Mar,05,2013

私たちの赤裸々な日常をつづったチャリダー日記、ニュージーランド南島編Vol.1。
今回は、クライストチャーチ到着から、バスでハーストに移動し、ワナカ、クイーンズタウンを経てテ・アナウに到着し、ケプラートラックを歩き終えるまでの日記です。
なお、GoogleMap、標高プロファイル、距離一覧表、簡単なホテル情報をNotesにまとめてありますので、そちらも参照して下さい。→Click Here!

2013.01.01 Christchurth 0km Airport

シンガポールからNZ南島のクライストチャーチへ。僕らは予定通り到着したのに、待てど暮らせど自転車が出てこない。真っ青になって問い合わせカウンターに駆け込んだら「次の飛行機で到着するからあそこで待ってて。」と事もなげに言われた。結局小一時間ほどターンテーブル付近で待ちぼうけ。新年早々ロストバゲッジかと思ってびっくりしたじゃないか。
長期戦を覚悟していた入国&検疫チェックもあっという間だった。自転車、テント、クッカー、マットに雨具とアウトドア用品てんこ盛りだというのに、自転車なんてちらっと見ただけで「うん、綺麗だからOK」とパス。結構いい加減なもんだ。午後3時には入国手続きも全部終わった。翌日は朝7時に空港からバスに乗って移動する予定だ。さすがに今から翌朝まで空港で過ごすのは長すぎて追い出されるかなと思っていたのだけど、自転車を組み立てていたら空港警備員のロスが話しかけてきて「キャンプ場は高いぞ。ここで泊ればいいじゃん。」と言ってくれたので、ありがたく空港に泊ることにする。空港職員に空港泊を勧められたのは初めてだ。
6kmほど離れたスーパーまでフル装備の自転車で夕食を買い出しに行く。今日は元旦だというのに街には正月っぽさが全くない。そういえば今日は一度も「ハッピーニューイヤー」って聞いていない。西洋文化では元旦はあまり重要じゃないとはいえ、もう少し正月の雰囲気があってもいいのに。
再び空港に戻ってきてシンプルなサンドイッチを食べた後は、ベンチを占拠して一人が爆睡、一人がWiFi&荷物番というお得意のパターンで夜を明かす。イケテない音楽がうるさかったのを除けば、ベンチも寝やすいし電源もあるし無料WiFiも快適だし、なかなか快適な夜だった。(ひろ)
2013.01.02 Bus to Cromwell 0km CampSite

朝5時に空港職員のおばさんが「寝袋をしまって、これからの時間はちゃんと椅子に座ってね。」と起こしに来た。空港で夜明かしをしたひと一人一人を丁寧に起こしに来る空港は初めて。
空港を出てすぐのところから長距離バスに乗る。コロコロ、ニコニコした運転手のジョージが、私たちがまだクライストチャーチは空港しか知らないというと、市内のバス停まで向かうルートを急遽ちょっぴり変更して街中を観光しながら走ってくれた。陽気なジョージはよく喋る。昨日から出逢うニュージーランド人は誰もが人なつっこくて陽気だ。ジョージはもっと喋りたそうだったけど、あまりの眠さに気が付いたら二人とも爆睡していた。
ランチ休憩のレイクテカポは曇り。バスを出てベンチで自前のパンを食べたのだけれども、ダウンジャケットを着ていても寒い。ニュージーランドって今は夏だよね?と二人で確認し合ってしまうほど寒かった。
目的地のハーストまでは直通バスがないので今日はクロムウェル泊。ニュージーランドは主要都市間でさえバスが多くても一日2本とかしかないし、乗り換えなくてはいけないことも多いしで便が悪い。クライストチャーチからずっとどんよりした曇り空だったのだけど、クロムウェルに到着する30分くらい前から台風のような大雨がとうとう始まる。なんだなんだ、久々のテント生活は雨から始まるのか。
運よく雨が小ぶりの中キャンプ場へ潜り込めたものの、着くなり雨足が強くなってきたので共同キッチンで雨が弱まるのを待つことにする。でも待てども待てども雨は弱くならなくて、気付けば晩御飯も済み、すっかりと日が暮れてしまって、誰も共同キッチンを利用する気配もなくなってきたので、椅子を並べてゴロンと横になってみる。「このままここで寝ちゃっても怒られないかな」なんて二人で相談していたら、キャンプ場のオーナーが現れた。雨を止むのを待っていたらこんな時間になちゃって、まだテントを張っていないというと、キッチンで寝ることを許可してくれた。ラッキー!!と喜んで早速寝る用意をしにトイレに行って帰ってくると、ひろがオーナーに向かってありがたそうにお礼を言っているところだった。「君の奥さんがあんな恰好で寝てるのは見てられないよ。」と空いているベッドルームをプレゼントしてくれたのだ。空港泊が続いて疲れた体には本当に嬉しい嬉しいお年玉だった。(ようこ)
2013.01.03 Bus to Haast, and start biking 45km CampSite

