Apr,24,2012

首都ボゴタからチリまで自転車を取りに行き、再びボゴタに戻ってくると街には雨が降っていた。
レインジャケット一式をボゴタの宿に預けて来てしまうという大失態を犯していたので、
空港から市内の宿までずぶ濡れになりながら自転車を漕ぐという、なかなか惨めな自転車旅再スタートとなった。
まだまだ雨季が続くコロンビア、久しぶりに雨と戦う日々となりそうだ。


空港内で自転車を組み立てる。何度も繰り返してきたので手際よく組み立てるひろ。

標高2600mのボゴタから一気に300mの谷底まで下り、そこから3300mの峠を越えるという、久々にしては相当ハードな行程でコロンビア自転車の旅は始まった。
順調にボゴタ市内を抜けたところで、道端の食堂に駆け込んで昼食休憩を取る。

ああ、幸せだ。
味も美味しかったのだけど、体をたっぷり動かしてお腹が猛烈に空いていて、その状態で温かいご飯を出してもらえるというシチュエーションがとてもありがたくて、幸福感でいっぱいになる。
そういえば、バックパック旅の時はこんなに猛烈な空腹感を感じながら食べたことは少なかったし、しょっぱいとか肉が固いとか、なにかと文句ばかり言っていた気がする。


お腹がすくってこんなに幸せだったっけ?

一気に谷底まで下り続けた初日から一転、2日目からは峠に向かって地味に地味に登り続けた。
混雑する街中を避けようとバイパスを通ったのが失敗で、行けども行けども食堂も宿も全くない。
次第に目の前に広がるまっ黒な雲、その雲の中では雷が光り始めた。
これでは野宿も厳しそうだ。
いつ雨が降り出すかとびくびくしながら夕方近くまで走り続け、そこでようやく宿が見つかった。


ボゴタ市内の自転車道は郊外まで続いていて走りやすい

正直、綺麗な宿ではなかった。
キッチンの蛇口からは茶色く濁った川水が出てくるし、シャワーからは冷たい水しか出てこないし、ベッドは沈むし、部屋は寒い。
そんな設備の割には値段も高かったのだけど、今日は他に選択肢はない。

それでも、どんなに冷たいシャワーだって、汗にまみれた体をさっと洗い流せるだけでもありがたい。
持参の水を使ってお湯を沸かし、温かい飲み物を飲んでホッと一息をつく。
宿の目の前にあったレストランは店仕舞いの最中だったけど、僕らのために再び炭火に火をつけて食事を出してくれた。
そして、やがて降り出した土砂降りの雨。
それを防いでくれる屋根と壁のおかげで、今晩は雨に打たれずに寝ることができる。
そんな小さな事の一つ一つのことがとてもありがたくて、疲れて弱音や文句を吐きたくなる心を支えてくれる。


自転車道沿いの歩道橋は全てスロープ付きで、上り下りが楽ちん

一晩中降り続いた雨は、翌朝には上がっていた。
そして翌日の宿にはホットシャワーが付いていた。
強烈な汗臭さを放っていた服たちを洗うこともできた。
荷物を置けば床が埋まってしまうくらい小さな部屋で、「シャワーって最高だね、明日は綺麗な服で走れるね。」と、ふたりで幸せな気持ちに浸る。

そうだった、自転車の旅って、こんなにも一つ一つのことに感謝を思い出させてくれるんだった。


乾燥していた南部アンデス地方とうって変わって、緑、緑、緑。バナナにマンゴーにコーヒーの木々が眩しい道。

**** お知らせ ****

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