Aug,21,2011

鋭角な雪山に眩しいほどのグリーン、美しく空や山々を映す湖、ポスターや旅雑誌から刷り込まれた「アルプス」のイメージは非現実的なくらい完璧だった。
あまりにも美しすぎる写真にどこか引いてしまうところがあって、アルプスに行ってみたいと思ったことは今回のヨーロッパ編に突入するまで一度もなかったし、ちゃんと調べてみることすらなかった。

私たちのヨーロッパ編のスタート地ノルウェーが、想像をはるかに超える美しさで興奮した。
ノルウェーも素晴らしいけど、アルプスも凄いのだと、そのころから少しずつアルプスの噂が聞こえだした。このノルウェーの引き合いに出されるくらい美しいところなのだ、ということで素直にアルプスに行ってみたくなった。

それでも写真で見る「アルプス」は枠の中に収まる限りある景色で、写真なのだから当たり前といえば当たり前なのだけれども、山がどどーんと聳え立っていて、美しい湖があって、、、でもその先の広がりがどうしても想像できなくて、スイスあたりにちょちょちょっいとあるというイメージが強くかった。地図を広げてアルプスがフランスからスロヴェニアまで大きく広がるものだと分かったときには少し驚いてしまった。
あの写真で見るような凄い景色が何百キロに渡って続くのか?

物凄い期待で私は南ドイツからオーストリアのアルプスの山々に突入した。
フラッシュバックのように私の脳裏に映し出される「アルプス」の映像と、目の前に連なる山々のギャップにがっかりしなかったと言えばウソになる。
あれ、雪山はどこ?。あれ、きらきらと輝く湖はどこ?
標高2000mを越える山々も夏場にはすっかりと雪も解けてしまう。
山々がある景色は心地いいし、かわいらしい小さな街々が谷間に続いていて、走りやすいサイクリングロードが続いていて気持ちはいい。
でも、
でも、、、と思ってしまうのだ。
ここがもし「アルプス」でなければ、とっても感激する素晴らしい場所なのに、「アルプス」だけにがっかりする。
これがノルウェーとの引き合いに出される「アルプス」なの?
そんな悶々とした日々が4,5日続いた。


きれいだし、気持ちいいんだけど、でも、、、、。

そうしてイタリアのドロミティ・アルプスに入った。
ドロミティの入り口ボルザーノの街の奥の私たちが向かう方向にギザギザのかっこいい岩山がちょろり覗いたとき、思わず「キター!!」と叫んでしまったのは言うまでもない。
今までのような生ぬるいサイクリングロードは終わり、厳しいグネグネの山道が始まった。
ファミリーサイクリストたちは姿を消し、上下ばっちりと決めこんだロードレーサたちしか出会わなくなった。
日差しも強く、汗がだらだらと垂れ続ける。息が整う暇がないほど急坂が続く。
それでもテンションは異常に高い。
曲がり角を越える度に、スパイキーな山々の姿が少しづつ近づいてくるのだ。
この景色に体中が喜んでいるのが分かる。

そして本日のキャンプ場はゴージャスな山々を見上げるサイト。
いよいよアルプスが始まる。


きつい登りだけれども、早く山が見たくてペースがあがる。


やっとアルプスに来た気分。


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