Mar,04,2012

サルバドールは美しい。
旧市街にはパステル調のカラフルな家々が連なっていて、坂道が多くて風情ある街並みと見事にマッチしている。
そして良く見てみると家々のペンキがいい感じで色あせていたり、かなり適当に塗られていたりして、そのわざとらしくない自然な感じが、僕の好みのど真ん中にヒットする。
人々の表情も明るいし、街から聞こてくる音楽も自然な感じでいい。
“明るいキューバみたい”、というのが僕たちの第一印象だ。

そんな素敵なサルバドールだけれども、
じゃあこの街が好きかといわれると、残念ながら答えはノーだ。


リズミカルにピョンピョン飛び跳ねるガールズ。かわいー!!


サルバドールの旧市街は起伏があって趣があって、家々がかわいくて、海が見える素晴らしいロケーション。

何せ治安が悪い。悪すぎるのだ。
治安が良くないブラジルの中でも、ダントツに治安の悪いと言われている街なのだ。
南アフリカのケープタウンでもそう思ったのだけれど、どんなに素晴らしく美しい街であっても、治安が悪いというのは致命的だと思う。
街としての第一条件というか、街としての最低条件が欠けているように思えてならない。

運の悪いことに、僕らは最悪のタイミングでサルバドールに到着してしまった。
なんと警察官がストライキを起こして街から消えてしまっていたのだ。
警察官がストライキって、自由奔放というか何というか、少なくとも日本ではあり得ない話だ。


この写真を撮ったときはまだ事態を把握していなくて、何で軍隊がライフル抱えてマーケットなんかにいるのかしら?サルバドールってそこまで治安が悪いのね、なんて思いながらパチリと呑気に撮っていたけど。

ただでさえ治安の悪い街から警察官が消えた結果、ストライキ中の11日間で例年の2倍にあたる150件近い殺人事件が起きたそうだ。
僕らが着いたのはスト6日目。サルバドールには治安維持のために軍隊が派遣されていて、完全武装した軍隊が街の警備にあたっている物々しい雰囲気だった。

それにしても、11日間で150件という数字も凄いけれども、例年もその半分のペースで殺人事件が起きているということに衝撃を受けた。
2010年にはサルバドールだけで1639件の殺人事件、1万8107件の強盗事件が起きたそうだ。人口は約300万人弱だから、単純計算しても約1800人に1人が殺され、165人に1人が強盗に遭ったことになる。
日本の年間殺人事件数は1300件前後(約10万人に1人)、強盗事件数は5000件前後(2万6000人に1人)だから、サルバドールのすさまじさが分かると思う。


こんなに長閑なかんじなのに、、、。


可愛らしい家が多くて、もっともっと路地に入っていきたいと思ってしまうけど、それが許されない街。

昼間に観光地を歩いている限りは、そんな殺伐とした街には全く見えない。
むしろ夕方になると路上に椅子とテーブルを出してビールを飲みだす光景なんて平和そのもの。
何も知らずにサルバドールを訪れたら、平和でのんびりした魅力的な街にしか見えないのだ。

だけど、そんな恐ろしい数字と完全武装の軍隊を見てしまうと、のんびり気ままに散歩でもしようか、なんて気分にはなれない。
ビビり症の僕たちは、カメラも満足に出すことができず、少量のお金をポケットに突っ込んで、きょろきょろと後ろを振り返りながら街を歩いていた。
せっかくの美しい街なのに、心底楽しむことができないのが残念でならない。

音楽を聞きに行ったりして、もっとゆっくりしたかったのだけれども、
ストの影響で毎週火曜日に開催されるという音楽イベントも中止されているし、二人して微熱が続いて体調も悪いし、ストはまだ続きそうだし、何かとタイミングが悪すぎる。
早々に脱出して、もっとのんびりした街に行こう。


街中にリズミカルな太鼓の音が鳴り響く。


太鼓隊が通ると人々が思い思いにリズムを取って踊りだす。レストランのおねーちゃんも仕事をほっぽり出して踊りだしてしまったり。


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