昨晩はベッドで泥のように熟睡した。結局、両親と合流するまでの1か月間でベッドに寝れたのはこの夜が最初で最後だった。オーナーの気遣いには本当に感謝だ。
今日は3時間ほどバスに乗ってハーストという町に向かい、そこからNZ走行を始める予定なのだけど、オーナーに昨晩のお礼を言いに行ったら「昨日の大雨で橋が崩れてハーストへの道路が閉鎖されたらしいぞ。」と衝撃の情報が。えー、初日から道路閉鎖ってありかよ。
とりあえず真相を確認しようとバス停に向かいバスの到着を待つことにする。そしてバス停で自転車を解体していたら、シートクランプのネジ(椅子の高さを固定するねじ)がぶちっと切れてしまった。うーん、このタイミングでネジが切れるか?最悪の場合、次の大きな街まで数日間立ち漕ぎをしないといけないかもしれない。なんか災難続きだ。
朝からブルーな気持ちでバスの到着を待つ。ところが幸いにも道路が閉鎖されたのはハーストより先で、ハーストまではバスも通常通り運行している事が分かった。そしてバスの中で切れたネジをネジ穴から取り出そうと必死に格闘すること2時間、なんとか無事に取り出すことに成功した。予備のネジは大きさやピッチが微妙に違うものの、無理やり使えば数日間くらいならサドルを固定できそうだ。ふう、これで何とか走りだせる。
バスは予定通り昼過ぎにハーストに到着。町で唯一のスーパーに昼食を買いに行ったようこが、「高い・・・」とゲンナリして戻ってきた。クライストチャーチの大型スーパーでも高いなあと思っていたのに、田舎町の小型スーパーの値段設定は衝撃的だ。NZの物価は想像以上に高い。地元民はこんな値段設定のモノを買っているんだろうか。
ハーストにもキャンプ場があったけどまだ時間があるので、少し走ってDOCキャンプ場(政府経営のキャンプ場)まで行こうと自転車を走らせたら、NZの景色を堪能する間もなく空が黒くなってきて雨がざあざあと降ってきた。なんだなんだ、このやる気をそがれるNZ旅の始まり方は?(ひろ)
2013.01.04 North of Haast Pass – Albert Town 89km CampSite

朝起きると青空が広がっていて、雨でしっとりと濡れた木々が光で輝いていて美しい。すっかりテンションも上がってきたけど、朝からサンドフライがうっとおしくてたまらない。この地域はこの蚊より小さいのだけど痒みが蚊より激しいサンドフライが多いことで有名。昨日高くて買うのを迷った虫よけが早速役に立ってくれたのが嬉しい。
ハースト峠はなかなか急で参った。自転車を漕ぐのが2か月ぶりで、自転車用の筋肉がすっかりとなくなってしまったのもあるけれど、たかが標高500mそこらしかない小さな峠をひいこら言って登るなんてなんだか悔しいと無理しながらペダルを漕いでいたけれども、とうとう自転車から降りて押すはめに。すっかり筋肉が落ちてしまったのだとショゲていたけど、後で聞いたらひろも相当苦しかったようで一安心。
雨上がりのレインフォレストが美しくて、寄り道したい森がいっぱいあるいい道だった。ワナカ湖が見えてきたら辺りからは超快晴。ワナカ湖も眩しいほどの青さで美しかったけど、お隣のハウェア湖はまるでおとぎ話の中に出てきそうな可愛らしい景色の中にあって、「こりぁ、まるでロードオブザリングの中のような景色だね」と二人ではしゃぐ。結構なアップダウンがあったのだけど、景色の美しさが疲れを吹っ飛ばしてくれた。
それにしても昨日までの寒さが嘘のように感じるくらい今日は暑かった。ワナカの手前にあるアルバートタウンという村の公営キャンプ場に着くなり、近くのキャンパーから「こんな暑い日に自転車を漕いできたんだから、これが必要だろう」とビールをもらう。暑い日だったから嬉しさ10倍!!川沿いのゆったりとしたいいキャンプ場だった。(ようこ)
2013.01.05 Albert Town – Wanaka – Queenstown 73km CampSite

