Jan,13,2013

最初の目的地、標高5545mのカラパタールに向かう日は朝から強風が吹き荒れていた。
氷河や崖に落ちるような道ではないけれども、それでも突風が吹くと道から吹き飛ばされそうになるので、いちいち立ち止まっては岩にしがみつく。
ゴラク・シェップという標高5160mにある最後の村にたどり着いたら、宿のおじちゃんが「いやー寒かったでしょ、今日の風は異常だからねー」と笑っていた。
そういえば、山の雪が吹き飛んでいるせいで、雲はないのに山際が白く乱れている。


寒い、寒すぎる!

エベレスト街道の分かりやすいゴールは、エベレスト登山の起点となるエベレスト・ベースキャンプ(EBC)なのだけど、実はEBCからはあまり綺麗な景色が見られない。
それよりもゴラク・シェップから2時間ほど登ったカラパタール山頂の方が、エベレストをはじめとするパノラマビューが見られるスポットとして有名だ。
僕らもEBC方面は散歩するだけにとどめて、夕日に合わせて強風吹き荒れる中をカラパタールへ登ることにした。


雪山を見上げながら歩いていると、自分が標高5000m以上の場所にいるとは信じられない。

吹きっさらしの中を歩き続けたカラパタール。
とにかくメチャクチャ寒い。持っている服を全部着こんで、合計7枚(しかもダウンジャケットを2枚)も重ね着しているのにまだ寒い。
写真を取るために一瞬手袋を外したら指が引きちぎれそうになった。
やっと到着したという興奮と強風にさらされ続けて寒いのとがごちゃまぜになって、まるで徹夜明けのような異常なハイテンションの中で山頂に到着した。


左側の黒っぽい山が世界のてっぺん、エベレスト。


中央右付近で人が点々と見える場所がカラパタール山頂。もう少し!

すさまじい。
本当はもっと温かい環境で落ち着いて静かに山頂を堪能したかったのだけど、
そんな寒さも忘れてしまいそうになるほど、カラパタールからの景色はすさまじい。
圧倒的な風景を目の前に、自然と涙が出てくる。
体の中から熱く込み上げてくるとか、目頭がじーんと熱くなるとか、そういうのじゃない。
ただ自然と、静かに、音もなく涙が溢れてくる。

世界の頂上エベレストを中心に、無限の広がりを見せる7、8000m級の山々。
本当に美しいものには下手な細工なんていらないのだ。
蒼い空、白い山。それ以上に何が必要だと言うのだろう。
そして、やがて静かにゆっくりと夕焼けは進み、エベレストがピンク色に染まり出した。


夕暮れのエベレスト。もう言葉は要らない。

トレッキングルートを決めているとき、エベレスト街道なんて一番人気で一番混んでいるルートだからと敬遠しようかとも思った。
でも一番人気にはやっぱり理由があるのだ。
どれだけ混んでいようと、どれだけ観光地化されていようと、このスペシャルな風景は世界中でここにしかない。

これぞネパール。これぞヒマラヤの風景。
ここまで来れて良かった。Yes,We made it!


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