Nov,21,2011

クスコに1週間滞在した。マチュピチュなどの観光地は前回訪れたので、今回はのんびり休憩してバッテリーをチャージ。
ようやく重い腰を上げてクスコを後にし、プーノ経由でボリビアを目指す。
相変わらず標高は高いけど、この先はボリビアまで全線舗装なので、まあ余裕でしょう。

2日目に軽い峠を越えると、プーノまで標高4000mのだだっ広い高原がひたすら広がっていた。
4000mといえば富士山より高いし、普通なら森林限界線なんてとっくに振り切っている標高だ。
そんなところに水が豊富に流れて草木が普通に生え、人が住み、リャマやアルパカや羊が草をほおばっている。ついでチチカカ湖のような巨大な湖まである。
つくづく自然っていうのは不思議なものだ。


川に草原、標高4000mとは思えない風景

久しぶりの自転車走行は、運が悪いのかどうなのか、峠を越えて高原に入った時から強烈な向かい風が吹き続けていたので、テンションは低めだった。
向かい風は予め分からない事が多いし、いったん吹き出すといつ止むかも分からないし、風に吹かれ続けると体がかなり疲れるし、なによりいつもの半分以下のスピードで漕いでいるのが空しくなってくるので、どうしても好きになれない。
せっかくの景色もテンション低めのままでは堪能しきずじまい。


ペルーはありとあらゆるところに段々畑を作っている。人ってたくましい。

クスコを出発してプーノに近づくにつれて、あれれ?と思うことが増えてきた。
ようこと二人で、「今のランチ高くなかった?」とか、「この村何だか感じ悪くない?」なんて会話をすることが増えてきたのだ。
全国一律1ソルだったフレッシュオレンジジュースを2ソルといわれて諦めたり、パンを1ソル分買ったらいつもの半分くらいしか入っていなかったり、金額的には別に目くじら立てるほどの事ではないのだけど、あれ、あれれ?と首をひねることが多い。

そう思ってみると、人の感じも少し違う気がする。
幹線道路からほんの少しでも外れれば今まで通りの明るくて気のいいペルー人に囲まれるのだけど、幹線沿いの村はどことなく愛想もガラも悪い。
極めつけはプーノで、ペルーに来て初めて「ずいぶんガラの悪い街だ」と思ったし、食堂では最初に確認した値段と後で請求された値段が違ったりした。そもそも今まで通ってきた田舎町では値段の確認なんかしなくてもなんの問題もなかったのに。


空の蒼さと雲の近さが標高の高さを教えてくれる。

ペルーを旅して約2か月、最後の最後にして、はじめて露骨なボッタくりペルー人と接している。
僕たちはいかに貧乏旅行者とはいえ、現地の人からしてみれば途方もないお金持ち。
だから外国人旅行者に少し高く請求するのはやむを得ない面もあると思うので、少しくらいのボッタくりなら気にしないようにしている。
だけどこうも露骨にやられると、さすがに文句のひとつも言ってやりたくなる。こういうのは僕らが気がつかないようにこっそりやって欲しいのに。
そういえば、クスコでKg単位でお金を取る洗濯屋に出したら、「5kgです」なんていつもの倍近い重さを言われたっけ。


遮るものが何もない場所で向かい風。辛い・・・

これまで大絶賛だったペルー人だけど、クスコあたりからペルー人の印象がずいぶん変わってきた。
ううむと思って、そういえば10年前はどう思ったのだろうと自分たちのウェブサイトのNOTE(以前の訪れた国々の感想)を読み返してみたら、「全般に人が良いという印象はない」とか「あんまり親切にされた記憶はないかな」などと書いてあって、5段階中で星2つという悪い印象だった。
そっか、リマ、クスコ、プーノ、アレキパと観光地ばかりを巡っていた前回は、今の僕らと同じような良くない印象を持っていたんだ。


温かい声援にいつも笑顔と元気をもらう日々。

もともとの街の治安というのもあるけど、
観光客を相手にする現地人のガラが悪くなるのは、とりもなおさず観光客のガラが悪いからで、
実際に金に物を言わせて王様気分の人、現地人を召使いのようにあしらう無礼な人、後先を考えず子供たちに飴だのペンだのをばらまく無思慮な人は、沢山いる。
それは程度の差こそあれ僕らだって例外ではなく、どこかで旅人だから親切にされたり特別扱いされて当たり前と思っていたりとか、話したい人とだけ話したり写真を撮ったりして、そうでない人のことは徹底的に無視するとか、「あの国は人が悪い」なんて悪口を言ったり書いたりしているわけで、それが悪いインパクトを与えていないわけがない。

そんな僕たちが偉そうにあれこれ言えることでもないのだけど、これまでペルー人の素朴な優しさや明るさに触れ続けてきただけに、最後の最後で不愉快な思いをするのは残念だ。
いや、でも、素のペルー人と多く触れ合う機会のあった僕らだからこそ、こういう観光地を経験してもなお、「ペルー人はみんな素晴らしい人たちだったよ」と堂々と胸を張って紹介できるのかもしれない。

ペルーの人たち、みんな素敵だったよ、ありがとう!


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