7kmほど走ってワナカに到着。スーパーで買い物をしたりチャリ屋でシートクランプのねじを探したりしていたら(幸いにもぴったりサイズのねじが見つかった)、あっという間にお昼近くになってしまう。ワナカからクイーンズタウンへは遠回りの平坦ルートと近道の峠越えルートがあるのだけど、今日は天気もいいので峠越えルートを通ることにする。峠はずっとなだらかにだらだらと登り続けたのに、最後の数キロでつじつまを合わせるようにグンと傾斜が上がってきつい激坂になった。NZの道は路肩も狭いし、傾斜も急だし、車の運転は荒いし、全然チャリダーフレンドリーじゃない。ずっと緩やかに同じ傾斜を保って登り続けるペルーの道を見習ってほしい。
峠までの道のりは景色もボチボチだったけど、峠を越えてクイーンズタウンに向かう下り道に入ると、これぞNZという風景が広がった。興奮するような絶景じゃないのだけど、心穏やかになる、のどかで平和で羊が似合う風景だ。こんな童話みたいな風景って本当に存在するんだなあ。
今日の目的地クイーンズタウンは世界的に有名な観光地で、街には観光客がわさわさと溢れかえっていた。最寄りのキャンプ場の場所を聞こうと観光案内所(i-SITE)に向かう。i-SITEの職員は凄く親切でキャンプ場を場所や値段をテキパキと調べて予約までしてくれた。とはいえ街中にあるキャンプ場は二人で50ドル(約4000円)という衝撃的な値段。高さにびっくりした真夏のヨーロッパのキャンプ場を軽く越え、今までの人生で断トツに一番高いキャンプサイト、あり得ない値段設定だ。二人して目をまんまるくして驚いていたら、職員が「街中ではこれが一番安い宿泊オプションだし、設備の整ったとてもいい所よ。」と必死に慰めてくれた。もう夕方遅いし別の選択肢もないのでしぶしぶキャンプ場に向かい、クラシックが流れるゴージャスなレセプションへ。すると受付のお姉さんから「あ、シャワーは別料金で2ドルだから」としれっと宣告されてしまう。この値段設定にしてシャワーは別料金ですか・・・泣きっ面に蜂とはこのことだ。しかもあてがわれたサイトは駐車場みたいな小ささで、さらに隣のキャンパーが僕らの敷地を占領して荷物を広げていた。なんだか怒る気力も湧いてこない。この街には惨敗だ。(ひろ)
2013.01.06 Queenstown – Mavora Lake 54km CampSite

