られてしまった。3kmくらい先に岩場があってテントが張れることが分かっていたのでよかったけど。この3kmがかなり深い砂道で苦戦した。岩場はかなり立派な風よけになっていてゆっくりと休むことができて良かった。ここ数日は車がほとんど通らないので、道路のすぐ横にテントを張っても怖いと思わないのがいい。(ようこ)
2011.12.07 (Argentina) Catua 46km Hotel

チリ側最後の峠を登りきると、この世のものとは思えないほど美しい風景が広がっていた。まるで別の惑星に迷い込んだかのような風景に大興奮の二人。この風景を見るために大変な思いをしてシコ峠ルートを通ってきたのだと思えるくらい素晴らしい風景だった。ハマ峠はずっと綺麗な景色が続いていたけれど、シコ峠はピンポイントでスーパーな絶景に出会える。ちなみにシコ峠そのものは、う~んと言う感じだった。
アルゼンチンのイミグレでも泊まらせてもらえると聞いていたのだけど、まだ昼過ぎだったのでそのまま通過してカトゥアの村人共同管理の宿に泊まる。外は強い風が吹いているのに室内は暖かい。蛇口をひねると水が出るし、日没後も電球のおかげで明るいし、荷物は広げられるし、やっぱり屋内ってありがたい。久しぶりに見つけた売店でコーラをぐびり。うまい!(ひろ)
2011.12.08 On the way 58km BushCamp

今日の前半はかなり押した。今まで悪路はたくさんあったけど今日ほど連続で押し続けたことはなかったかも。ゲイツとナディンが言ってた一番の悪路はここの事だったのかな。前半はいまいちパッとしない景色だったけれども塩湖に下っていく道は素晴らしかった。美しい彩りの山々が目の前に現れて、シコ峠で見てきた数々の素晴らしい色を思い出しては、やっぱり苦しい思いをしても来てよかったとしみじみする。でもしみじみしたあとも悪路は続く、、、。
オカラパト村に着いたのは16時。村ではサッカー大会をしていたけれど、いったいどこ村VSどこ村の試合なんだろう。この村で終了しても良かったのだけど、なんだか先に進みたかった。結局、素直にこの村に泊まっておけばよかったと後悔したのだけど。この夜、車の音が怖くて一睡もできなかった。(ようこ)
2011.12.09 S.A. de los Cobres 51km Hotel

昨晩ようこは車の音が気になって全然眠れなかったらしい。この日以降、ようこは再び野宿恐怖症に陥ってしまう。今日も相変わらず道が悪い中での峠越え。途中、廃屋の横に天然温水が流れているのを発見して、5日ぶりに頭を洗い流してさっぱり。昨日ここまで辿り着けたらようこも安心して眠れたのに。
登りは単調な風景だったけど、下りになると視界いっぱいに谷が広がる高度感たっぷりの絶景が広がっていた。そのままガタガタと未舗装路を下り、さらに小さなアップダウンを繰り返すとコブレス村に到着。思ったよりも小さな町だけど、出来立てほやほやのお値打ち宿に泊まれて大満足。明日は休むぞー。(ひろ)
2011.12.10 S.A. de los Cobres 0km Hotel

コブレスに着いたときはもう疲れ果てていて次のアカイ峠は避けてサルタへ行ってしまおうかとすら思ったのに、一日ゆっくり休憩したら「アカイ峠にはどんな素敵な景色が待ってるのかな~♪」なんてルンルンになっているのだから休憩効果って素晴らしい。今日の宿はダブルベット1つにシングルベット2つ、プライベートバスルーム付というゴージャス宿。ベッドで安心して寝て、野菜たっぷりの手間をかけたご飯も食べて、ビールをたっぷり飲んでってだけなのに。適切な休憩は必須だ。
それにしてもコブレスのような小さな村でも商店がたくさんあって、欲しいものは何でも揃うところはさすがアルゼンチン。ボリビアとはだいぶ違う。(ようこ)
2011.12.11 On the way(Abra del Acay) 53km BushCamp

コブレスでゆっくりできたので気持ちも新たにアカイ峠越え。峠に取りつくまではひどい深砂で全然前に進めずどうしようかと心配したけれど、峠に取りつくと道が良くなった。今日は登りの途中で終了する予定だったのだけど、景色も天気もいまいちなのでこのまま登ってしまおうと一気に標高約5000mの頂上へ。暴風が吹き荒れる峠の反対側(南側)には、見たことのない美しい彩りの谷が広がっていて、二人して言葉を失った。
そして下り道の悪いこと!半分崩れかかった石ころだらけの崖道で全然スピードが出せない。これ落ちたら死ぬよなあと思うと自然にブレーキを握る手に力が入る。途中で野生のリャマの集団に出会った。警戒心の鈍い家畜のリャマばかり見てきたので、野生独特のするどい警戒心をもったリャマもいるんだと妙に感心する。日暮が迫る中でなかなかいい野宿場が見つからなかったけれど、標高4200mくらいまで降りてきてようやく野宿スポットを発見してテントを張る。すぐそばに清流が流れているいいテント場だった。(ひろ)
2011.12.12 Cachi 89km Campsite

