Jan,22,2011

パタゴニア地方の中でも最も楽しみにしていたCarretera Australという南北約1200kmの美しい地帯を走り始めた。ここは自転車旅の聖地といってもいいくらい世界中から自転車で旅する人々がやってくる。
北米のアラスカから南米最南端ウシュワイアを目指して走っている人、このカラテラ・アウストラルだけを走りに来る人、南米を縦断している人、期間は人それぞれだけれども、毎日これでもかというくらい自転車旅の人たちと出会う。

去年の夏走ったタジキスタンのパミール高原でも、驚くほど多くの自転車旅人に出会ったけれど、
それを遥かに上回るチャリダーの多さに驚く。
パミール高原もカラテラ・アウストラルもバックパッカーですら知らない人たちも多い場所だけれども、
自転車旅人密度は異様に高い。

走り出して1日目の終盤、小さな小さな村の交差点で雑貨屋さんでもないかと探していたら、あれよあれよと12人のチャリダーが集まってしまった。今日1日ですれ違った車が12台もあったかしらと思うほど、車通りすらほとんどない田舎道。ここでは私たち自転車乗りがマジョリティのよう。
アルゼンチンからこのカラテラ・アウストラルを目指してきた人も、チリ側から始めた人も、
今日が記念すべきカラテラ・アウストラル走行の一日目とあって、みんなテンションが高い。
小さな未舗装路の上で、新歓コンパ並みのテンションで自己紹介が始まっていく。


交差点に次々と到着するチャリダーたち。

雨が多いと聞いていたカラテラ・アウストラルの初日が、これでもかというほどスカッと晴れていて気持ちよかったのもみんなのテンションを異様な高さにしていた一因だと思う。
とにかく「ウッホホーウ!!」なオーラが、汗臭いチャリダーたちからぷんぷんと醸し出されていた。
この日は年代の近かった5人が自然に集まってブッシュキャンプ(野宿)。


陽気なオランダ人マーティン(左)とアリ(右)。アリは61歳、1976年から世界中の色々な所を走っているツワモノ。

これはなにもここパタゴニアだけの話ではないのだけど、
自転車で旅する人たちは何故か若者よりも30代以降が多い。
自転車旅というと体力勝負なイメージが強くて若い人が多いと思われがちだけど、
この2年間で出会ったチャリダーたちは私たちより年上が多かった。
この日出会ったチャリダー最年長はフランス人ジョンの62歳。その次はオランダ人の61歳、フランス人60歳、オランダ人47歳、オーストリア人37歳、ドイツ人と私たち33歳が3人、オーストリア人32歳、あとは聞き忘れたけど多分20代のチリ人青年たち3人。
ちなみに12人中女性は私33歳と32歳のヴァレスカの2人。


最年長62歳のフランス人ジョン(左)とアダム60歳。ツールドフランスの走者かってほど速い。エクアドルから南米最南端ウシュワイアへ向かう。

結局420km先のコジャイケという約5万人の大都市(!?)までの7日間、ほとんどみんな同じペースで進んでいて、この7日間に同じ方向へ進むチャリダーとさらに4人出会い、逆方向へ向かうチャリダーには10人近く出会った。チャリダーの多さ記録更新。
そして、いつも先頭は60代の元気なおじさんたち。
荷物の重さもほぼ一緒くらい重いのに、ものすごく速い。


自転車で世界一周中のオーストリア人夫婦フィリップとワレスカ。走り始めて既に4年。なんとウシュワイアの次は日本へ向かう。

別に1日中一緒に走っているわけではなくて、休憩とかのタイミングがそれぞれだから、
道中1日一回はどこかでみんなの姿を見かける。
遠く前の坂道を、一生懸命に上っている姿などを見かけると、
なんだか嬉しくなる。
きっとみんな今登ってる坂道はちょっぴり息が切れて辛いんだけど、
目の前に突如と現れるドドーンと豪快な氷河や、マリンブルーの川、道からぴょこっと姿を現す野兎、
ぱっと開けた先に見える雪山や険しい岩山にわくわくして、それぞれがみな「あー自転車旅っていいね!」とそれぞれの時間を楽しんでいるんだなぁと思うと一人ニマニマとしてしまう。
すれ違うとみんな最高の笑顔。
そりぁ、ストレスなんかないもんね。


リカンベントで走るドイツ人ハネス。ぜひともリカンベントを試してみたかったのだけど、193cmと長身で足の長さが違いすぎて届かず。

1日の最後は結局宿にしろ、キャンプサイトにしろ、ブッシュキャンプにしろ、毎日誰かと一緒だった。
モリモリとご飯を食べて、たき火をしながらおしゃべりし、疲れきってグーすか寝る。
7日間毎日一緒に寝泊まりしたオーストリア人カップルのフィリップとヴァレスカ、ドイツ人のハネスとは特に楽しい時間を過ごした。
なぜか一番時間にきっちりしてそうな日本人の私たちがいつだって朝はノロノロ最後の出発で、
一番協調性がなくて一番気が利かなかったのだけど、彼らがいろいろと合わせてくれたお陰で楽しいキャラバン生活だった。
これまた一番グウタラな私たちがコジャイケで一番長く休憩するために、このキャラバンはコジャイケにて解散になるわけだけれども、カラテラ・アウストラル後半もおそらく沢山のチャリダーたちに出会うのだと思う。それもまた楽しみ。


ドイツ人ハームット。自転車旅がこんなに面白いなんて、もっと早く気付けば良かった。
と言ってたけど、大丈夫、never too late!!


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