Feb,24,2012

模型の中を歩いているみたい。
それがブラジリアのファーストインプレッションだった。
約50年前に新首都を創るべく、全く何もなかった荒野を切り開いて建設された街ブラジリア。
赤土と熱帯林の何もない土地に、模型どおりに箱を並べていく建設当時の写真を見て、
これは実写版のシムシティーだなと思った。

街にしろ村にしろ、自然環境的に住みやすい場所で人々が自然に集まったりとか、
何らかの産業が発展していくと共に人が集まってくるとか、
何かニーズがあって、そのニーズに沿って計画的にその街が出来ていくとかの過程を踏むわけで、
そこに住む人々と街との関係は、限りなく密であると思う。
だからこそ建物にも雰囲気にも住人たちの色が大きく出る。
そういう点で、ブラジリアは特異だった。
人本位で出来たわけではない街は、どこか街と人の関係がギクシャクしている感じがした。
約50年経ったとは思えないほど、人と街が絡み合っていない。
街は設計士がこの街を模型に起こした時のままで、生活感が限りなく少ない。
それでも50年は建物を朽ち果てさせるのに十分な時間なわけで、
一斉に建てられた建物たちは、一斉に風化していて、そこには哀愁すら感じてしまう。


日曜日に公園で憩う人々もなんだかうそ臭くみえてしまったのは私だけだろうか。


街の中心部。50年も経っている都市とは思えないくらい殺風景。ちなみに左上の建設中のものは2014年ワールドカップの会場

ブラジリアの中心部は、飛行機の形をしている。
両翼が居住区で、コクピット部分に国会議事堂などの政府関係の建物、最後尾にバスターミナルなどがある。
飛行機の形なんて、正直ふざけた街の設計だと思うけれども、実際に生活するにも不便極まりないんだろう。両翼の端に住んでいる人なんて、どこに行くにも胴体部分を経由していかなければならない訳で、面倒臭くてたまらないに違いない。

そして現在のブラジリアの地図を見てみれば、飛行機部分はほんの片隅に追いやられていて、その郊外にはごく自然な形で住宅地が広がっている。
バスターミナルだって最近になって住宅地に移転され、飛行機部分とは地下鉄で結ばれているのだ。
きっと50年前に設計した人たちは、今のブラジリアは見た目に美しくないとでも文句を言うのだろうけれども、今の姿の方が実際的だし機能的だし、なによりも現実的だと思う。

「50年の進歩を5年で」のスローガンの下で、何もない所から作り上げられたブラジリア。
今のブラジリアを見ると、地図を眺めて「ここにしよう!」という感じで街を造り上げるというゲーム感覚そのものが、傲慢で無理のあるアイディアなのだと感じずにはいられない。


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