クィーンズタウンから45分ほど船に乗って湖の対岸へ渡る。無駄に豪華な観光船しか移動手段がないので仕方がないのだけど、45分で30ドル(自転車はプラス5ドル)って高いよなぁ。ピアノの生演奏なんていらないからもっと安くしてよね。船乗り場前でNZ写真を売っている写真家ジェイソンに話しかけられた。ニュージランド人っていうのは話しかけてくるのが上手い。フレンドリーなんだけど強引じゃなくて、気づいたら隣で楽しく喋っているという、なかなか素敵な「間」を持っている人たちだと思う。
対岸に降りて自転車で走り始めると、青い湖と雪山という、スイスをちょっと大きくした感じの景色が広がる。NZの景色はどこまでもメルヘンだ。暑くてジリジリする中チンタラと峠を越える。相変わらず最後の1kmくらいが無理矢理な坂で、またもや自転車を押す羽目に。今まであまり自転車を押すことはなかったのに、NZではなんだかしょっちゅう自転車を押している気がする。峠を越えたら辺りから猛烈な向かい風になった。ゴォーゴォーと激しく風が顔を打つ。今日は未舗装路とはいえ60kmも走らないから余裕で到着して午後は半休憩だねって話していたのに、全然余裕じゃなかった。途中で橋のない川を2回も渡るおまけ付き。水が冷たい!キャンプ場に到着してすぐ晩御飯の用意をして食べ終わってふぅーと一息ついたら、もう夜9時を過ぎていた。
気のいいDOCの管理人ティムが食後に車でマボラ湖をくるっと案内してくれる。夕方(といっても10時近く)の優しい光で周りの岩が赤く染まり、湖が深くて静かな青い色になっていて、なんとも雰囲気がいい。森の中で各々が静かに好きな場所でキャンプできるようなキャンプ場は世界中探してもあまりない。川の水をくみ上げる水道とボットン便所しかないキャンプ場だけれども、私たちにとっては思い出に残る素晴らしいキャンプ場だった。ドラム缶がおかれた場所で焚火ができたのもボーナス。久々の焚火を楽しんだ。パチパチという音と火の光りは、永遠に聞き続け見続けられるのではないかと思うほど飽きない。天気が良ければ連泊したかったな。(ようこ)
2013.01.07 Mavora Lake – Te Anau 66km CampSite

朝から一面の曇り空。朝食を食べていたら雨がポツポツと降りだした。これでは連泊してもしょうがないと、後ろ髪ひかれる思いでキャンプ場を出発。でも1時間ほど雨の中を走っていたらどんどん空が明るくなって青空が広がってきた。なんだよー。
しばらく走って舗装路に合流し、そこから進路を西に変えて向かい風の中テ・アナウに向かう。途中、道端で昼ご飯を食べていたら対向車線からカナダ人サイクリストのスティファンが登場。僕らのチャリについているタルチョを見て「お、ネパールに行ったのか。俺もこの後はネパールに行くんだよ。」と嬉しそうに話しかけてきた。ネパールからNZに飛ぶチャリダーなんて僕らくらいなもんだと思っていたのに、意外とNZとネパールという組み合わせはメジャーなのか?
テ・アナウではケプラートラックという2泊3日のトレッキングをする予定だ。町に到着するなり早速天気予報をチェック。すると明日は晴れるけど明後日は超が付くほどの豪雨という悲しい予報が。まさかそんな大雨の中で歩く訳にいかないので、この何もない町で天気待ちのために3泊する事になってしまった。ああ、こんなことなら今日もマボラレイクに泊っていればよかった。何だかNZは天気についていない。(ひろ)
2013.01.08 Te Anau 約30km CampSite

今日は見事な快晴。こんな日にキャンプ場で休憩っていうのは勿体なさすぎるからどこかへ行こうかと頭を悩ませるが、自転車で日帰り可能な距離には何もなく、仕方がないのでケプラートラックの入り口まで散歩がてらに自転車で行ってみることに。あっという間に着いてしまって、川沿いでスナックを食べてすごすごとキャンプ場に戻る。晴れている日の休憩っていうのはそれはそれで楽しいのだけれど、天気が変わりやすいNZでは晴れている日に休んでると何だか勿体ないと焦ってしまうのだ。とはいえ、今日はどこへも行くところもないわけで素直に休むことに。テントの中はポカポカして気持ちいいし、洗濯物もよく乾いて嬉しい。午後、図書館の無料wifiを使いに行く。小さな図書館のwifiエリアは若者でいっぱい。そして日本人のワーホリらしき人たちもいっぱい。ここに限ったことではないのだけど、日本人ってネット好き?と感じることが多い。
夜、食器を洗って乾かしている間にフライパンの取り外し式の取っ手が無くなっていることに気づく。ちょっと目を離しただけなのに悔しい。フライパン自体を取られるよりはマシだけど、取っ手がないのも困る。金銭的には大したものではないけど、物を取られるって後味が悪い。(ようこ)
2013.01.09 Te Anau 0km CampSite

