Aug,18,2011

オーストリアってサウンド・オブ・ミュージックの国でしょ、とオーストリア人の友人に言ったら、「日本人はみんなそう言うけど、そんな古い映画見たことない」と笑われた。
そう言われても、他にオーストリアのイメージがパッと浮かんでこない。
そんな僕の中で影の薄かったオーストリアに行くなんて予想もしていなかったけど、
実際走ってみればなかなか素敵な国だ。


山が見えるだけで一味違う風景に

ミュンヘンから南下してオーストリアのチロル地方に入り、イン川沿いの谷を走ることにした。
平野だった北ヨーロッパから一転、チロル地方は右も左もアルプスの山々に囲まれていて壮観だ。
イン川に平行して走る快適な自転車道沿いにはトウモロコシ畑が広がっていて、それだけを眺めていると、どこか日本の田舎を走っているようなのどかな印象を受けるのだけど、
ふと視線をあげればアルプスの山がドーンと見えるので、それだけで景色が一気に引き締まる。
東京で生まれ育った僕には視線の先に山が見えるなんてことはなかったのだけど、今では山のある風景の方が自分の中に素直に入ってくるから不思議なものだ。

そしてチロル地方は山だけじゃなく、街も素敵だった。
最近の街観光生活ですっかり街には飽き飽きしていたのだけど、
イン川沿いの小さな街たちはとても可愛らしくて、ほんわかほっこりと感動した。
赤い屋根の家々と街の中心にそびえ立つひょろりとした背の高い教会が、背後に見えるアルプスの山々と見事に調和していて、絵に描いたような“アルプスの街々”が次々に目に飛び込んでくる。
特に期待をしていなかった分、その見事に調和した美しさにすっかりお得な気分になって、“いやあ素晴らしい景観じゃないか”なんて感動したのだけど、
もし同じ風景をバスや電車に長時間揺られてわざわざ見に来ていたとしたら、“ふうん、やっぱりヨーロッパの街はこんなものか”とがっかりしていたかもしれない。
人が感動するツボというのは、いろんな要素に左右される結構いい加減なものだ。


こじんまりとした旧市街がとても素敵だった街、Hall。

そんな好印象のオーストリアをいったん後にして、
オーストリア・スイス・イタリアの国境付近にある峠を越え、イタリアに入ることにした。
これからはしばらく、イタリア北東部のドロミティ・アルプスを満喫する山ごもりの旅だ。

ようこはオーストリアではザッハトルテを探すんだと鼻息を荒げていたけれど、結局どちらもトライしないままだった。
またオーストリアには戻ってくる予定だから、それまではイタリアのハムあたりで我慢してね。


背高のっぽの教会は、アルプスの自然と見事に調和した美しい造形。


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