Apr,13,2013

この自転車旅での山脈越えも、もう最後になるのだなと少ししみじみした。
標高が高くても低くても山を越えるというのは好きだ。
山は気象の変化をもたらし、それが景色の変化をもたらす。
自転車のゆっくりとしたスピードでさえも、一日で景色がぐんと変わっていくのを目にし、肌に触れる空気の変化を感じる山越えが好きだ。
アトラス山脈でもまた素敵な山越えができた。

切り立つ岩が迫力のトドラ渓谷から標高をあげていくと、南米アンデスのアルティプラノ(高原)のような風景になる。
乾燥した大地だけれどもそれなりに水源もあって、点在する村々の畑は豊かな緑で覆われていて、乾いた空気と瑞々しさのかけらもない茶色系に統一された岩山続きの景色の中に緑が飛び込んでくると、思わず感動で声をあげてしまう。
緑はすっかり乾いてしまった瞳に目薬を打ったかのように潤わせてくれた。
「うわぁ、きれい」とシャッターをバシバシと切ってみたものの、後で撮った写真を見てもいまいちパッとしない。
眩しい「緑」の美しさがぜんぜん写ってないんだ。

アトラスの景色の変化は素晴らしかった。
プチアンデスのような険しい岩山や土漠、ニュージーランドのような緑のローリングヒルズ、力強い赤土と濃い緑のタンザニアのような大地、春爛漫お花畑、桜を思い出させるアーモンドの花々、そしてそこに置物のようにセットされた可愛らしい家々。
アップダウンと強い風は思っていた以上に大変でてこずったけど、走っていて楽しい場所だった。

アトラスを越えきると地中海の香りがほんのりしてきた気がする。
湿度も程好く高くなって、緑もモリモリしている。オリーブの木々やブドウ畑が広がり、ヨーロッパの田舎の景色とかぶる。
何よりも地中海に近くなったんだと感じるのは、街の雰囲気が一気にヨーロッパに近づいてきたからなのかもしれない。大都市は一層パリのような街並みになり、小さな町は写真で見るスペインのアンダルシア地方の村のような雰囲気で溢れる。
「もうすぐモロッコが終わる。」というのをヨーロッパからの風で感じる。

大陸続きでもないのに、文化圏も大きく違うのに、こうやってヨーロッパに段階的に近づいていっているのが興味深い。レコンキスタや植民地時代など歴史的に大きく繋がりがあるのだから当たり前なのかもしれないけれども。
スペインのアンダルシア地方でも同じように感じるのだろうか。

そんなグラデーション的変化を感じていると、改めてカザフスタンと中国というのは衝撃的な変化だったと思う。
変化していく段階がなく、ロシア圏と中国圏が国境という線を境にスパっと変わった。
土地が繋がっていて、歴史的にもつながりがあるのにもかかわらず、それら全てが無視されるほど強烈な文化圏をつくりだしているロシアと中国という両国が、ある意味で凄いのかもしれない。

こういった変化を肌で感じながら旅できる自転車旅はやっぱりいいなと思うのでした。


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