Dec,27,2011

車の中からボーっと眺めたウユニ塩湖はつまらなかった。
修行のようだと思った塩湖走行も、暑くて眩しくて心が休まらないと思った塩湖上の昼休憩も、
白い地平線に向かって果てしなく果てしなく続くあきれるほど白い道も、今となっては懐かしい良い思い出になっている。
つくづく思い出っていうのは都合よくいいように残るもんだと思う。
美しい塩湖上のキャンプをするまでは、別に特別塩湖を走らなければならなかった訳でもなかったと思ったけれども、
すばらしいキャンプをした後も、自転車でわざわざ来なくても車で来て一晩塩湖上でキャンプすれば同じことを体験できるのだからその方が楽ちんでいいじゃんとも思った訳だけれども、
こうやって車に乗せられて、すーっと何事もないように塩の上をスムーズに移動して、ガラス窓を一枚挟んで遠目に塩湖を眺めているだけというのを体験すると、なんてつまらないのだろうと思ってしまう。
塩湖の眩しさも、塩のガタガタも、塩の上を走ると妙にのどが渇く感覚も、何よりも気が遠くなるほどの果てしない感も体感できない。
やっぱり自転車よねって思う。


癒しのリャマさんたち

それでもそういった事は昨日までに十分すぎるほど体感したので、今となっては車に乗ってワープするのも悪くなかった。
もちろん理由もなくワープするつもりは露ほどもなかったけれども、自転車が壊れて走れなくなった以上、なんだかいい言い訳ができてラッキーとすら思ってしまったりする。
だって、あと80kmも塩湖を走りたかったのかといえば、120%NOだったもの。
やっぱりラッキーだったのだ。

ウユニの街への車の中で、今後どうするかを考えた。
恐らくウユニで新しいリムを見つけるのは不可能だろう。
アルゼンチンのサルタという大きな街で自転車のパーツを買ってきてウユニに戻り再び走行を開始するか、自転車ごとサルタへ行ってそこから走ってボリビアに戻ってくるか、ボリビアの残りの旅はもう諦めてアルゼンチンやチリのアンデス峠越えルートをじっくり走るか、といろいろオプションはある。


昼の日差しは恐ろしく強いのだけれども、朝晩の冷え込みは激しい。ぬくぬくの寝袋から抜け出せないひろ

考えれば考えるほどボリビアの走行が面倒になってくる。
ボリビアの道が悪いことも面倒だし、頑張って到着した村々に嬉しい食事が待ってることもなければ、ペルーのような優しい笑顔に囲まれることもあまりない。
一度糸がぷちっと切れてしまった今、ボリビア走行にテンションがあがらないのが正直なところだ。
さあ、ひろはどう思ってるだろう。


ヨーロッパから仲間入りしたコーヒーメーカー。美味しいコーヒーを飲み始めるとネスカフェは飲めなくなる。

とりあえずはウユニに着いて、噂の美味しいピザを食べて、塩まみれになった自転車やテントや服を無心になって洗う。
それは意外と大仕事で、早めの年末大掃除のようになった。
いろいろなものが綺麗になっていく過程で、私たちの気持ちも自然ともやもやが晴れていって、答えがスーッと出てきた。
考えが煮詰まったときは待つのがいい。無理に考えないで他のことをする。できれば無心になれるような作業がいい。そして自然に答えが出てくるタイミングを待つ。


壊れた瞬間はあっちゃーっと思ったけど、今となってはいいネタ

さぁ、サルタへ行こう。ボリビアの旅は終わりだ。
思いのほか早くアルゼンチンビーフとワインと再会できることになったのは嬉しいような、
まだ気持ちが追いつかないような。

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