May,10,2013

普段生活していて「豚が食べたい」と思うことはないのだけど、イスラム圏を旅していると「ああ、豚が食べたい」と切実に思ってしまう。
だからスペインに入ったら、何はさておきビールを片手に生ハムをぺろりと食べるのだ。
モロッコを抜け、スペイン領セウタからヨーロッパ大陸に向かうフェリーの中で、さっそくビールと生ハムで乾杯をする。
VIVA,エスパーニャ!

スペインは色々楽しみにしていることがあるけど、最大の楽しみはバルでのタパス三昧だ。
スペイン入国2日目、お昼時に通り過ぎた田舎街で僕らはタパスデビューを果たした。
まずはビールをぐびりといっぱい。
キンキンに冷えた生ビールがカラカラに乾いた喉にしみわたる。
「とりあえず生。」的な注文をできるのが日本の居酒屋みたいでうれしい。

そして待望のバル料理。
タパス(小皿)かラション(大皿)で注文できるのだけど、タパスで頼んだのに間違えてラションで出てきた?というほど巨大なプレートが続々と出てきた。
タコの煮物、タラコのタルタルソースがけ、いわしのマリネに海鮮のかき揚げと、嬉しい海の幸オンパレード。
どれもこれも唸るほどうまい。そして唸るほど安い。
この量で一皿1.5ユーロって何かの間違いじゃないのか、やっぱりラションなんじゃないのか?と思わず首をひねってしまう。
でも美味しいからラションでも何でもいいや、ドンとこい。とビールをもう一杯。
VIVA,エスパーニャ!!


テーブルにチョークで会計をメモるのが、訳もなくかっこいい。

そして期待に胸ふくらませて到着したセビージャは、期待通りタパスの都だった。
いたるところにバルやレストランが溢れていて、歩いているだけで興奮してお腹がすいてくる。
日本の居酒屋や立ち飲み屋の様でいて、でもお通しやテーブルチャージみたいな面倒臭いシステムは一切ないから、ふらりと入ってビールを一杯飲むだけでもお店の人から冷たい視線を浴びることがないのがいい。
店内は活気であふれていて、でもグデグデに酔っぱらってる人がいる訳ではないのが心地よい。
友人同士でワイワイ飲んでいる人、一人でタパスをつまむ人、お店の人と楽しそうに話すおじいちゃんからベビーカーに乗った赤ちゃんを連れた夫婦まで、あらゆる年代の人たちが思い思いに楽しんでいる。
この気軽さな雰囲気が、たまらなく素敵だ。


お祭りに出かける前に軽くいっぱい。

不思議なもので、観光客しかいないお店、現地の人しかいないお店、全く流行っていないお店がはっきり分かれている。そして現地人がたまる店も、みんながビールを飲んでいるだけのお店もあれば、何かしらのタパスを食べているお店もある。
もちろん僕らが狙うのは現地人がタパスを食べているお店。
さすがにセビージャくらい大都会になると一皿2,3ユーロはする上に量もそれほど多くないので、チープにお腹をいっぱいにするには向いていないのだけど、それでも五臓六腑が喜びの悲鳴を上げる素敵な料理が目白押しなのだから、数ユーロ単位の小さいことは気にしない。
ヨーロッパではお金をケチったら何も楽しくないのだ。

カウンターに並んだ魅惑的なタパスを物色し、真剣に辞書を引きながらメニューを解読し、
とりあえず1,2皿を頼んで美味しかったら追加し、いまいちだったら次の店に移る。
その合間にキンキンの生ビールを、爽やかなティント・デ・ベラーノ(赤ワインの炭酸割り)を、名産のシェリー酒を、安くて上質の赤ワインを次から次へと堪能する。

もう一回言おう。声を大にして言おうじゃないか。
VIVA,エスパーニャ!!!


セビージャくらいの都会になるとタパスも一皿これくらいの大きさになる。


田舎に行けばこれもタパス一皿。どうだこのボリューム!


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