Jun,26,2012

みんなが憧れる地中海リゾート。
でも正直私たちはあんまり興味がなかった。
高校からの友人がカンヌに住んでいるので、彼女にはどうしても会いたかったからカンヌには行くことに決めたのだけれども、どうルーティングしようか迷った。
「どこ走る?」とひろに聞いてもひろの心はアルプスの山々にありで、「ビーチでしょ、どこでもいいんじゃない?」とそっけない。
結局いつものようになんとなくの流れに任せて、とりあえずはイタリアのジェノバからフランスのカンヌまで地中海沿いに走って内陸に入っていくルートに決まった。

久々のヨーロッパ走行は思った以上にエキサイティングだった。
何せスーパーが楽しい。
南米では高くて手が出なかったようなものや、高くてもあまりおいしくなかったようなものが手軽な価格で売っていることがまず嬉しかった。
生ハムやチーズ、ワイン、オリーブ、オリーブオイルはもちろんのこと、美味しいジャムやクッキー、ドライトマトやポルチーニ(乾燥きのこ)なども質を考えると南米よりはるかに安い。
もちろんそれらは南米諸国にとっては輸入品だから高いわけで、現地のもので美味しくて安いものもいっぱいあるのだけど、時にこういったラクシュアリー品が無性に恋しくなってしまうもので、南米でも高いお金を払って買っていた。
そんな私たちにとってのラクシュアリー品がずらりと並ぶスーパー。あれもこれもと目をハートにさせながら買い物をしていたら、あっという間に籠がいっぱいになっていてびっくり。1日目なんてひろを自転車と一緒に放っておいて、スーパーで一時間も買い物をしていた。

イタリアの走行はたったの4日間で、スーパーで色々と食材を買ってみたいし、せっかくだからレストランも行きたいし、ジェラートは食べたいし、大きな胃袋を持つ私たちでさえもう一つ胃袋が欲しいと思わずにはいられなかった。もう少しイタリアを走ってみたかったなと思う。

食べ物ばかりじゃない。興味のなかった地中海沿いだったけど、走ってみたら想像以上に素敵なところだった。青い海、明るい人々と陽気な雰囲気、クラシカルで趣味のいい建物にこじんまりとした村々。想像していたような華美で趣味の悪い感じのビーチリゾートではないところが好印象だった。
街で重い自転車の取り回しにちょっと困っていたりするとすーっと手が伸びてきて助けてくれるイタリアンメンズにもウットリ。
たぶん私たちは1週間以上走ったら飽きちゃいそうだけど、“the ホリデー”なサイクリング日々は素敵で、かなり満足な走行だった。

フランスに入るとゴージャスな雰囲気になってきた。さすが世界でも有名なコートダジュール!。
何せ私たちの自転車姿と周りの人々の服装や景色とのギャップが激しすぎて少々居心地が悪かったけれども、何せ国境からカンヌは1日だったので楽しめた。
意外に面白かったのがモナコ公国。
オープンカーに乗った貴公子とも話せたし、私とは一生縁のなさそうな、やけにセレブな人々をやたらと目撃したし、私たちが通った1日前にはモナコグランプリがあったらしいけど、まるでサーキットのようなもしくは地下駐車場のような公道を走るのも面白かった。
ものの20分くらいの走行で、あっという間にいつの間にかにフランスに戻っていたのだけど。


あれっ、これって駐車場への道?と間違えてしまうようなモナコの道路

カンヌはフランスの中でも人々が憧れるリゾート。
私たちは友人に会えるだけで満足だったので特に観光もせず、友人が作ってくれた美味しい日本のカレー、久々の心地よいベッド、あっつあつのシャワー、楽しい会話がカンヌの思い出。
カンヌ最終日にやっとかの有名なレッドカーペットへ3人で自転車で向かう。
一層セレブな雰囲気が漂う中を自転車が通る姿はそれだけでも異様な感じだったし、そこを高校からの友人と一緒に走っているのも不思議な気分だった。これが下北あたりのほうがしっくりくるんだけどね。
それにね、いつもの自転車姿でのレッドカーペット前で記念撮影はこの3年半でなんだか一番場違いだなぁと感じたところだった。
でも楽しかった!ありがとう、琴子。


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