Apr,06,2012

ブラジルはデザイナブルなものが多いというイメージだった。
そのイメージがどのように植え付けられたのかはよく覚えていないのだけれど、
2か月の間で私が感じ取ったものとしては、ブラジルはメキシコやデンマーク、フランスを超えるようなものではなかった。


この国を代表する有名な建築家オスカー・ニーマイヤーの作品はブラジルの中でもとても楽しみにしていたものだった。
ブラジリアは彼の作品が見たいがためにわざわざ足を運んだようなものだったし、サンパウロやリオでもできるだけ彼の作品を見に行った。
メキシコで見たルイス・バラガンの建築物の数々は、私の建築物への興味を大いに引き出してくれた。
とはいっても別に建築に付いて詳しくなったり学んだりしたわけではなくて、
ただ単に見るのが好きになっただけなのだけれども。
ルイス・バラガンの建築物に感動したことは前にも書いたのだけれど、
もう一度あのときのような衝撃を受ける建築物に、空間に出会いたくて仕方がないのに、なかなか難しい。



結局のところ、期待を膨らませていたオスカー・ニーマイヤーの作品は私には響かなかった。
彼が使う曲線は素敵だと思うのだけど、どれも似たようなものが多いので飽きるし、写真などの見栄えはいいのだけれども、実際に見てみるとなんかパッションが伝わってこないのだ。
それに彼の作品はどこにあってもその場所に作品として置かれている感が拭えない。
街の景色の中に融合した美ではない。
まるで作品が陳列してあるようだとブラジリアで感じたのは、ブラジリアが造られた都市という特別な場所だからではなくて、彼の作品だからという理由もあったのかもしれない。
サンパウロでも、リオでも、サンルイスでも、彼の作品は街に溶け込んではいなかった。
要は好みの問題で、私の好みではなかったというだけなのだけど。

ニーマイヤーの建築物だけではなく、ブラジルではハッとするような建築物だったり、看板だったり、お店や家々のインテリアだったりにあまり出合えなかった気がする。
メキシコのメキシコシティーやオアハカ、コペンハーゲンやパリは歩いているだけで素敵なものにたくさん出合った。
ブラジルは期待値が高かすぎたのが良くなかったのかもしれないけれど、思わず目を奪われちゃうような、おおお!という感動は少なかったのがとっても残念だった。



かなりついでな感じの感想になってしまうのだけど、
どうやら私はブラジルにはそんなに呼ばれていなかったような気がする。
サルバドールでは警察のストによりこの街の魅力を最大限には引き出せなかったような気がするし、
サーフィンライフはかなり楽しかったのだけど、物価の高いブラジルだけに財布のひもはゆるゆるにできずビーチライフとしては他の国のほうが楽しめると思ってしまったり、
乗り物や建物の中の強烈な冷房のために風邪はよくひいたし、
ご飯はしょっぱくて不味いし、ビールは軽過ぎて物足りないし。

人も噂どおり明るくて親切だったけど、自転車旅で出会えるような密な関係にはなかなかなれなかったし、治安の悪さが常に気になって充分に楽しめ切れなかった。
それに、物価の高さとクオリティーが伴っていないのと、やたらスケジュールが決まってしまっていたのが何よりの敗因だった気がする。

リオも素敵だったし、弓場農場での体験は最高だったし、ボニートでのスノーケリングだって素晴らしかったのだけど、なぜかこの3年半の旅の中で珍しく不満が先にでてくる。
ブラジルのせいというよりはバックパックでの旅がどうやらもう体に合わないのかもしれない。
自転車での自由気ままで出会いの多い旅に早く戻りたい。



※写真は全てリオの対岸ニテロイにあるオスカー・ニーマイヤー氏建築のMuseu de Arte Contemporanea de Niteroi


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