Dec,12,2011

目をつぶって想像してください。

標高は4250m。
音のない静かな夜を越え、暖かい寝袋の中で目覚める。外はまだ氷点下で、テントは凍りついている。
もうすぐ夜明けだ。

寝袋から出て、服を全て脱ぎ去って裸になり、大きく息をついてテントを開け、一気に外に出る。
空気の冷たさに息が止まる。
目指すはテントから5m先。そこには全長100mはあろうかという大きな湖がある。
いや、そこは湖ではない。
硫黄の匂いが立ち込め、足元からお湯がこんこんと湧き出ている100%天然の温泉なのだ。


摂氏42度くらいの完璧な温度。思わず“あ~”と声が出る。

熱すぎず冷たすぎない日本人好みの完璧な温泉が、じわりと体を溶かしていく。
砂とコルゲーションと向かい風の大変な道を漕ぎ続けて疲れ果てた体もゆっくりと癒されていく。
視界の先には、ここまで自分を連れてきてくれた自転車と、夜の寒さから身を守ってくれたテント。
そしてその先には塩の大地が果てしなく広がり、そのさらに先には6000m級の雪山が聳えている。


温泉に漬かりながら朝日を待つ。

昨日は午前中からここにテントを張ってノンビリしていたのだけど、結局一人もこの温泉に来る人はいなくて完全に2人占め状態だった。そしてもちろん、この夜明け前の特別な時間も2人っきりだ。
誰もいない、そして何もない。
静かで、厳しく、でも優しい世界。
やがて日が昇り、優しい光がこの美しい世界にゆっくりと色を与えていく。
温泉の色は乳白色に、エメナルドグリーンに、マリンブルーにと、刻々と色を変えていく。


風よけの石壁とピクニックテーブルが置いてあるので、午後の強風時も快適に過ごせる。

北海道に住み、日本の温泉が世界一だと信じて疑わなかった温泉大好きの二人が、
自信を持って、確信をもって、ここに断言しよう。
ラウカ国立公園の南、Monumento Natural Salar de Surire(スリレ塩湖)にあるPolloquere温泉。

ここは、世界で一番素敵な温泉。


誰もいない、何もない。完璧なロケーション。


ラウカにはポジョケレ以外にも、合計3つの温泉がある。一つ目の温泉Chiriguallaには露天風呂と屋内温泉があって、どっちも最高!


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