Aug,10,2012

私たちの赤裸々な日常をつづったチャリダー日記、アルプス周遊編Vol.3。
今回は、エクスレバン出発から、モンブランの麓シャモニーを経由して、マッターホルンの麓ツェルマット(スイス)に至るまでの走行日記です。
なお、GoogleMap、標高プロファイル、距離一覧表、簡単なホテル情報をNotesにまとめてありますので、そちらも参照して下さい。
フランス編
スイス編

2012.06.19 Aix les Bains – Marlens 60km Camping Site

朝から奇跡が起きた。昨晩インターネットで新しいカメラを購入しようとしたら決済がうまくできずに失敗したので、念のためエクスレバンの小さなカメラ屋に寄ったら、欲しかったカメラ、CANONのS100がピンポイントで置いてあった。3日前に見た時はなかったのに!店員に聞けば2日前に入荷したばかりらしい。何というミラクル!
他に食料などを色々買っていたら出発は昼過ぎになっていた。ザビエル家で飽食したので体が重い。おまけに天気もどんよりしていて蒸し暑い。最初はザビエルお勧めの峠越えルートを通る予定だったのだけど横着して湖沿いの簡単ルートを取ることにした。アネシーを経由し、アネシー湖沿いのサイクリングコースを走る。天気が悪くても綺麗な色をした湖だったので、晴れた日に見てみたかった。(ひろ)
2012.06.20 Marlens – Les Houches(Chamonix) 66km Camping Site

今日は出発してすぐ道路工事のため迂回を余儀なくされる。この迂回がやっかいで無駄に標高600m分くらい登る。まるで峠のような登り道なのもムカつくけど、なんたって本来通る道はだいぶ下を走っているのが時折見えるので、結局下らなければならないのが分かっているだけに腹が立つ。とはいえこの迂回路を通るしかないので仕方がない。ろくに村もないのでパンも買えず、エマージェンシーフードで空腹をしのぎ、なんとか見つけた消防署で水をもらう。やっと本道に戻り村に辿り着いたものの13時。「はぁ、シエスタタイムだからどうせ店は開いてないわ」とがっくりしていたら開いているパン屋発見。喜んで大きなバゲットを買い二人で勢いよくかじりついた。まぁこうも毎日バゲットを朝昼と食べ続けて飽きないものだなと思うくらい、バゲットは美味い。お腹がいっぱいになって元気よくシャモニーへ向かう。が、再び迂回。今度はメインの一般道は自転車は駄目ってこと。どの道を通ったらいいのか良く分からなくてオロオロしていたら自転車乗りのおじさんが「あっちあっち」と急斜面に家々が並ぶ村の方を指さして教えてくれる。「へえ、あんなとこ登っていくの?」とへこむけどこれも仕方なし。いや、ほんと急な坂をひいこら登っていく。登った先のまた先にキャンプ場がある村があったので、今日は思いのほか疲れたため休むことに決めたのだけど、これまた思いのほかキャンプ場が質の割に高くて、疲れた体に鞭を打って一山越えた村まで行くことになった。ツーリストインフォのおねえちゃんが「シャモニーまで電車でたったの2ユーロよ。」とささやく。もう疲れ切った私は「2ユーロ、払う払う。乗る乗る!」とまんまと悪魔のささやきにのるところだったけど、ひろにずずずっと引っ張リ戻された。面倒な登りだったけど、田舎の小さな家々の間をゆっくり登っていく道は悪くはなかった。そしてやっとこさ辿り着いたキャンプ場はなんと二人で9.5ユーロ。ひとつ前のキャンプ場はしけたところだったのに23ユーロだったので頑張った甲斐があった。それにキャンプ場そのものは駐車場のような色気もないようなところだったけれども、どどーんと山々が見えて素敵なところだった。(ようこ)
2012.06.21 Les Houches – Les Bossons(Chamonix) 5km Camping Site

Les Bossonsでは数日滞在する予定だったので、いくつかキャンプ場を回って家探し。結果、最初に見た一番安いキャンプ場が一番素敵だということになった。なんてエコノミカルな人たちなんでしょう。早速テントを張り、枕を洗って乾燥機にかける。ザビエル家で枕を洗わせてもらったのだけど、中までちゃんと乾いていなかったのでカビ臭くなっていたのだ。
Les Bossonは何もない村だけど、数キロ離れたシャモニーはこれぞ観光地!といった風の街並みが続いている。欧米人観光客や日本人ツアー客が沢山街を歩いている。ずっとフランスの田舎を走ってきたので、こういう観光地はものすごい違和感がある。今日は夕方から天気が悪くなるという予報だったのだけど見事にその通りで、夕方6時を過ぎたら突然ヒョウが降ったり突風が吹いたりと大変な天気になった。お陰でせっかくの洗濯物も枕もびしょぬれだ。(ひろ)
2012.06.22 Les Bossons 0km Camping Site