昨晩から降り始めた雨は、これでもかというくらい見事に一日中降り続く。しかも予報通り台風並みの豪雨&強風。ここまで降れば「屋内に籠るなんてもったいない」という気持ちは微塵も湧いてこないので、共同リビングで一日中パソコン仕事をすることにする。こういう時、ヨーロッパのキャンプ場だと共同リビングがないからテントの中かキッチンにいるしかないのだけど、NZのホリデーパーク(私設キャンプ場)は広くて快適で電源も取れる共同リビングがあるので助かる。
午後、あまりにも雨が降り続けるので心配になってテントを見に行くと、テントの下の地面に水がたんまり貯まっていて、テントの床がウォーターベッドみたいにプニプニにした感触になっていた。でも内張りのコーナーから少し水が沁み出ているだけで被害はほとんどない。これが初代アライテントだったら、コーナーから側面から床下から浸水しまくって大変なことになっていた。やるじゃないか、2代目ムッシュウ君。
結局雨は一日中やむことなく降り続いた。この町を起点とする世界的に有名な観光地、ミルフォードサウンドへの道も閉鎖されたようだ。僕らは今回ミルフォードサウンドには行かず、両親と一緒に車で行く予定だからいいのだけど、ミルフォードサウンドを楽しみにしてこの町に来た人もたくさんいるだろうに可哀そうだ。(ひろ)
2013.01.10 Kepler Track (day1) 0km CampSite

今日は小ぶりになるって天気予報はいっていたのに朝から見事に雨が降り続ける。一緒にトレッキングに行くことになったケベック人サイクリストのジュリアンと3人で、共同リビングで雨が上がるのを待つ。今日は2時間ほどしか歩かない予定だから何時に出発してもいいのだけれど、重いグレーの雲に覆われて、ひっきりなしに雨が降り続ける様に3人ともすっかり暗い。ジュリアンはもう3週間ほどNZを走っているのだけれどほとんど雨続きだったようで、「もう雨は嫌だ」と若干雨アレルギー気味だ。結局3時過ぎまで天気を待って、たまらず出発した。
歩きだすと不思議に小ぶりになって、空も明るくなってきた。湖沿いのトレイルはかなりの場所が水没していて、昨日今日でかなりの雨が降ったことを物語っていた。ケプラートラックが始まるやいなや美しいブナの森が始まった。深い緑のレインフォレストは美しかった。さっきまで雨が降っていたからこそ、緑がより深く美しく見える気がする。雨も悪くないのだ。緑が濃い。トロピカルフォレストのような雰囲気の森を歩いていると、寒くて厚着しているのが不思議な感じがする。写真で見たら、ここが10度前後だなんて想像すらできないだろうし、ムワっと水蒸気すら感じるのではないだろうか。
トロピカルな森やフワフワの苔の森を楽しんであっという間に一日目のキャンプサイトに着いた。キャンプサイトにも沢山フワフワの苔がある。ここの苔は日本の苔ともまた違って、毛足が長めで、水分を沢山貯める。ビロードの絨毯のようにつやがあって肌さわりが気持ちいい。苔の上に乗って歩くとトランポリンで遊んでいるような楽しさがある。
苔遊びも終わって、「さぁ、ゆっくりしよう」とご飯の用意を始めたら、さっそくサンドフライの襲撃が始まった。動いているときは寄ってこないサンドフライなのだけど、停まってしばらくするとあれよあれよと集まってくる。蚊より小さいのだけど、刺されると蚊の数倍痒く、痒みが数日続くのでめんどくさい。サンドフライをバタバタと追っ払っていたら、アメリカ人の女の子が「私はベジマイトを食べ始めたらサンドフライに刺されなくなったのよ。」とサンドフライ地獄の中で釈迦のごとく平静に座って本を読んでいる。彼女の周りにも無数のサンドフライが飛びかっているのだけれども、どうやらほとんど刺されないらしい。半信半疑ながらも彼女がベジマイトをパンにつけて食べていたので一口もらってみる。いや、もちろんその一口で何かが変わると思ったわけではなくて、ただマズイと悪名高いベジマイトを味見してみたかっただけなのだけれども。初めてのベジマイトは岩ノリのような味がした。思っていたほど悪いものではなかったかも。(ようこ)
2013.01.11 Kepler Track (day2) 0km CampSite

