Oct,19,2012

レー・マナリロードからスピティバレーに向かう道に入ってから2日、
道が悪いのと天気が悪いのとですっかりとご機嫌も悪くなってしまった。
昨日はたったの30kmを5時間もかけて走った。
悪路なのは構わないとしても、天気が悪くてまったく周りの様子が見えない上に寒くてどんよりとした走行は性格も暗くさせる。地図でみると氷河が点在している素晴らしそうな地形なのに、足元の石ころしかはっきりと見えない。


メインロード沿いのバタルという村から14km寄り道したところにチャンドラタルという湖がある。
行ってみたいような、行くのは面倒なような。
とりあえず天気も悪いので、決断は明日の天気次第ということでバタル村にテントを張らせてもらう。
「いつもはいい天気なんだけどね~、明日は晴れるといいね。ガハッハ」とバタル村の食堂のおじさんは陽気に笑う。
晩は幸い雨が降らなかった。
朝、期待を持って元気よくテントを開けると、どんよりとした雲が一面に張っていて、昨日と変わらない天気だった。
がっかりしたような、天気が悪いのを理由に寄り道せずに済んで良かったとすら思ってしまうような。

朝食を食べて外に出てみると少しずつ青空が見えてきた。
食堂のおじさんも空を見上げて「夜は降るかもしれないけど、昼は晴れるぞ、きっと。」という。
迷いに迷ったあげく、若干やけっぱちぎみにチャンドラタルへ寄ってみることに決めた。
たかが28kmの寄り道かもしれないけれど、昨日のような悪い道の28kmだったらと思うと、どうもポジティブになれなくて、「えいやー!」という気合いがいるのだ。


前でひろがすっかりヤギと羊に囲まれていて大笑いしていたら、いつの間にか荷自分のまわりもメーメーうるさくなっていた。


恐れていた道はそれほど悪くはなかった。

迷った時は行くに限る。
後悔するなら行って後悔したほうがいい。
とポジティブな気持ちになると素直に思える。
そしてどんな気持ちの状態のときもそのような決断ができるようになれればいいと思う。


チャンドラタル行きは吉と出た。
曇り空でもチャンドラ川沿いの景色は美しかった。薄いピンクの川辺がなんとも優しい色で、翌日の晴れ空で見た色よりも遥かにドラマチックだった。
晴れが全てじゃないのね。


チャンドラ湖よりもこちらの氷河の景色に心を奪われた。

実際のところ、湖そのものは晴天でなかったのもあってそれほど感動的ではなかったのだけど、
チャンドラタルはまわりの景色が素晴らしかった。
そして絵に描いたような氷河と雪山を見下ろす絶景ポイントにテントを張ることができたのが何よりのご褒美だった。
テントの周りをくるっと360度見渡しては「はぁー」と感激のため息がでてしまうほど、
素敵な二人だけのキャンプ地。
この4年間のなかでも1番素敵なテントサイトのひとつだと思う。
夕方からどんどんと晴れてきて、美しい夕日が優しく山々を照らすのを幸せな気持ちで眺める。
来てよかった。

迷った時は行ってみるに限る。
そういうポジティブな選択をして生きていければなと思う。


幸せな今日の宿泊地とせっせと食事を作るひろ。



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