Jun,16,2011

冷たい風が鼻の奥をツーンとつく。
モリモリとした新緑、今にも爆発しそうなくらい勢いよく落ちてくる滝、トナカイ注意のマーク。
あっという間にノルウェーの大自然の中にワープしてきてしまったので、なんだか不思議な気分がしてならない。
2か月半のブランクは思った以上に大きくて、自転車をまともに支えることもままならなくて、ユラユラしてしまう。2時間も漕いだら、すっかり腕が痛くなってしまった。
1,2日目は50kmほどしか走らなかったのに、お尻も足も腕もすっかり悲鳴をあげてしまった。
だけどテンションだけは最高潮!!


美しくて、ぞくぞくっとする。

ついつい「うほほーい」と叫んでしまうほど爽快で、壮大な景色の中をぽつんと走る。
「ちっちゃいよなー、人って」と、前を走るひろを見て思ってしまうほど、目の前に広がる景色は雄大だ。ついこの間走ってきたパタゴニアとも、タジキスタンのパミール高原とも、チベット高原とも、グルジアの山々とも違う。こんなに美しい場所は世界にあとどれだけあるんだろうか。
こうやって2年半旅を続けてきても、地球はいつも私たちを驚かせてくれる。


こういう道になるともはや辛いというよりゲーム感覚で楽しくなる。

毎日が感動だったパタゴニアの走行は最高だったけれども、その後はどこを走っても物足りなく感じるのではないだろうかと心配だった。
でもそんな心配は無用だといわんばかりの景色が、今日も目の前に広がる。
そしてここノルウェーもまた、自転車で走るのが一番楽しい旅の仕方だと思ってしまう。
だって、車や電車でぴゅーと走り抜けてしまうのはもったいなさすぎる。
用意された展望台には車がいっぱい停まっていて、人々がバスや車からカメラと一緒に立ち降りて、パシャっと撮って去っていく。展望台からの景色だって悪くないけど、やっぱり「あ、ここいい!」ってところで自由に止まって、静かに心ゆくまで眺めていられる自転車が好き。
自転車のスピードには無理がない。眼で耳で鼻で感じ取ったものをゆっくりと噛み砕きながら脳裏に刻んでいく。手足の指先にすらその感動が伝わっていけるスピードだと思う。
そのあたりは人それぞれで、私にはきっと自転車のスピードが一番合っていて、だからこんなにも自転車で旅を続けられるのだと思うのだけど。


思わず大きく深呼吸をした。

ノルウェーはまだまだ始まったばかり。
でももうすでにガイドブックで見た写真よりも、ネットサーフィンして探し出した写真よりも素晴らしい景色の中を走っている。この国もまた期待以上に凄いんじゃないかという気がしてきた。
どうかお天気に恵まれますように!


日本なら超名所級の滝がそこらここらにある。


下から見てもすごい坂道だったけど、上から見てもすごい坂道。


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