Jul,11,2012

スイスにほど近いエクスレバンにはアルゼンチンで出会った素敵な家族が住んでいて、「フランスに来る際は寄ってね。」と嬉しいお誘いをもらっていたので、喜んで会いに行った。
ヨーロッパ旅は、旅そのものの楽しみだけではなくて、世界中で出会った友人たちとの再会というのも大きな楽しみの一つだ。友人たちと再会するという事自体も嬉しいし、その土地に住む友人がいると、旅人という立場以上に深くその土地に入っていけるのも面白い。


今回お世話になったのはエリザベス&ザビエルの一家。
ヨガの先生で陶芸家のエリザベス、森林を管理している公務員のザビエル、3人の子どもたちとは留学やサマースクールなどでほとんど一緒には過ごせなかったのだけれども、付き合えば付き合うほど魅力的なエリザベスとザビエルとは話が付きなくて、
6日もお世話になってお世話になりすぎて申し訳ないくらいだったのだけれども、まだまだこの二人と話したかったし、シェアしたいものもいっぱいあって、もっともっと一緒に居たかった。


日の長い夏ということもあって、ザビエルが仕事から帰ってきてもまだまだ世の中は明るい。
一緒にご飯の用意をしながら緑がモリモリとした庭でアペリティフ(前菜)とビールを楽しむ。
日が暮れるのは22時ごろ。仕事後に4時間近くも明るい時間があると、1日が仕事だけで終わってしまったという感じがなくていいだろうなと思う。
エリザベスのヨガクラスも、生徒さんたちが仕事後に軽くスナックを食べて一時間ほど胃を休めてしてから来れるように、20時からスタートする。
21時にクラスが終わってもまだまだ空は明るくて、それから夕飯をゆっくり食べても慌ただしく一日が終るようなことにはならない。


エリザベスのヨガクラスがあった日は私たちの晩御飯も21時からだったけれども、18時に帰ってきたザビエルがのんびりご飯の用意をして、21時から皆でゆっくりと晩御飯を食べて、食後にお茶を飲みながら食卓を囲むという時間の流れは、平日の夜の仕事のあとにひと趣味こなした後の時間の流れとは思えないほど、ゆったりとしている。
ザビエルたちからしてみれば夏はそれが当たり前で、格別贅沢な時間というわけではなさそうだったけれども、家族や夫婦が平日の仕事の後にだって、お互い好きなことをする時間を費やした上で更にゆっくりと話し合える時間があるということに感動すら覚える。


夏休みも長い。
毎年約10週間の夏休みが取れるという。
公務員のザビエルは特に条件が良いそうだけれども、私たちが知り合った多くのヨーロッパの友人たち(特にフランス人)も1か月ほどの夏休みは普通に取っていた。
日本でも毎年こんな長い休みが取れるのならば、私たちだって仕事を辞めて旅に出るなんてことはしなかっただろうと思う。


昨夏も含め、ヨーロッパの友人たちにはたくさんお世話になってきたけれども、
食事の面で一番共感が持てるのはエリザベス&ザビエル宅を含むフランス人のお宅だった。
もちろんお客として招かれているので日常的な食卓以上のものを出してもらっているのだけれども、
食べることが大好きな私たちとしては、フランス人の食に対する思い入れ、気合の入れようが好きだ。

ちょっとした食べ物に一手間かけることを惜しまないのがいい。
食材そのものも美味しいものを沢山いただいたのも嬉しかったけれども、一緒に手間ひまかけて食事を用意する時間を共有できたことも嬉しかった。
エリザベスは特に和食に興味津津で、昆布や寒天、梅干しや味噌など常備しているだけに、
私が彼らへのせめてものお礼にと和風ディナーを作ったときには目を輝かせながら学びとろうとしてくれて、
ちょっと面倒な過程があっても美味しいものをつくろうという気持ちに温度差がなくて、それが心地良かった。

それにエリザベスの素敵な器で食事をいただいた日々は、食事そのものの美味しさもさることながら、食事トータルとしての楽しみを久々に味わえて幸せだった。
太陽の位置に合わせて、広い庭の様々場所にテーブルを移して食事ができるのも、なんて贅沢なことだろうと思う。
息子が手作りした素朴な木のテーブルにさっと布を被せて、自分たちが世話する庭の木々の下で、自分の焼いた器に自分たちが育てた野菜を調理していただく。
豪華絢爛という贅沢ではなくて、心地のいい贅沢な暮しに惚れぼれしてしまった滞在だった。


ヨガクラスのこと、週末にカヤックで出かけたピクニックのこと、彼らと話した山ほどのトピック、濃かった6日間の日々のことを全て書くのは難しい。
お別れは寂しかった。
でも彼らとはこれからもずっと繋がっていくのだという実感が強くあって、そう思えることは嬉しかった。
世界中の誰とでも仲良くなれるわけではない。
でも、心と心を通じ合える友人たちが世界中にひとりひとりと着実に増えていっていることが、私たちにとってかけがえのない宝なのだ。
そう実感できた素敵な再会だった。



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