Apr,09,2012

2ヶ月弱に及んだブラジル旅もついに終わった。
久しぶりにバックパッカーとして旅をした訳だけど、皮肉なことにブラジルほどバックパック旅に向かない国はないんじゃないかと思う。

何せブラジルは広い。
バスで移動すれば次の目的地まで20時間、30時間なんてざらだ。
そして高いバス代金に比べてバスのクオリティが伴わないので、何だか妙に損した気分になる。
いや実際は十分に快適なのだけど、アルゼンチンでこれだけ払ったら余裕でスーパーカマ(最高級クラス)に乗れるよなあと思い始めると、どうしても文句の一つでも探したくなってしまうのだ。
南米ではマルコポーロというブラジル製の最新型バスが主流だというのに、本家ブラジルでは同じマルコポーロでも旧式中古のバスが幅を利かせているのだから泣かせる。
それでも冷房だけは一人前にガンガンに効かせるので、バスを降りるころにはすっかり風邪をひいてしまう。

そんないまいちなバス事情に加えて、ブラジルには悪魔のささやきが待っている。
国内線フライトを事前に予約すれば、バスより安くあがることさえあるのだ。
30時間の移動が2時間足らずで済んでしまう気軽さに加えてこの値段設定。いくら暇はあるけど金はないバックパッカーといえども、ついつい誘惑に負けて国内線をネット予約してしまう。
それも数週間、下手すれば1か月以上も先のフライトを予約してしまうのだ。

しかも治安の悪さにビビったついでに、到着先の宿までネット予約するのだから始末に負えない。
実際に見もしないで宿を決めるなんて、バックパッカーとしてあるまじき行動なのにも関わらずだ。

こうなるとバックパック旅最大のメリットである自由気ままさなんて微塵もない。
この宿感じ悪いから移動しようとか、リオは素敵な街だからもう数日いようとか、弓場農場が素晴らしいから長居しちゃおうかとか、レンソイス国立公園に水がないならとっとと切り上げて次に移動しようよとか、そういったフレキシブルな旅は夢のまた夢。

まあネット予約という文明の利器で自分の首を絞めているだけでしょ、と言われればその通りなのだけど、とにかくこんな状態ではバックパッカーを装った個人旅行者に過ぎない。

ちなみに物価の高さもバックパック旅の気ままさを奪う。
ただ単に高額というのではなく、移動費にせよ食事代にせよ、値段とクオリティが釣り合わない感じることが多いのだ。

残念ながら水が張っていなかったレンソイス国立公園近郊で、次のフライトまで数日余ったのを利用して小さな村(というか集落)を転々としたのだけど、
なーーーんにもない場所の割に、移動費と宿代とご飯代だけでも驚くほどビュンビュンお金が飛んでいって、やるせない気持ちでいっぱいになった。
ここまでお金の価値が軽いと“何にもないけどのんびりしていいところじゃない。”なんて懐の深い大人発言はできず、“ああもったいない、何だかもったいない。”という思いが募ってしまう。

国土が広いデメリットはそれだけじゃない。
国土の広さは気候の変化を伴う。東西南北ブラジルのあちこちに点在する観光地は、それぞれベストシーズンが異なってしまうのだ。だから一回の訪問でめぼしい観光地を巡ろうと思っても、時間とお金だけじゃなく、季節までもがそれを許してくれない。

きっとブラジルを旅するベストな方法は、
「今年はカーニバルに合わせてリオだけに2週間、来年は8月あたりの水がたまった時期にレンソイスへ1週間、再来年は果物がおいしい季節に3週間くらいアマゾンかしら。」
なんて感じの旅になるんだろう。

でもブラジルに近い欧米諸国ならそれも可能かもしれないけれど、日本人にとってブラジルは地球の反対側にある遠い国。そうは問屋は降ろさないのが現状なのだ。
涙、涙の国なのである。

愚痴ついでなので言っておくと、やっぱり治安の悪い国は旅がしづらい。
ああ最高!と心を全開に緩めることが出来ないと、チキンな僕らとしては楽しみきれない。
ただでさえ貧富の差が激烈な上に、厳しいインフレが続いているブラジル。
これからワールドカップにオリンピックと一大イベントが目白押しなのだから経済は絶好調、金持ちはますます金持ちになってホクホクに違いない。
そのなれば貧富の差はますます拡大して、ますます治安が悪くなるんじゃないかと心配でならない。

国が発展しているというためには、その国が全体として底上げされていかないといけないと思う。
GDPがどうだ成長率がどうだと一部の金持ちだけ盛り上がったって、残されたその他大勢の生活が改善されなければ、国としてハッピーではないのだ。
豊富な天然資源などのお陰で鎖国をしてもやっていける国とまで言われるブラジルは、計り知れない底力を持っているはずだ。
国民皆中産階級とまでは言わないにしても、これから国の底力を見せてほしい。
高級住宅地のすぐ隣に貧民街が広がる街並みは、どう考えても宜しくないのだ。

あ、経済面だけじゃなくてついでに教育面の底上げも頑張ってほしい。
せめてお釣りを何十分もかからないで計算できるとか、客がビールを何本注文したか覚えていられるくらいにはなってほしいものだ。

頑張れ、ブラジル!

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