本日は天気予報通り晴れ。シャモニー付近に泊まると公共バスや電車に無料で乗れるフリーパスがもらえるので登山口までバスに乗っていく。登山口っていってもケーブルカーで途中まで行くのでケーブルカー口っていうのかな。ケーブルカーはあっという間に標高2000mまで連れて行ってくれる。もちろん自分で登って行ってもいいんだけど、往復1500円だし、そこまで情熱も湧かずケーブルカー様に連れて行ってもらう。いくつかあるハイクルートのうち選んだのはホワイトレイクハイク。天気はいいし、モンブランを始め素敵な雪山が向かい側にずらーっと並ぶ。正直モンブランは見た目は派手ではなくて、「え、どれ?」というくらい主張しないシェイプをしている。気持ちのいいハイキングルートだったのだけど、景色も素晴らしかったのだけど、なんだかちょっと白けている自分もいる。なんでだろ。自転車で走っている時に見たフレンチアルプスの山々のほうが良かったなって思ったりして。なんか美人過ぎて面白くないのかな。時間も体力もまだまだあったのだけど、ひろの膝も休ませたほうがいいという言い訳をつけてホワイトレイクハイクだけで終了することにした。明日は休憩日にすることにして、今日もいっぱい飲んじゃおうかとスーパーでおつまみとワインを両手いっぱいに買ってホクホクで買える。(ようこ)
2012.06.23 Les Bossons 0km Camping Site

今日はいい天気の中、キャンプ場でひたすら雑用をこなしていく。枕を洗い直したり、テントのメッシュ部分にカーテンをつけたり、自転車を修理したり、穴のあいたカバンを修復したり、荷物を整理したりと、意外と時間がかかる仕事が多くてあっという間に一日が終わっていく。このキャンプ場はモンブランが間近に見えて景色もいいし、木陰も多いし、安いし、キャンピングカーは少ないし、オーナーのおばちゃんは少しケチだけどいい人だし、気持ちがいい。
夕方、シャモニーのスーパーへ買い物に行く。ようこが買い物している間スーパーの外で自転車と一緒に待っていたら、奇声をあげて僕に突進してくる人がいる。びっくりして顔をあげたら、なんとベネズエラで会ったテリアとホルヘのスペイン人カップルだった。ロライマ山を一緒に登った二人とシャモニーのスーパーの前で再会するなんて、世界は広いけど世間は狭いとはよく言ったものだ。クライマーの彼らはこれからモンブランに登るとのこと。あの頂上に立ったらどんな気分なんだろう、想像するとワクワクしてくる。いつか本格的な登山もしてみたいなあ。(ひろ)
2012.06.24 Les Bossons – Border – Sierre(Switzerland) 94km Camping Site

楽しかったフランスともお別れ。バゲット&ワイン生活もこれで最後かと思うと寂しい。チーズはスイスも有名だから大丈夫だけど、でもスイスは高そうだからなぁ。今日の2つの小さな峠道もきれい。スイスの国境は一応人がいて、通過する車を調べたり調べなかったり。ひろが買ったカメラのVAT(税)リファンドができればと思いイミグレに寄ってみたけど、「レシートだけじゃだめで専用のシートがいるんだよね、残念だね」と明るいおじちゃんに爽やかに却下されてがっかり。立派なレシートだったからいけるかなって思ったのにな。
スイスの最初の町マルティニーに下る。スイス一つ目の町はあまり美しくなくてまたまたがっかり。でもこの街には良いと評判のピエール・ジアナダ美術館があるので寄ることに。治安のよいスイスだから大丈夫だろうとフルパッキングの自転車を美術館に横付け。美術館そのものがいいというよりは、大部分のフロアが企画展なので、その時の展示が何かによるのだけれども、よい企画展が多いらしい。私たちのときはポンピドゥからのポートレート画展でなかなかおもしろかった。
追い風も吹いているししばらく道はフラットだからとぐんぐん進む。楽ちんだけどあんまり楽しい道ではない。でも久々の平坦な道なのはいい。そろそろキャンプ場があるといいんだけどと思い出してからが長かった。「キャンプ場こちら」というサインがなかなかトリッキーでキャンプ場がみつからない。やっと見つかったと思ったら年間契約者のみのキャンプ場とか言われてショボん。なんじゃいそれ。次に見つけたキャンプ場は4つ星でバカ高くて、やっとの思いで見つけたキャンプ場もフランスの倍くらいしてがっくりだったけど、レセプションのおじさんが陽気ないいおっちゃんで、「おー、きみたちは初めての日本人だよ、ウェルカムウェルカム」と白ワインを出してくれて、それをグビッと飲んだらなんだかこっちも陽気になってきた。(ようこ)
2012.06.25 Sierre – Zermatt 64km Camping Site

