Nov,03,2011

いよいよ未舗装区間が始まった。私たちの選んだリマからクスコまでの約1100kmのルートの半分は未舗装区間で、アンデスの山々を登ったり下ったりのジェットコースターのようなルートになる。
未舗装区間はもはやメインルートではないので、地図を見てもか細い線でしか結ばれていないし、標高のアップダウンの記録を見ると、今までに見たことのないような尖り帽子が並んで売っているような図で、不安にもなる。
いったいどんな道が待っているのだろう。どんな過酷な日々が続くのだろう。
ドキドキもするし、わくわくもする。


デコボコしていてタイヤを取られちゃう上に、すぐ隣は崖。本当は右側通行だけど左側(山側)すれすれを走る。

まずは大都市アヤクチョまでの4日間。
この区間はまだジェットコースターは始まらない。ワンカヨ(標高3200m)からアヤクチョ(標高2750m)の間、3900mくらいまでは登るけれども、あとはちょこちょこアップダウンを繰り返すのみ。とはいえ、久々の未舗装路はそう簡単には進ませてくれない。
それに交通量はそんなには多くはないのだけれども、車が通るたびに砂埃を巻きあげていくので、目も喉も痛いし、いい天気なのはありがたいのだけれども、照りつける日差しが痛いくらいに強い。
それでも状態はそれほどは悪くない未舗装路なので、自転車を降りて押さなくてはならないようなところはなかったのは良かった。
景色はスペクタクラーで、毎日どんどん景色が変わっていくので飽きることがない。
山の中なのだけど、砂漠のようでもあっていろんな種類のサボテン類がにょきにょきしている。カラフルな岩山は紫だったり赤やピンクだったり、濃い緑だったかと思えば茶色のグラデーションだったり。
ここで育つこどもたちは山を描いても緑一色では塗らないのだろうなぁ。


カラフルな山々。地層も立派な装飾だ。

驚くのはこんな山の中なのに沢山の村が点在していて、土地という土地がほとんど開拓されていることだ。
こんなに乾燥して肥えていなさそうな土地でも植物が育つということにも感心する。
小さな村々には食堂もあれば商店もある。
少し大きめの村になると宿まであって、誰がいったいこんなところに泊るんだ?と思うのだけど、いつも私たち以外にもお客さんがいて、かといって別に売春宿ってことはなく、普通の夫婦だとか、商売でやってきた人だとか、そんなたぐいのお客さんがどんな村にもいた。
いくら道が悪いといっても車だったら一日で普通にワンカヨからアヤクチョへ行ける距離で、普通に考えたらそういう大都市に泊るよなぁって思うのだけど、世の中いろんな人がいるもんだ。

この未舗装区間に入ってから、人々がますますフレンドリーになってきた。
ペルーは走り始めから人が穏やかで気持ちいい挨拶をくれることが多くて、ペルー人の印象がどんどん良くなってきているのだけど、田舎の小さな村々は人との触れ合いが楽しい。
触れ合いといってもただ挨拶したり、ちょっとした会話をする程度なのだけど、ちびっこからおじいちゃんおばあちゃんまで、みんなのふんわりした優しい笑顔をもらうと何とも言えなく幸せな気持ちになる。
そういえば、こういう人との触れ合いってしばらくなかったものなぁ。

ある日いつものように通りがけの人に手を振って挨拶をした。
少し離れたところでリヤカーを押していたおじさんが小走りで近寄ってきて、大きく手を振って顔がしわくちゃになるくらいの笑顔で、「bon Viaje!(よい旅を)」と私が視界から消えるまで声をかけてくれた。
別にただこれだけのことなのだけど、ものすごく嬉しくて涙が出そうだった。
おじさんから出ているオーラが温かかったのと、しわしわの素敵な笑顔と、そして温かい「よい旅を!」という言葉が心の奥までじーんと沁みる。
これまでのペルーでの道中でかけてもらった温かい言葉や笑顔の数々がリレーのように頭の中に映像として繋がっていく。


プリミティブなトンネル

素敵な景色もいいけど、刺激的な芸術もいいけど、こういった素朴な人との触れあいが心を豊かで温かくしてくれて、大きなエナジーになる。
この先もどんどん田舎に入っていく。こうやって温かいペルー人たちと出会えるのかと思うと楽しみだ。大変そうなルートだけれども、このルートにしてよかったと今の時点では思ってる。
この先のジェットコースター並のアップダウンの道を通ったら、その時はどう思っているのかな。


川沿いはずっとこんな道。お願いだから落ちないで~


川沿いを離れると、西部劇みたいな風景が広がる。


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