期待を大にしてやってきたレンソイス・マニャランセス国立公園。
ただ私たちが訪れた3月はシーズンとしてはギリギリ始まったばかりで、水が溜まっている光景が見れるかどうかは運次第だった。
それでも南米の絶景トップ3とも言われるレンソイス国立公園を逃すなんて勿体ないことはできないと、これだけの為にブラジル北部にやってきた。
ここだけのためにサンルイスに飛行機で飛んできて、サンルイスから5時間バスに揺られてバヘイリニャスまで来て、そして4時間の船で川下りをし、ジープに乗って砂丘の目の前までやってきたのだ。
とうとう目の前に砂丘が表れたときにはゴクっと喉がなった。
前回書いたように宿Luziaに着いた時点で嬉しい気持ちになっていたのは間違いない。
でも、冷静になってみるとここは物価高のブラジル。
ここにやってくるまでにどれだけのお金を費やしたことかと考えると、目的が達成されるかどうかシビアにもなるもんだ。
3人足早に砂丘に向かう。
ひとつめの砂丘に登り視界が開けてきた時、
だれもが「あー」とため息をついた。
水はなかった。
水を求めてぐんぐんと前に進んだ。いくつも砂丘を越えてみた。
でも、水はどこにもなかった。
ただ、水がこれから溜まるであろう場所は湿気ていて濃い茶色になっていてよく分かった。
頭の中でその茶色場所にエメラルドグリーンの水を張ってみる。
はぁー、美しいんだろうなぁ、きっと。
想像してしまったことを少し後悔する。
水がない白い砂漠だけの光景も素晴らしいものだったのに、砂丘のくぼみにエメラルドグリーンの水が張った美しい光景がここにあるときがあるのだと思うと、水がない今の白砂漠がつまらないものに見えてしまうのだ。
翌日、宿の男の子が水があるところに連れて行ってくれるという。
ポルトガル語がいまいちよくわからないから詳細は分からないのだけれども、
1時間も歩けば水があるところがあるらしいというので、
一度は諦めた3人はほのかな期待を抱いて彼についていくことになった。
今日は昨日より晴れていて砂漠がより白く見えて眩しい。
キラキラ輝く白砂漠は水なしでも負け惜しみではなく美しいと思う。
でも、でも、水なのだ。
小さな村を通り過ぎる。
こんな砂漠の中になぜ人は住もうとするのだろうか。Luziaも十分辺鄙なところだけど、それでもLuziaは砂漠の中ではないし、海も近いのでまだ分かる。Luziaの周りなんて余っている土地だらけだったのに、なぜこんな不便な砂漠の真ん中に人はわざわざ住むのだろうね。
足の裏が焼けそうになりながらそんなことを考えていたら
「ほら水だよ」って男の子が指さした。
目の前に現れたのはエメラルドグリーンからは程遠い、ただの薄茶けた小さな湖だった。
「えー、これかよー。」と3人とも口には出さずに表情に出した。
「泳ぐでしょ?、僕はそこの家の人としゃべってるから30分後に迎えにくるよ」
と彼が去ってしまって、
残された私たちはこのモヤモヤした気持ちをどこにぶつけたものだか分らないまま、言われるがままに水に浸かる。
まぁね、こんなものよね。
レンソイスは敗北に終わった。
でも、セドリックと過ごした3日間は結構楽しかったのだ。
この地の果てのようなロケーションで、他の旅人とは全く出会わない私たち3人だけの旅はものすごく秘境に来た気分にもなったし、
いまいち目的が達成されなかったことで3人の団結力も妙に強くなって楽しい時間を過ごした。
これはこれでいい旅だったのだ。
ブラジルがこんなに物価の高い国でなければ。
Thanks Cedric,We really had good time with you!