Sep,23,2011

ハンガリーに入って、トイレに行きたくなった。
国境を越えてしばらくしてガソリンスタンドがあったのでトイレに駆け込んだら、あいにく鍵がかかっていた。
スタッフに頼んで開けてもらうこともできたかもしれないけど、なんとなくすぐ横にあった森の茂みに行くことにした。

人や車からちょうど死角になるその場所は格好のトイレスポットで、前にも人々が利用した痕跡が残っていた。
用を足したら、なんだかとてもホッとした。
ものすごく我慢をしていて用を足したからホッとしたという訳ではなくて、トイレじゃないところで用を足したということに何故かホッとしたのだ。


オーストリア国境に近い街ショプロン。味のある可愛らしい街で久々にときめいた。

こんな風に言ったらハンガリー人には失礼なのかもしれないけど、今まで通ってきた西欧諸国ではなんとなく野で用を足せる雰囲気がなかったのに、ハンガリーにはできる空気がある。
西欧諸国では隅の隅まで人が手入れしていて、どこか神経質なくらいキッチリしている敷地だらけで、用を足すどころか足を踏み入れるのさえためらうような土地が多かった。
もちろん空き地もあれば、森もあるのだけど、
「えへへ、ちょっとトイレが間に合わなかったんで、ここでしちゃいました。」
なんて到底許されなさそうな空気が漂っていた。


路肩はガタガタだったり、電信柱が傾いてたり、クラックションの音がブッブーと鳴り響いてたり。そんなカオスにホッとする。

ハンガリーには緩さがある。
その緩さというものを言葉で表現するのは難しい。
例えば道路の端っこがガタガタだったり、電信柱が曲がっていたり、人も住んでいる現役の建物のペンキがハゲハゲだったりするような、そんな気の張ってないところなのだけど、
だからといって全てがそういうわけではなくて、ほかの西欧の国々となんら変わらない景色も続く。大きなスーパー、高速道路、ひまわり畑にクルクルと大きく巻かれた干し草。
でもなんか違う。
上手く言葉に表せないのがもどかしいのだけれども、ハンガリーのこの緩い気の抜けた感じがなんとも心地いい。

ハンガリーに入ってもうひとつ嬉しいのが、街が可愛らしいこと。
色使いといい、建築スタイルといい、中南米のコロニアルタウンのような趣きのある街が多い。
観光地的な街でも、どこか手入れし切れていない建物が多いのもまた好印象だったりする。
完璧じゃなくて、ホッとする。


自転車道に入ってみたら砂利道。ハンガリーは国道1から9まで自転車走行禁止ということなんだけど、この砂利道は嫌ねと違反して国道を走ったり。

それにしてもハンガリーに入ってやたら暑い日々が続く。
この夏で初めて、テントの中で汗をダラダラかきながらもがき苦しむ夜を迎えた。
昼もメキシコの走行を彷彿とさせる暑さで、エアコンの効いたガススタンドでキンキンに冷えたビールを飲んでは騙し騙し走る。そうしてまた1時間も走ると喉がカピカピになってどうしようもなくビールやシュワシュワした冷たいものを欲する。
飲み過ぎてお腹がタプタプなんだけど、気が狂うくらい飲みたくなる。あぢぃー。
街の温度計を見たら36度、38度。ハンガリーでも今年の夏は冷夏でとっても寒かったそうなんだけど、そんなことが嘘だったみたいに暑い。
おかげでハンガリーは温泉が有名で楽しみにしていたのに、すっかり入る気が失せてしまった。


スーパーで冷えたものを買って体を冷やし中。本当はソーメンが食べたい。

あ、ハンガリーでもうひとつ面白かったこと。
人気のない森の中を通る国道を走っていたら、突然水着姿の女性が見えてきて2人で「??」。
この人何してるんだろうと思いながら通り過ぎて、また1時間くらいした森の中から今度はティーバックを履いた女性がウィンクしてきた。
あー、そっか、そういうこと?
3年間世界を走ってきたけど、こういう売春スタイルは初めて見た。
ハンガリー人の友人に聞いたらブダペストなどの街での取り締まりが厳しくなって森などで商売をする人が増えてきたとのこと。
ハンガリーの森で野宿するときは気をつけて。


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