May,01,2013

私たちの赤裸々な日常をつづったチャリダー日記、モロッコ編Vol.3。
今回は、メクネス出発から、シャウエン、ティトゥアンを経てスペイン領セウタからフェリーでスペイン本土に入り、セビージャに到着するまでの走行の日記です。
なお、GoogleMap、標高プロファイル、距離一覧表、簡単なホテル情報をNotesにまとめてありますので、そちらも参照して下さい。→Click Here!

2013.04.06 Meknes – Moulay Idriss 25km Hotel

天気予報通りすっかり晴れ。モロッコは天気予報がよく当たるので計画が立てやすくていい。今日は30kmということでのんびりサイクリングであっという間にモーレーイドリスに到着。あつしくんは近くのローマ遺跡ヴォルビリスに行き、ローマ遺跡系は苦手な私たちはモーレーイドリスを散歩する。まずは昼食を食べようと食堂が並ぶ通りをウロウロしてみる。どこの店からも「ヘイ、うちの肉は美味しいよ」「ほれ、食べていけ」と野太い声がかかる。どうも店から商売気ギトギトの声がかかるのが苦手だ。なんか取って食われるような気がしてその店に入るのが嫌になる。何往復かして、諦めて大人しく店に入ってランチを食べる。
そんな商売気が強かった食堂街とは打って変わって、モーレーイドリスの街の中はのんびりとした空気が流れていた。すれ違う人たちは優しい笑顔で「サラーム」と声をかけてくれるし、「あちらが展望台のほうよ」とわざわざドアから顔を出して教えてくれるおばちゃんたち、「ボンジュール!」と元気に挨拶をくれるガキンチョたちでいっぱいで、ノンビリとした田舎町の雰囲気があって散歩していて楽しい。白が基調の建物にドアが可愛らしい色に塗られていたりして、ちょっぴりヨーロッパ風な可愛い街だった。
夜シャワーを浴びようとしたらお湯が出ない。給湯室を覗くとプロパンガスが漏れていたようでガス臭く、ガスを一気に吸い込んでしまったようでしばらく気分が悪くなってしまった。モロッコはプロパンガスの事故が多いというのを最近聞いたので怖くなる。いい宿だったけど、結局ホットシャワーは浴びれず。(ようこ)
2013.04.07 Moulay Idriss -Ouazzane 107km Hotel

道路から100mほど階段を降りたところに宿があったので、荷物を道路に運び出すのに手間取る。今日は空が広くて緑にあふれる気持ちのいい道。こんなに空が広いところを自転車で走るのもあと何日あるんだろうかと最初は感傷に浸りながら走っていたのだけど、いつまでたっても風景が変わらないので次第に飽きてきた。人間って贅沢だ。午前中はすれ違う大人も子供も気持のよい挨拶をしてくれて気分よく走れたのだけど、昼過ぎからだんだん「金くれ」「飴ちょうだい」「タバコないか」という声がちらほらと聞こえ始める。モロッコは一日中ずっと気持ちよく走れる区間がなくて、必ずどこかの区間で激しいモノくれ攻撃にあうのが残念だ。こんなに発展しているのにやっぱりここは他力本願・援助依存のアフリカの一部なのだと感じずにはいられない。
大きな川を過ぎた先のジャンクションに地図に載っていない大きな町があったので、そこで昼休憩にする。ケフタ(挽肉)しか入っていないサンドイッチが20DHって高いよなー。今日の目的地Ouazzaneは丘に張り付くように家々が建ち並ぶ大きな町。100km以上漕いだ後に丘を登るのは嫌だなと思っていたのだけど。町のすぐ入り口に手ごろなホテルを発見してラッキー。この町にはやたらとカフェが立ち並び、しかもどのカフェでもフリーWiFiを飛ばしている。地元のおじさんたちで溢れるカフェの店内を見回してもインターネットを使っている人の気配はないのに。しかも今日は何かイベントでもあるのかと思うほど道路に人が溢れている。なんだか不思議な町だ。ちなみにロンリープラネット(ガイドブック)を見ていたらこの町もちゃんと掲載されていてびっくり。チャリダーでもない限りだれがこの町に泊まるんだろうか。夕飯は肉と野菜たっぷりのサンドイッチが10DH。やっぱりサンドイッチはこれくらいの値段だよな。(ひろ)
2013.04.08 Ouazzane – Chefchaouen 68km Hotel

