Aug,06,2011

ようこは僕が街嫌いだというけれど、決してそんなことはない。
普通の人より、特に女の子に比べれば、街に対する興味は少ないのかもしれないけれど、
これまでもイスタンブールとかメキシコシティとかイスファハンとか、いくつか好きな街はあった。
ヨーロッパの街並みが趣味にあわないだけだ。中世の街並みは不自然に思えて居心地が悪いし、教会とか広場とかを回ってもゴテゴテしているだけで全然面白くない。

だからオランダ・ベルギーと回ったところで完全に街巡りには飽きてしまって、中世メルヘンな街に行くのはもう勘弁と思っていたのだけど、
そんな僕にすらパリは楽しかった。

パリでお世話になった友人が“パリ観光局には日本人専門カウンセラーがいる”というジョークがあるんだよと言っていた。
花の都パリ、美しく完璧な街パリを期待してきた日本人ツアー客が、ホームレスやゴミや犬の糞といった現実の姿にショックを受けるので、そのケアのためにカウンセラーが常駐しているのだという。
まあ多分事実じゃないんだろうけど、なかなかツボを得た冗談だと思う。
たしかにパリにディズニーランド的なものを期待してくるとがっかりするかもしれない。
僕にとってパリは“中世の世界を閉じ込めた花の都博物館”ではなくて、むしろ生活臭の漂う活きた街だった。
街並みは一見して華やかな感じという訳ではないのだけど、すっきり明るく統一されていて、
窓際に飾られた花々やのびのび生き生きした街路樹などが、この街の感じの良さをアップさせる。
そういえば地下鉄や広場にいる音楽パフォーマーのレベルも驚くほど高く、思わず足を止めて聞き入ってチップをあげてしまいたくなるほどで、それもこの街の違いを際立たせている。
これ以上に具体的に説明するのは僕の表現力では難しいのだけど、とにかく感じの良い街だ。

美術館にはオルセーとポンピドゥに行った。
近代絵画を集めたオルセーは、“名画”を集めた美術館の中では、生れて初めて熱心に楽しく感動しながら回れた美術館だった。
現代美術を集めたポンピドゥも見やすくて楽しくて、あっと言う間に時間が過ぎる。
右脳が空っぽの僕ですら感動を味わえる美術館が、同じ街に2つもあるなんて、嬉しい驚きだった。
そして美術館で子供たちが楽しそうに写真を取っていたり、先生と一緒に課外授業に来ていたりするのもいい。
こうやってそうとは意識せずに美しいものを見てセンスを磨いていけるのだろうと、そんな環境が羨ましくなる。

ようこはパリがとても気に入ったようで、もっとゆっくりしたかったみたいだ。
僕もこの街ならもう少しいてもよかったけど、でも正直いい加減に大自然と自転車生活が恋しい。
我ながら無骨だ・・・


パリではなぜか何度もトイレが捨てられているのを見た。そんなにトイレが壊れるのか。それにトイレの修理は自分でするのか。なぞが多い。


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