小川がちょこちょこあって、いちいち荷物を外して靴を脱いで渡らないといけないのが面倒だったけど、水や緑がある景色は気持ちがいい。途中通り過ぎた民家にいた飼いリャマが、どんどんひろに接近していったかと思ったら、あともう一歩でひろに乗っかりそうになっていてちょっと笑えた。本人は凄くびびってたけど。
下るにつれてどんどん畑や家などが増えて人の手が入った景色になっていく。それでもこの谷は美しかった。せっかくだから素敵な場所があったら今日は野宿しよう!と途中の村でたくさん水をもらっておいたのだけど、残念なことにそう思ってから先の景色はいまいちになってきてしまって、さらに天気も悪くなってきて強い向かい風まで吹いてきたので、このまま頑張ってCachiまで走ってしまうことに。疲れたから宿に泊まりたいなと思ったのだけど、キャンプ場を見に行ってみたらいい感じだったのでキャンプにすることにした。(ようこ)
2011.12.13 – 12.14 Cachi 0km Campsite

木陰で風通しのよい清潔なキャンプサイトで、昼からビールとワインを片手にBBQの準備。世界一のアルゼンチンビーフの骨付き肉を炭火で焼いて無心でむしゃぶりつき、ほろ酔い気分で昼寝をする。これ以上理想の休憩日がほかにあるのだろうか。二人で20ペソ(360円)のキャンプサイトでこんな幸せが手に入るなんて、幸せはやはり金額の多寡ではないのだ。あまりに幸せなキャンプ場だったのでもう1日休むことにして、再び昼からBBQ。今思い返しても最高!この先、キャンプをするたびにこの村のことを思い出すのだろうか。ああ、今すぐにでもあのキャンプ生活に戻りたい。(ひろ)
2011.12.15 Angastaco 85km Hotel

地味なアップダウン続きの道が続く。道の状態もあまりよくないし狭いので走りにくい。さらに途中に小さな峠があった。峠があるなんて知らなかったので、たいした峠ではないのにひどく疲れた。最近は走る前にある程度どんなアップダウンがあるのか調べておくことが多くて、前もって登りがあると分かっていると心の準備ができていいのだけど、心の準備がないと結構辛い。情報ばかりに頼ってしまうのはよくないんだけど、でも前もって知っておくというのはやっぱり助かる。
私たちの最近のブームは500mlの炭酸飲料をその日一番辛かったところで飲むために持ち運ぶこと。今日もその峠の頂上でお気に入りのグレープフルーツ味の炭酸飲料をグビグビ飲んで機嫌を直す。ほんとは一人で500mlは飲みたいところだけど。
最後の方はかなりの絶景になってきたのだけど、あいにく空はグレー。ここのところ毎日午後は今にも泣き出しそうな天気になる。夜はかなりザーザー降りだった。宿に泊まれてよかった。(ようこ)
2011.12.16 Cafayate 74km Hotel

アンガスタコを出るとしばらく絶景が続いた。斜めに切り立った鋭い岩山が立ち並ぶ絶景の中を貫く未舗装のルタ・クワレンタ(ルート40)は雰囲気抜群だ。光の加減で夕方の方がより美しく見える場所なので午前中に通ったのが少し残念だけれど、それでも最近の道のりのハードさを忘れさせてくれる美しい風景だった。
後半は一転して単調な道のり。残り数十キロで舗装路に合流した。合流地点に流れていた水路で自転車をざっくりと洗って街突入モードへ。泥だらけのバッグと自転車で宿に拒否されても文句は言えないからパッと見だけでも綺麗にしておかないと。待望の舗装路だったけれど向かい風が強くていまいち堪能しきれないままカファジャテに到着。有名な観光地なのに意外と小さな町で大型スーパーとかもない。宿に着くなり大雨が降り出した。(ひろ)
2011.12.17 – 12.21 Cafayate 0km Hotel

少し予算オーバーだったけど、値段以外は大変満足な宿でゆっくりと休憩できた。のんびりできる開放的な中庭が特に素晴らしい宿で、一日中宿にいるのにどこかにピクニックでも行っている気分になる。市場に食糧を買いに行くか、キッチンでご飯を作るか、この庭でのんびりしているかしかしなかった5日間だったけど、素晴らしい休憩になった。
ひとつこの街での休憩に文句があるとすれば、調味料類があまり豊富ではなくて、せっかくのゆっくり休憩なのに肉を単純に塩コショウで焼くとか、アルゼンチンの肉用ハーブ(チミチュリ)をまぶすくらいしかできなかったこと。サルタに買い出しに行こうかしらと悩んだほどアルゼンチン産のベーシックな調味料しか売っていない。アルゼンチン製の醤油を買ったら機械油みたいな味がして「おぇー」って感じで撃沈。あー、せめて中国製でもいいから、醤油が欲しいのだぁ!(ようこ)

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