朝、キャンプ場のおじちゃんにバゲット売ってない?と聞いたら、本当は売り物ではないレストラン用のバゲットを特別に売ってくれた。相変わらずいいおじちゃんだ。雨が上がるのを待ち、おじちゃんとお別れをして12時ころ出発。Vispの街までは平坦&追い風でラクラク走行だった。でもようこの後輪ハブからは物凄い異音がして、不快な振動がペダルにまで伝わってくる。エクスレバンで修理したばかりのハブだけど、どうやら本格的に寿命のようだ。なんとかフリブールまで持ってくれるといいけど。
Vispの街でツェルマットに向けて食料品を買い込むべくスーパーへ。心配していた物価も死ぬほど高いというわけではなくてホッとする。フランスよりは高いけどノルウェーよりは安い感じかな。その後は、ひたすら谷を登り続けて夕方7時ころツェルマットに到着。キャンプ場にテントを張った後、ようこがビールを買いに街に出たら、すれ違う人の半分以上が日本人だったとびっくりして帰ってきた。そういえばキャンプ場の目の前のホテルは、出てくるのも入っていくのもみんな日本人だ。走行中にすれ違った観光バスも9割くらいが日本のツアーバスだった。ツェルマットってそんなに日本人に有名なのか、というよりも日本人以外には有名じゃないのか?(ひろ)
2012.06.26 Zermatt 0km Camping Site

今日はもともと天気予報で雨と知っていたので朝からの雨にがっくりすることもなく休憩日としてノンビリとする。それにしてもよく雨が降り続けるのだけれども、新しいテントはまだ水の弾きもいいし、水漏れもしないし、前後室がたっぷりあって荷物が外に置けるので、居住空間が広くてテントの中にいても苦じゃないのがいい。ここのキャンプ場はシンプルなんだけど、なにせツェルマット自体に観光客の車の乗り入れができないからキャラバンや車のキャンパーがいないのがいい。それに熱いシャワーは出るし、フリーに使えるテーブルや椅子が沢山置いてあって自由に使えるのもいい。久々にテーブルと椅子でご飯。あと木陰がもうちょっとあればいいのに。明日は本当に天気予報どおり晴れるんだろうかと心配になるほど夜もずっと雨が降った。(ようこ)
2012.06.27 Zermatt 0km Camping Site

朝からいい天気でマッターホルンが綺麗に見える。早起きしてスネガ展望台までケーブルカーに乗り込む。乗客の9割が日本人だったけど、一歩ハイキングルートに出ると誰もいなかった。みんなどこに行くんだろう?そこからゴルナーグラートの展望台までひたすら登り続け、展望台で折り返して別ルートでツェルマットまで下る6時間くらいのハイキング。マッターホルンがいつもパキっと見えていて気持ちいいハイクなのだけど、正直それほどの絶景という訳ではない気もする。氷河なんて後退した後が薄汚く残っているだけだし。マッターホルンは堂々としているけれど、個人的にはハイクルートからではなくて街から見る角度の方が美しいと思う。でもゴルナーグラートからリフェルベルグまでの世界的に有名な下りルート数時間はその名に恥じない綺麗な道のりだった。そこだけ歩けば十分かな。
キャンプ場にはマッターホルンに登るというクライマーが多くて、その人たちを見ていると羨ましくてしょうがない。実はクライマーの一人からガイドをつければ素人でも行ける4000m峯があると聞いていたのだけど、調べてみたらほんの数時間・数100mアップの登山に一人2万円以上もすることが分かって諦めた。南米とかの登山と比較しちゃだめだけど、やっぱりあまりに高すぎて手が出ない。ううん、南米でもっと山に登っておけばよかった。(ひろ)

yokoandhiro | Diary, France 2, Switzerland
© yokoandhiro All rights Reserved. | 管理者ページ