
リマからクスコに向かうには、海岸沿いを経由する道と、いきなりアンデスに突入する道とがある。
前者は平坦な舗装路、後者は激しい山道な上に未舗装路。
どちらを走るかなんて悩むまでもない。もちろん山道だ。
ペルー・ボリビアは2001年に続いて2度目の訪問。すでに前回の旅でマチュピチュをはじめとするメジャーな観光地は訪れているので、今回はあまり観光地に行く予定はない。
今回のペルー・ボリビア編のテーマは、ずばり「自転車で走る」こと。
だから平坦な道を選んでもしょうがないので、激しくも楽しい道を選んで「走る!」のです。
と意気込んではみたものの、リマは海岸沿いにある街。
Altiplanoと呼ばれる標高2000m~4000mのアンデス高地に突入するには、まず標高0mのリマからぐんぐんと登って標高4818mの峠を越えなければならない。
標高差は実に4800m。ダウンヒルは楽しそうだけど、登るとなると結構きつそうだ。

標高約4000mにて。誰か酸素をくれ~
出発の朝、早朝にもかかわらず「江田イン」のオーナー宏子さんが、おにぎり・みそ汁・卵焼きという嬉しい朝食を用意してくれた。
美味しい日本の味も嬉しいけれど、なによりも宏子さんの温かい気持ちが物凄くうれしくて、朝からやる気がみなぎってきた。
リマの「江田イン」は、宏子さん・ホルヘさんご夫婦のお陰でほんわかと居心地の良い宿だった。
海外、特に中南米に多く存在する日本人専用の宿(いわゆる日本人宿)。
海外にいながら日本人に囲まれて日本社会の独特な雰囲気の中で過ごすという、とても特殊な空間なのだけど、日本人宿ばかりを転々とする旅行者や何か月も住みついてしまう人も数多くいるし、それはそれで一つの旅のスタイルだとも思う。
僕たちも“旅モード”から“休憩モード”に切り替えてゆっくり休みたい時には利用することもある。
だけど長期滞在者が多い日本人宿では、“旅”とは無縁のどんよりまったりした沈没停滞ムードが漂っていて、風通しのよい空間とは言えない場合も少なくない。
その点、リマ「江田イン」の宏子さんやブエノスアイレス「上野山荘別館」の伊都子さんのように、宿泊者全員に満遍なく気を使ってくれる明るくてさっぱりしたオーナーが宿に常駐していてくれると、宿の雰囲気も明るく爽やかになって、居心地が格段に良くなると思う。
まあこれは完全に好みの問題だけど、僕たちはディープな空間よりもこういう爽やかな宿が好きだ。

少しだけ未舗装の旧道を走ったら、橋が崩壊していてこれ以上先に進めなかった。どうすりゃいいの!?
さて、早朝から心もお腹もいっぱいになって、いざ出発。
第一の難関はリマ市内の突破だ。リマ市内の空気の悪さは、世界ワースト3くらいに入るんじゃないだろうか。何とか無事にリマ市内を抜けたころには、喉がイガイガして、目がしょぼしょぼして、鼻の穴も真っ黒になってしまった。
なんだか朝から酷い目にあった気分だ。

ペルーの道はくねくねしていてビジュアル的にはハードだけど、傾斜がゆるいので走りやすい。
4800mの峠とはいえ、もちろん一日で登るわけではない。
そんなスーパーマンじゃないし、高度順応が必要なのでゆっくり登らなければならない。
距離的には丸2日もあれば登れる峠だけど、あえて4日かけてゆっくりと登る。
この峠道は快適な舗装路がずっと続いているし、傾斜も緩いので、自転車を押して歩かなくても大丈夫なのが幸いだ。
GPSの高度計を励みにしながら、ひたすら地味に地味に登っていく。

標高4200mの村。こんな村でもホットシャワーを浴びられることに感謝!
だんだんと標高が上がり、3000m、そして4000mを越えても、街道沿いには10~20km毎に村が点在していて、泊まる所や食べるところには困らない。
そしてどの村にも電気もあればちゃんと水道だってある。
中南米を旅していて他の地域と違うなあと思うのは、貧しいといわれるエリアでも電気や水道といったインフラが最低限整備されていることだ(そうじゃないエリアもあるのだろうけど)。
アフリカやアジアなら、僕らが通るようなメジャールート沿いであっても、電気や水道がないエリアがごく普通にあったというのに。
それどころか峠越えの間は毎日ホットシャワーも浴びれたし、WiFiまで完備している宿もあった。
中南米って世界的に見ると、とても発展しているエリアなんだなあと思う。

ただいま標高4600m。もうすぐ頂上だ!
再び話を戻して肝心の峠越えだけど、ひたすらひたすら地味に登り続けていたら、気がついたら登り切っていた。4日目のお昼頃、無事に4818mの峠に到着。
途中ちろっと雪山が見えたりもしたのだけど、期待に反して意外と地味な風景が続いていたので、記憶に残る峠というよりは、4800mも登ったぜ!という記録に残る峠だった気がする。
そうはいっても4日かけて登ってきた念願の頂上。
記念写真でも撮って、お祝いにとっておきのお菓子でも食べて、と思っていたのに、
暇そうなピーナッツ売りの兄ちゃんに絡まれて、満足に記念撮影すらできなかった。
「お前ら中国人か?」「ナッツいるか?」「写真取るのか?そのカメラ見せてくれ。これいくらするんだ?」「ナッツうまいぞ。」「これはなんだ?何に使うんだ?」「何で見せてくれないんだ?」「で、ナッツいらないのか?」・・・・・
うう、この4日間の苦労を返せ!

No Gracias…記念撮影くらいゆっくりとらせてくれ!


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