今日はアップダウン続くは暑いはで意外と疲れる。シャウエンへ登る前の大きなジャンクションでちょうどお昼にしようとタジンの値段を聞いたら85DHといわれてビビって退散。結局商店でコカコーラを買って道路沿いで手持ちのパンとサーディン缶でサンドイッチに。今日も暑くてコーラがうまい。こうやってコーラをがぶ飲みすることももう何度もないんではないだろうか。シャウエンはもうあと数キロだっていうのになかなか姿を現さないと思ったら、坂道を登りきったところで展望が開け、シャウエンの街が突然現れた。突然の出現に思わず歓声を上げてしまった。宿は旧市街内にあったので、込み合う小道を自転車で乗り込む。つくづくひろが地図を読める人でよかったと思う。こんな入り組んだところ、私だったら宿に辿り着くのに10倍の時間がかかるに違いない。
今日はちろっと散歩しただけだけど、シャウエンなかなか可愛い街でいい。さっそく美味しいパステリーにもめぐり合えたし、カフェオレも美味しい。あー、明日は休み。寝坊ができるって思うだけで嬉しい。(ようこ)
2013.04.09 Chefchaouen 0km Hotel

今日は観光の日。朝9時に街を散歩したら誰も歩いていないし店も開いていなくてしーんとしていた。この街は朝が遅いのか?朝の優しい光とシャウエンの淡いブルーの街並みがよく合って、歩いていて気持ちがいい街だ。何があるわけでもない小さな町なのに、歩けば歩くほどどんどんこの町が好きになっていく。こんな心地の良い感覚を味わうのも久しぶりだ。シャウエン、いい街かも。
朝食に入ったパン屋のバゲットが絶品で二人して唸る。サクサクふわふわの美味しいバゲットに朝から大満足。美味しいパン屋があるのもその町に長居したくなる大きな理由の一つになる。これは長居しそうだなあ。
昨日は1階のレセプションの隣にあるうるさい部屋しか空いていなかったので、午後は二階の部屋に移ってのんびり過ごし、夜はあつし君と最後の晩餐。この先の予定が押しているあつし君は明日シャウエンを出る予定だ。かなり長いこと一緒にいたので、明日から別々になるというのが不思議な感覚だ。(ひろ)
2013.04.10 Chefchaouen 0km Hotel

あつし君が出発。チャリダーを見送るのって、飛行場で旅人を見送るような、ちょっとセンチメンタルな気分になる。私たちは今日ものんびり休憩日。街をのんびり散歩して、お気に入りのパティセリーに寄りおやつを食べ、カフェにはしごしてアボガドジュースとカフェオレを楽しむ。モロッコ、レストランはちょっぴり飽きるんだけど、カフェはコーヒーもおやつ類もレベルが高くてかなりヨシ。しかもアトラス山脈を越えたあたりからレベルがかなりアップしている。私は普段はカフェオレはミルク臭くて飲めないのだけど、モロッコのカフェオレは毎日2杯は飲んでしまうくらい美味しい。
今日は宿で自炊をしてノンビリ。(ようこ)
2013.04.11 Chefchaouen 0km Hotel

夜中に息苦しくなり気持ちが悪くなって目が覚めた。風邪でも引いたかと思っていたら、朝になって今度はようこが湿気がすごくて気持ち悪いと言い出した。確かに壁がびっしょり濡れている上に壁紙がブニブニになっている。部屋を出たらやっと普通に息が吸えるようになったくらい室内にカビ臭さが充満している。昨日まで何ともなかったのに・・・あいにく満室で別の部屋に変えてもらうこともできない。この部屋に居続けたら肺がカビて腐りそうなので、やむを得ず朝から宿探しをして移動することにした。宿のオーナーも「やっぱりな」みたいな顔をしていたので、どうやら慢性的な問題のようだ。ううん、これさえなければいい宿だったのに。
移動した先はイギリス人カップルが経営するリヤド。240DHと倍近い値段だけど、屋上からの眺めが抜群で、バスローブまで付いている快適な宿だ。オーナーが朝からマリファナ臭いのが玉にきずなのだけど、まあ1泊だけだからいいかとプチ贅沢することにした。「湿気がすごくて移ってきた」とオーナーに話したら「シャウエンはどの宿も湿気が大問題なのよ。うちの宿も配管を総とっかえしてようやく湿気がおさまったの。」と言っていた。
宿替えで午前中を費やした後は、今日ものんびり散歩。いやあやっぱりいい街だ。観光地なのに人も穏やかで商売っ気が少ないのもポイントが高い。モロッコでダントツに一番好きな街になった。シャウエンも長居してすっかり堪能したから、明日にはすっきりした気持ちでこの町を出れそうだ。夜は街で出会った日本人旅行者と食事。そんなに混んでいないのに合計2時間も待たされて体が心から冷えてしまった。(ひろ)
2013.04.12 Chefchaouen – Tetouan 61km Hotel

