Sep,26,2011

ブダペストは奇麗な街だと聞いていたけれど、正直全く期待していなかった。
だってヨーロッパの街でしょ、中世の街並みでしょ、そういうのはもうお腹いっぱい。
そう思っていた。
でもブタペストは違った。

他の街と何がどう違うのか自分でもよく分からない。
この街の建物だって聖人像がニョキニョキと生えていてゴテゴテしているし、オペラハウスにお城に教会に広場と、どこを見回しても典型的な中世の街並みが広がっている。
でも何か違う。この街は好きだ。


街の中心を流れるドナウ川。

建物の色褪せ具合がいい味を出しているからだろうか、通りが広くて開放的だからだろうか、碁盤状に区画されながらも各通りが緩やかなカーブを描いているからだろうか、
それとも街の中心を流れるドナウ川の曲線美のお陰だろうか、西岸の丘陵地帯ブダと東岸の平地ペストのバランスが絶妙だからだろうか。
どれもがこの街の美しさを説明しているような、全く見当違いのような感じなのだけど、まあ無理に言葉で説明する必要もない。
とにかくこの街は美しく、そして心地がいい。
ヨーロッパの街は趣味に合わないのだと諦めていたけれども、こんなにも琴線に触れる街があったということに、なんだかとてもホッとした。

ブダペストでは、2年前にエチオピアで出会ったオルガとバラージュの夫婦にお世話になった。
彼らは日本の大学を卒業した日本語ぺらぺらの秀才でもあり、旅人でもあり、サイクリストでもある。
彼らの行動力はすごい。
二人がインドのザンスカールを自転車で旅した時、ハンガリーと縁の深いザングラという村を訪れた。
そして、その村の古城が緊急に修復必要な状態にあると見るや、すぐさまその城の修復プロジェクトを立ち上げ、それだけじゃなく自らも毎年夏にその村に行ってボランティアで修復作業にあたっている。
さらにはソーラースクールの建設、子供たちへの支援と、その活動範囲はどんどん広がっている。
パッションを具体的な行動に移せる知識の深さもさることながら、なによりもその行動力に、そしてその自由な心に強く惹かれる。
旅行中に親切を受けっぱなしで、“いつか何か恩返しができるかねえ”なんて妄想を膨らませているだけの僕らとは、スケールが全然違う。


緩やかな曲線を描く美しい街並み。


ブダ側にある王宮からペスト側を眺める。

週末、二人のサマーハウスに招いてもらった。
木が深く生い茂る広い庭の中に、過不足ないシンプルな家が建っていて、二人の価値観を具体化したような素敵な空間だった。
庭の焚き火場で火を囲みながら、ハンガリー名物のシチューを準備してくれる。
パチパチという火の音とコトコト煮込まれるシチューの音が真っ暗な森に響いて、心が静かに休まっていく。
こんなに心静かに過ごせる時間は、久しぶりだ。


二人のサマーハウスの庭で焚き火。こんな家なら僕らも欲しい!

ハンガリーから日本に留学するだけでもどれだけ大変か分からないけれども、二人はものすごい才能と、そして運を持ち合わせているのだろう。
そして逆にその才能に任せて“典型的なエリート生活”を過ごすことだってできたかもしれない。
でも二人はそれに甘えることなく、自分たちの夢を追って、自分たちの道を歩いている。
僕たちも自分たちの道を歩きたいと模索している最中だけど、この二人は僕たちの遥か先を歩んでいる。
それが羨ましく思えたし、そして、そんな人と友人でいられることが嬉しく思えた。

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ザンスカール・ザングラ城の修復プロジェクトの詳細はこちらから。
CSOMA’S ROOM
ドネーションベースのプロジェクトです。ウェブサイトを通じてレンガや梁を購入することでドネーションすることもできます。
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素敵なサマーハウスにて。ありがとうオルガ&バラージュ!


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