Oct,25,2011

野宿というのは山の中であれ、人里近くであれ、どちらにせよドキドキする。
北海道の山で寝るときは熊にビビる。
自転車中に野宿するときは強盗にビビる。
今回のようにひっそりと山の中でテントを張るのもうれしくもあり、緊張もする。
自分がどうしようもないチキンであることはこの自転車旅3年間ですっかりと実証済みだ。
誰になんと言われようと怖いものは怖い。
でも幸い諦める能力も高いようで、さんざん最悪の事態をシュミレーションしてみたりした後は「えいっ」と諦めスイッチを入れて寝ることができる。これは備わっててよかったと思う自分の中の機能のひとつだ。


すっかりどんよりとした天気

そしてまた無事朝を迎えた。
昨日ばっちり見えた山々もすっかりと雲の中に姿を消してしまっている。
トレッキング5日目の今日が曇りでも仕方ないよなぁと思ってしまう。
散々の天気予報だったわりにここぞというところはいつも晴れてくれたもの。最後の一日くらいは仕方あるまい。サンタクルス谷のトレッキングがとても満足のいくものだったのもあって、
ラグーナ69へのトレッキングはもうオマケのようなものだった。


最後が結構な登り。しかも登り始めたときは奥に見える白い山々が雲に隠れて見えなかったのでいったいどこにレイクがあるのかとテンションも上がらない。

まだ日帰りトレッキングの人たちはやってこない時間で、平和で静かなトレイルをテクテクと歩く。
私たちのテントを張った場所がどんどん小さく見えてきて、少しずつ息が上がってきたころに小さな湖に到着した。実は今日のラグーナ69への道は迷うことのないはっきりとしたトレイルがあることが分かっていたのもあって、何キロあるとか標高何メートル上がるだとかちゃんとした情報を持っていなかった。
とても美しいと聞いているラグーナ69がまさかこのちっこい湖ではないことは間違いないだろうけど、まだ登るの?


この雪山と青空ときらきらと輝く湖が視界に入ったとたんにぴょんぴょん飛んでも苦しくなくなった。

結局ラグーナ69は標高4600mにあって、一度4300mくらいにある小さな高原を突き抜けて、さらに一山登らなくてはならなかった。そんな高いところにあると思っていなかったので、最後の登りはサンタクルス谷トレッキングのプンタウニオン峠(標高4750m)より大変に感じたくらい。
あれー、5日間も歩いてきたのに何でこんなにハァハァするんだ。
軽くなったはずの荷物もずしんと体にのしかかる。下を見ながらフラフラと登る。
快調に前を歩くひろが大きな声で私を励ます。
「晴れてきてるよー、上の方!」
久しぶりに上を向いたらグレーの空を間から元気な青空がちろりと顔をのぞかせてるではないか。
いっきにテンションが上がってくる。
やっぱり山登りにはテンションが必要なようで、青空を見たら一気に足取りが軽くなってきて、ラグーナ69が視野に入ってきたときには標高4600mなのに小走りになっていた。


光のかげんでいろんな青を見せてくれる湖

そしてじゃじゃーん、青空ですよ、青空。
今日は太陽なんて絶対出ないと思ったのに、眩しい光が湖面を照らしていて、さまざまな青色をみせてくれる。二人とも落ち着きなくピョンピョンとそこらここらを飛び跳ねる。
だって嬉しいんだもの。
そりゃあね、写真を見てみたら大して言うほど青空じゃないじゃんって思うかもしれないけど、
青空の可能性なんてゼロだと思って登ってきてみたこの青空は、快晴の青空より価値があって、
この美しいラグーナ69を見た人はきっと誰でもみんな幸せになると思うけど、私たちはその中でも相当幸せを感じてると思う。だって、後ろ振り向いたらグレーの空よ。

そんなこんなでワラスでの5日間トレッキングはワラコのおかげで素晴らしい天気に恵まれ、
最高の景色を楽しむことができた。
ペルーはマチュピチュ、ナスカだけではありません、
アンデスの山々もお忘れなく!!


湖の反対側はこんな天気でした。


yoko | Peru
© yokoandhiro All rights Reserved. | 管理者ページ