Apr,28,2013


フェズも終わったし、メクネスも終わったしで、もうモロッコは終わりだなという気がしてきたところで、メクネスを発った日は30km先のムーレイ・イドリスに泊まった。
もともと行くつもりはなかったのだけど、最近一緒に走っているあつし君が「ムーレイ・イドリスはいいところな気がするんです」って言うもんだから、すっかり何だかその気になって寄ってみることにした。
何だか影響されやすい?

ムーレイ・イドリスはイスラム教徒の聖地のひとつで、そこのムーレイ・イドリス廟に5回訪れるとメッカに巡礼したのと同じ価値があるという有難い場所なのだけれども、その肝心のムーレイ・イドリス廟には私たち異教徒は入れない。
それでもこの町はあつし君の予言どおり素敵なところだった。
聖地という厳かな雰囲気はなくて、どちらかというとホノボノした可愛らしい町で、
白く塗られた建物に思い思いの色に塗られたドアが映えて、建物の下のほうだけがピンクやブルーやらのパステル調のペンキが無造作に塗られていたりしてメルヘンチック。

モロッコ人、外国人を問わず観光客&巡礼客が多い土地柄にもかかわらず、この町の人たちはノンビリしていて親切な人が多い。子供も大人も明るく「サラーム」「ボンジュール」と声をかけてくれるし、ぷらぷらと散歩しているだけなのだけど、「あっちが見晴台よ」と何人もが親切に教えてくれた。
モロッコはもう終わったという気になっていただけに「あら、モロッコのいい場所がまた見つかったわ。」とちょっとお得な気分になる。

モロッコは終わったわけではなかった。
もう百数十キロkmでモロッコも終わりという位置にあるシェフシャウエンはもっと素敵な街だった。
幹線から少し離れて山を登らなくてはならないのだけど、登りきって突然目の前に現れたシェフシャウエンの街の姿には思わず声をあげた。
上り坂を登りきると突然現れるというシチュエーションが自転車で旅する者にとってはたまらない。
それでもまだこの時はシェフシャウエンの魅力の10分の1くらいしか出てなかったのだと今は思う。

シェフシャウエンの魅力はジワジワとやってきた。
水彩ブルーの可愛い街、ムーレイ・イドリスよりもさらに観光地なのに穏やかな地元の人々、しつこくない客引き、美味しいカフェやパティスリー、居心地よしの宿。2泊の予定が4泊に。もっと居てもよかったかもなぁ。

「いやーシェフシャウエンいいね、モロッコってやっぱりいいね。」と言いながら、「この街はなんだかモロッコっぽくないね、ヨーロッパ風だね、アンダルシアっぽいよね。」という結論になり、つまりヨーロッパぽいのがいいってこと?とちょっと疑問がわく。

いい感じでミックスされているのがいいってことでしょう、きっと。
モロッコは景色の変化も素晴らしいけど、街々のバリエーションも富んでいていい。
街並みもお土産物の種類も人の雰囲気もかなり違っていていい。
ご飯のバリエーションがもう少しあったらもっといい国なんだけどな、と思ったりして。


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