Jun,25,2011

美しい風景に出会える瞬間。
その瞬間の天気、季節、雲の形、風の向き、光の加減、道の曲がり具合、自分の疲れ方、気持ちのあり方。一つでも違っていれば同じ景色なのにその見え方は全く違うものになる。

ノルウェー走行の最終日、最終目的地まで残り10数キロというところで、その瞬間が突然来た。
カーブを曲がった瞬間、目の前の風景に二人で思わずワーッと歓声をあげて、急ブレーキをかけた。
美しく凪いだ、名もないフィヨルド。
水面に反射する雲の形も、夕方の優しい光の具合も、ドラマティックな登場の仕方も、完璧だった。
ノルウェー走行の最後にこんなご褒美が待っていたなんて。


美しい反射に胸がどきっとする。

昨日は一日中大雨が降っていた。
冷たい雨に打たれながら走り続けるのは、想像以上に体に応える。
屋根付きの休憩場所でもなければ、停まっても寒いだけだからひたすら走り続ける羽目になる。
ノルウェーは天気が悪くても十分景色がきれいだから楽しいのだけど、
それでも“ああ、晴れたらもっときれいなんだろうな”と思いながら走るのは、やっぱりさみしい。


こうやって好きなところで止まれる自転車はいい!

その日は幸運にも格安キャビンのあるキャンプ場を見つけ、久しぶりの室内で泥のように眠った。
濡れた服を乾かし、温かいコーヒーをすすりながら、屋内から外の雨を眺めていると、さっきまであの雨の中にいたことがウソみたいに思えてくる。

翌朝は相変わらず雲は厚いけど、かろうじて雨は降っていない。
ベッドから起きるのが苦痛なくらい心も体もぐったりしていのだけど、天気予報を確認したら今日は晴れるが明日から再び雨という予報だった。
晴れの日に休んで雨の日に走るのはあまりにも勿体ない。今日も体に鞭打って走り始める。
ノルウェーではずっと天気に翻弄されっぱなしだ。


もう体全体から鼻歌を歌えそうなくらい嬉しい晴れ!

そして今日はすぐに青空が広がり始めた。
天気がいいと、ノルウェー走行は本当に美しい。
パミール高原やパタゴニア地方と並んで、僕ら的な世界ベスト3に入る自然の美しさだ。
毎日これでもかというくらい全然違う美しい風景に出会えるので、毎日がハイライトのよう。
きっとノルウェーはバスや電車だけで回ってもつまらないんじゃないかと思う。
この素晴らしい風景を満喫するのには、もちろん自転車がベストだけど、せめて車でも借りてゆっくりドライブでもしないと勿体ない。
そうやって人それぞれのタイミングで、その人だけの特別なスポットに出会うのが、ノルウェーの楽しみ方なんじゃないかと思う。


野花も嬉しそうでしょ。

最後に最高の風景に出会い、ノルウェーの自転車旅も十分満喫した。
ああ、ノルウェー最高だったなあ。
でもまだノルウェーにはロフォーテン諸島やノールカップといった有名スポットが残っている。
またいつか自転車でこなくちゃ。


いつも腹ぺこ族の嬉しいランチタイム。スーパーで一番安いものばかり買ったってなかなかのクオリティー。さすがヨーロッパ。

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