Dec,21,2011

塩リベンジ、ウユニ塩湖走行の日がやってきた。
塩地獄を2日前に経験したばかりの二人のテンションは恐ろしく低かった。
でもウユニの街へ向かうには約150km塩の上を走り抜けるほかない。
ウユニの街には美味しいピザ屋があるということだけを楽しみに塩湖に突入した。

確かにしっかりと締まったウユニ塩湖はコイパサ塩湖の100倍いや1000倍走りやすかった。
それでもテンションは上がらない。
それどころか走っても走っても進んでいる感覚が全くないウユニ塩湖は、走りやすくても修行だった。
変化がないことに対してきっと私には修行が必要なのだろう、そう思って10分は我慢して走ってみるけど、あっという間にプツッッと集中力が切れてしまう。
手が届きそうなところに見える島まであと20kmとか言われると、やる気もすっかり失せてしまう。
平らで走りやすい道なのに何故か驚くほど距離を稼げない。
イライライライラする。

あんまり進んでいないけど昼休憩を取った。
塩湖の上にはもちろん日陰になるようなものもない。
休憩といってもジリジリと照りつける日差しが痛いので落ち着かない。
それでも座って休憩できるだけコイパサ塩湖よりマシだと思わなくっちゃね。

お昼ご飯をお腹いっぱい食べたら、ちょっぴりテンションも上がってきた。
道そのものは少し凹凸が増えて走りにくくなってきたものの、ペダルを押す力は倍近くになってきて、スピードも上がって、ちょっぴり楽しくなってきた。
いいぞ、その調子。

7,80km近く走ったところで今日は終了することにした。
塩湖のど真ん中にテントを張る、それがずっとウユニ塩湖を走りたい目的だった。
思いのほか湖面が堅くてペグを打つのが難しくて湖面上でのキャンプをあきらめなきゃならないかとも思ったけれども、何とかひろが頑張ってペグダウンしてくれて無事テントを張ることができた。
あたり一面真っ白の中にポツンと我が家が建つ。
なかなかの素敵な光景にじわじわと嬉しくなってくる。

そして夕暮れがやってきた。
湖面が優しいピンクに染まっていく。刻々と変わっていく優しい色のグラデーション。
大きな太陽が白い地平線に消えていくのを見送りながら、こうやって塩湖にテントを張れたことを幸せに思う。後にも先にもこんなに何にもないところにテントを張ることはないだろう。
いつの間にかに空と地面の境界があやふやになり、丸い地球がすっぽりと優しいピンクで包まれた。
地獄の思いをしたコイパサ塩湖での走行や、テンションが上がらずまるで修行のようだった今朝の走行も報われた気がする。
夕方から強風が吹き付けて、かわいそうに小さな我が家はバタバタとけたたましい音をあげているけれども、夕暮れの湖面の優しい色が私たちの心を温かくしてくれて、穏やかな気持ちで眠りに就くことができた。


当たり前だけど全部塩。コイパサ塩湖とは違って恐ろしく硬い。

朝、テントを開けたら、東の地平線がオレンジと藍色で染まっていた。
風もすっかり止んでいて、思ったよりも寒くない。
徐々に明るいオレンジで世の中が染まってきて、力強い朝がやってきた。
ふわっとしたピンクの夕暮れ、キラリと輝くオレンジの朝焼け。
間違いなく塩湖が一番美しい時間で、このためだけにでも頑張って走った甲斐があった。
一発逆転、塩天国!

でも、もうこれ以上塩の上を走るのは御免かな。

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