Feb,27,2011

エル・チャルテンのキャンプ場にテントを張っていたら、一人の女の子が僕らに近寄って来た。
“こんにちは。私はケイト。私も自転車で旅しているのよ。よろしくね。”

ケイトは10歳のイギリス人。
家族3人でカナダからここアルゼンチンまで、タンデム(二人乗り自転車)で旅をしてきた女の子だ。

彼女の経歴は凄い。
生後9か月にしてネパールのアンナプルナ・ベースキャンプに登頂。
2歳の時にネパールのエベレスト・ベースキャンプに登頂。
4歳の時からアラスカをカヤッキングで周り、
今回は約2年間かけてアメリカ大陸を縦断する自転車旅をしている。

ケイトはとても人懐っこく、物おじせず、でもビックリするほど礼儀正しい。
誰と会っても挨拶をして、きちんと自己紹介をして、いつもありがとうの言葉を忘れない。
10歳の子が、こんなに礼儀正しくふるまえることに驚いたけど、
素敵な両親、ショーンとイングリットと話してみれば、“なるほどこの人たちの子供なら”と納得がいく。
でもディズニー映画を目を輝かせて見ていたり、ようこにメイクアップをしたて喜んだり、荷物が散乱している僕らのテントを“汚いわねえ”と溜め息をつきながら整理しているところなんて、いかにも年相応の女の子といった感じで、とても可愛らしい。


幸せな空気がこちらにも伝わってくる、素敵な家族。

トレッキングの合間を縫って、ケイトの家族と一緒に過ごした。
ケイトとようこはすぐに仲良くなって、ぬり絵をしたり日本語を教えたりして一日中遊んでいた。
漢字を教えたら“ここに病院マークを書いて、ここにスカートをはいていて”といった具合に、文字としてじゃなくて絵として捉えて覚えていたのが、とても面白かった。
“恵途”と命名してあげたら、あっという間に覚えて、お手本を見ないでもすらすら書けるようになった。


一緒に夢中になって塗り絵。ケイトの素敵なアイディアにはいつも度肝を抜かれる。

毎日きちんと勉強の時間を取っているとはいえ(お母さんは元学校の先生だ)、
勉強時間の少なさとか、同年代の友達がいないとか、大変なことが沢山あるのだろう。
彼女の生活を“羨ましい”というのは、大人目線の安直な考えなのかもしれない。
だけど少しくらいの勉強の遅れなら、努力次第で追いつける(ケイトはとっても頭の良い子だ)。
日本に住む友人が、子供を連れて公園デビューに行ったのに、公園には誰ひとり遊んでいなくてびっくりしたと言っていた。
小学生の子供を持つ友人が、友だちとの会話がメイクの仕方とか誰それが付き合っているとかそんな話ばかりだと溜め息をついていた。
大自然を舞台に五感全部を使って学んでいる彼女と、塾にゲームに忙しい都会っ子、
長い目で見た時にどちらが幸せなのか、彼女を見ていると分からなくなってくる。


いっぱしの大人気分。

お父さんのショーンは、人生で大切なのは”Confidence”(自分に自信を持つこと)だ、と言っていた。
ケイトが大きくなった時、彼女は自分の選ぶ道に自信を持って生きていける、それは間違いないと思う。
そして何よりも、はたから見ていてうらやましくなるほど、家族のきずなは深い。

そんな彼女も、この旅を最後にしばらく学校に通う定住生活をする。
数年後、彼女は今感じていることを、どういう形で表現していくのだろう。
是非、大きくなった彼女に会いに行きたい。絶対にまた会いたい家族が、またひとつ増えた。


タンデム自転車にトレーラー。今まで見た中で一番長い自転車だ。


See You Soon!


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