10年ぶりに訪れたポカラ。
標高800mの街から標高7,8000m級のアンナプルナ連峰がドドンと見える、ネパールを代表する観光地にして世界中の旅人の憧れの街だ。
二か所あるツーリストエリアの一つダムサイドは、10年前とほとんど変わらずすっかり流行に取り残されたエリアになってしまったようだけど、もう一つのレイクサイドの発展といったらすごい。
ツーリスト向けのカフェが爆発的に増えていて、まるでバンコクのカオサン通りのようだ。
レイクサイドのメインストリートなんて、和・洋・中、あらゆるジャンルのレストランが所狭しと立ち並び、街ゆく人々は現地人よりも観光客の方が圧倒的に多い。遠くにアンナプルナの山々が見えなければ、ネパールにいることすら忘れてしまいそうになる。
そしてとにかく目に付くのは中国語と中国人。
街を歩くアジア人のほとんどが中国人だ。そしてカフェも宿も土産物屋も、どこに行っても中国語の看板が並んでいて、街を歩いていても「ニイハオ」と声をかけられる。
誰もがおしゃれな(中国人的におしゃれな)恰好をして、すごく高価なカメラをぶら下げていて、いかにもお金持ちって雰囲気を醸し出している。そういえば中国人の億万長者は日本の人口と同じくらいいるそうだ。
この先ますます増えるであろう中国人観光客をターゲットにすることは世界中のツーリズム関係者が考えていることなんだろうけど、ここまで積極的に中国人旅行者の方を向いた街は世界中を探しても他になかった気がする。
ネパール人はそういう流れに敏感に反応する能力を持っているのだろう。
1時間くらいずっとついてきた可愛いワンコ。途中の下り坂で置いてきてしまった。ごめんね。
さて、世界の憧れポカラに到着した僕たち。
そんな街で何をしていたかといえば、部屋にひきこもってインターネットばかりしていた。
ちょうど本格的に腰を据えて調べなければならないことが溜まっていたのだ。
宿で一日中つながるWiFiがあるのは、こういう時非常にありがたい。
非常にありがたいのだけど、調べれば調べるほど出てくる情報の無間地獄には、すっかり食中毒気味になってしまう。
インターネットの登場であらゆることが快適になり、時間が大幅に短縮されたというけれど、
一つ一つが快適かつスピーディーに事が進むようになったのと反比例して、取捨選択をしないといけない事が飛躍的に増えたのだから、結局労力は変わらない。
いや、情報量が莫大な量になった分、玉と石を振り分ける労力が増えてしまったのかもしれない。
「じゃあインターネットなんて使わなければいいじゃん、昔はそんな情報なくても楽しく旅ができたんだし。」と思うのだけど、一度手に入れた利便性はなかなか捨てられないのが弱いところでもあり、悲しいところでもある。
それにしても、ベストシーズンのポカラでひきこもっているなんて、我ながらどうかと思う。
まあポカラは3回目だし、アンナプルナは1か月かけてトレッキングした事があるので、何かを見逃しているという訳ではない。
でも毎朝くっきり見えるマチャプチャレを宿の屋上から見上げる度に、「なんてもったいない日々なんだー」という気持ちが消えなくて、どうしても心が曇ってしまう。
それでもやらなければいけないことが溜まっているので、朝から夜中までパソコンに向かいっぱなし。すっかり寝不足だ。
そんな不毛なポカラの日々。滞在5日でようやく一段落ついたので、カトマンズに向けてネパール最後の走行を再開することができた。
出発の日は、アンナプルナ連峰がより一層美しくくっきり見えて、曇った心に沁み入ってくる。
「便利だからって機械にしがみついて、人とも会わず、美しい山も楽しまない。君たちはそれでいいのかい?」
アンナプルナがそう語りかけてきているような気がした。
ポカラからアンナプルナを見上げる。
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