今日こそ快晴予報のはずなのに、朝からどんより曇り空。そのうち天気が良くなるかなと期待して歩き始めたものの、森林限界線を越えて尾根に出るころには雨がぱらぱらと降り始めた。しかもふっ飛ばされそうな強風も吹き荒れている。晴れた日に尾根を歩きたいからと昨日はわざわざ有料キャンプ場に泊って今日尾根に出るよう反時計回りルートを選んできたというのに(逆回りだと初日はトラックをはずたところに無料キャンプサイトがある)、なんだかNZの天気には翻弄されっぱなしだ。
今日は時折雨もやんだし、強風で雲が吹き飛んだタイミングでは周りの風景が見えたりもしたのだけど、ケプラートラックは残念ながら心に響かなかった。フィヨルドも森も山も湖も美しくて、まるで「綺麗な景色ダイジェスト」のように次から次へとバリエーションに富んだ景色を見せてくれるのだけど、だからといって一つ一つがすごく絶景!という訳ではない。まあこれも快晴のもとで歩いていたら印象が変わっていたのかもしれないとも思う。
しばらく尾根を歩くとトラックは再び森の中に入って行った。そして程なく土砂崩れゾーンに突入し、膝下までドロドロになる道を進む。なんか生々しい土砂崩れだなあと思っていたら、一昨日の大雨で崩れたばかりなのだそうだ。一昨日は大人しくキャンプ場で待機していて正解だった。
このケプラートラックは2泊3日が標準コースなのにキャンプ場は2か所しかない。必然的にキャンプ組は同じ行程になるので今日のキャンプ場の面々は昨日とほぼ一緒だ。2日目ともなるとみんな打ち解けて和やかな雰囲気になる。じゃあ夕方のひと時をみんなで楽しく過ごそうかなんて思っていたのに、今日のキャンプ場はサンドフライの量が半端なくて全然落ち着かない。服の上から刺してこないのが救いだけど、うっとおしくてしょうがないので、みんな早々にテントに退散。(ひろ)
2013.01.12 Kepler Track (day3) – Te Anau 0km CampSite

天気予報では昨日より今日のほうが天気が悪かったというのに、今日は快晴。今日は森歩きだから晴れていなくてもよかったのにな。「あー、今日尾根を歩いていたら景色が良かったんだろうなぁ」と恨めしい気持ちで何度も空を眺めてしまう。なんかニュージーランドの天気とはまったく相性が合わないようで、こんなんばっか。こんなに恨めしい気持ちになるのが続くと性格が暗くなっちゃいそうだよ。テンションが上がらなかったのもあるけど、今日の森はあまり面白くなかった。初日の森のほうが雰囲気があったのもあるし、しっとりした森は意外と雨が降っている方が美しく見えるのかもしれない。
ケプラートラックを終えてキャンプ場に戻り、その足で「お肉、お肉♪」とスーパーへ向かう。今日はがっつり肉にするんだ、肉だけでお腹いっぱいにするんだと昨日から決めていたのに、スーパーの肉売り場に着いてションボリしてしまった。食べたい肉がないのだ。値段に見合う美味しそうな肉がない。高い値段のラベルが貼ってあるのに全く美味しそうに見えない肉しかない。田舎のスーパーだから仕方がないのだけど、思わず二人してアルゼンチンに想いを馳せてしまった。夜はキャンプ場で出会った世界一周中の日本人ご夫婦と一緒におしゃべりしながらご飯。オーストラリアはNZよりさらに物価が高いんだと聞かされてびっくり。久々に日本語でいっぱい喋って楽しかった。明日はバスでダニーデンまでワープ。天気が良い場所に早く移動したい。(ようこ)

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