シャウエンにもう一泊くらいしたかったけど、何となく背中を押されるように出発。山景色もきれいで、ゆるい登りで楽な道のりだったのだけど、テトゥワンに入って旧市街へ向かう道が激坂で参った。ひっくりかえりそうな体勢で自転車をひいこら漕いでいたら、過ぎ行く車の中からみんな励ましの言葉をかけてくれた。この辺は外国人の私たちを見るとみんなスペイン語で声をかけてくる。プラサに面した宿は改装したてというか一部はまだ改装中で部屋数が少なくなっていたので泊まれてラッキー。明るくて、安くて、宿の人も良くて、まさかのwifiまであってお得だったのだけど、部屋にコンセントがなくてキッチンで充電をしなくちゃならないのだけが玉にキズ。と思っていたら、ダブルベッドが沈みすぎて寝心地最悪という残念な結果で連泊の夢は崩れた。
世界遺産でもあるテトワンの旧市街は金曜でほとんどの店が閉まっているというのもあったけど、格別どうってことはない街だった。今日こそラストのタジン。最後までエキサイトしない味だった。トテゥワンは他の街に比べてカフェやレストランの価格が高い。カフェもパンも美味しくなくなったのはたまたまか、それともフランスの影響よりもスペインの影響が強いから?(ようこ)
2013.04.13 Tetouan – Sebta(Spain) – Algeciras – Tarifa 42km+32km CampSite

モロッコ最終日なのだけどまだモロッコのお金が大量に余っているので、朝から両替屋の前でオープンするのをじっと待ち、ユーロと交換してから出発。今日の道はヨーロッパ人の別荘地がずらりと建ち並んでいるし、途中から自転車専用道まで登場するしで、すでにモロッコ色は消え去りすっかりヨーロッパに入った気持ちになる。でも逆ルートでヨーロッパから来た人は「いやあすっかりモロッコだ!」と感じるんだろうなと思うと、人の感覚っていうのは面白い。
当初の予定ではタンジェからタリファに渡ろうと思っていたのだけど、セウタからの方がフェリー代が安いと判明したので急遽セウタに向かうことにした。セウタに到着してモロッコ国境はあっさり越えたのだけど、スペイン国境では係員がスタンプが所狭しと押されたパスポートを興味深そうに眺めていた。そういえばヨーロッパで旅を終えるとなるとこれが最後の入国スタンプということになる。いろんなところで「最後の…」を感じる今日この頃だ。スペイン領セウタには大型スーパーが建ち並び、モロッコ人が大行列して買い物をしていた。お酒も普通に売っていて、まだヨーロッパ大陸に渡っていないというのにすっかり気分は別大陸にいるみたいだ。
フェリーは一人12ユーロと格安で自転車代も取られなかった。船内はビジネスクラスかというくらい立派なシートが並んでいて超快適。1時間半で着いてしまったのがもったいないくらいだ。スーパーで買ってきたビールと生ハムで早速乾杯をし、軽く昼寝をしていたらあっという間に到着してしまった。
アルヘシラスに到着すると、怖いくらいの追い風が吹いていた。おかげでアルヘシラスからタリファまで小さな峠があったにもかかわらずあっという間に走りきってしまう。海を挟んで向こう側にさっきまで自分たちがいたアフリカ大陸が見えて、なかなか壮観だ。タリファから10kmほど進んだところにあったキャンプ場に泊まる。キャンプ場なのにバー併設で生ビールが飲め、たっぷりのホットシャワーが出て、しかも無料WiFiまで飛んでいるという設備のよさに感激。久しぶりのテント生活もなんだか合宿みたいで楽しい。(ひろ)

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