Sep,14,2011

18%の峠を登りきってスロベニアに入り、それからすぐにまた今度はさらに標高差800mくらいの峠に挑んだ。スロベニアに来たのはこの峠のあるジュリアン・アルプス辺りを走りたかったから。
スロベニアという国はあまり馴染みはなかったものの、10年前にチベットからネパールの自転車旅をしたときに出会ったサイクリストたちがスロベニア出身で、
「チベットもいいけどスロベニアは素晴らしく美しいんだ」と目を輝かせて言っていたのがずっとずっと頭に残っていた。
正直な話そのとき初めて「へぇ、スロベニアってイタリアの横なんだ」と知ったくらいで、いったいぜんたい何がどう美しいのだか想像すらできなかった。
観光資源の多いクロアチアは何かと旅人には有名だけれども、スロベニアって何があるんだ??

スロベニアのアルプスも美しいのだと耳にしたのはほんのつい最近で、本当はこのままウィーンへ行ってしまおうと思ったのだけど、もう少し山が見たいと思って寄り道することにすることにした。
峠はしばらくお休みのモードだったけど、標高1000mと1600mの峠二つくらい大したことないわね、と思ってやってきた。
ところがどっこい、まさかの18%峠で大したことがあったわけだけど、
手足がつりそうになってもスロベニアに来た甲斐があったと国境を越えてすぐに感じた。

何がどう違うのかうまく説明するのは難しいのだけれども、峠を越えてスロベニア側のゆっくりと下って行く道は、いままでのドロミティ・アルプスやオーストリア・アルプス、ドイツの山々の雰囲気とは違って、もっと静かでワイルドで、でも優しい感じの空気になった。
不思議なことに国境にあるスロベニアという看板を越えて少ししただけで、空気まで変わった気がした。まだ素敵な人と出会ったわけでもないし、素敵な建物を見たわけでもなくて、衝撃的な山を見たわけでもないのに「うーん、この国好きかも!」宣言。

国境からすぐの街Kranjska Goraを過ぎて二つ目の峠Vrsic Passが始まる。
このkranjska Goraという街自体はただ通過する大きめの街くらいにしか思っていなかったのだけれども、ゴージャスな山々が街のところどころからにょきっと顔を出し、エメラルドグリーンの川やレイクがスペシャルなものとしてではなくて、ポンとそこにある。 人も少なくていい感じ!
高めなテンションで二つ目の峠に取りかかる。
この峠のいいところは、景色がどーんという感じで見えるわけではなくて、木々の向こうに凄い景色が見え隠れしていて、自転車で走っているとその景色がうまくつながってくれるのだけれども、いざ停まって写真に収めようとするとその凄さがさっぱりと写ってくれないところ。
スカートのスリットの隙間から見える足のほうが水着姿の足よりもセクシーに見えるのと同じ感じかなぁ。

さっきまでカラッカラの晴天だったのに、高度を上げるにつれて空模様が怪しくなってきて、とうとう雨が降ってきてしまった。
晴れてたらもっと美しかっただろうになぁ、ちょっぴり残念な気持ちで頂上に着いて、雨に打たれながらのダウンヒル。
峠の向こう側も空はグレー一色で、晴れ間が覗きそうな気配すらない。せっかく楽しみにしていた峠だったのに、せっかく遠まわりしてスロベニアに来たのになぁとしょんぼりしていたら、目の前の岩山がうっすらと色づいているのに気がついた。
あ、虹。

「ほれー、ひろ虹が出てるってばー。」
と転がり落ちるように先を走るひろを追っかけたら、ひろが静かに遠くの山を見つめて停まっている。
一筋の光の帯が優しく森を照らしていた。
青空もいいけど、なんかいいね雨上がり。
静かで穏やかな夕方の光が、優しくスロベニアのジュリアン・アルプスを包みこんでくれていて、ブレーキを握る手だけは力んでいるものの、体がゆるゆると和らいでいく。
いいねー、スロベニア。


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