Jan,13,2011

5時間かけてCochamoの森を歩いていると、突然視界が開けた。
目指すキャンプサイト、La Juntaに到着したようだ。

キャンプが大好きな二人は、日本でも旅先でも、いろんな所でキャンプをして来た。
でもこのキャンプ場は格が違う。
こんな素敵なキャンプ場、見たことがない。

狭い谷間が少し開けた場所に牧草地が広がっていて、そこがキャンプサイトになっている。
そしてその牧草地は、氷河を抱いた素敵なシェイプの岩山にぐるりと360度囲まれている。
山々との距離がとても近いため、実際の高さ以上に高く聳え立っているように感じる。
岩山には雲がかかっていて、その雲は早い速度で動いていて、山々を見せたり隠したりしている。
仙人でも現れそうな、幻想的な風景だ。
キャンプサイトに立っているだけで、何か特別な空間に来たという気持ちに包まれる。

キャンパーの大半はクライマーだ。
ここは隠れたクライマーパラダイス。
なにせ360度岩山に囲まれているのだから、クライマーにはたまらない空間だ。
楽しそうに岩山を見上げながら、みんな次のチャレンジの計画を練っていた。
みんな大好きなことをしに来ているだけあって、体中から幸せオーラが出ていて、それがこちらにもビンビン伝わってきて、僕らまで幸せな気持ちになる。

そしてここはトレッキングパラダイスでもある。
キャンプ場を起点に、5~6時間のデイハイクルートが沢山あって、どれもこれも絶景が楽しめる最高のトレッキングルートになっている。
トレッキングにクライミングにノンビリに、もう居心地抜群だ。

キャンプ場で一息ついた後、川の対岸にある山小屋、Refugio Cochamoに行ってみる。
川を渡る手段は手作り&人力の滑車。なんかアスレチックみたいで楽しい。

そして山小屋は、これまたパーフェクトだった。
人生史上最強の山小屋といってもいいくらい、素敵な山小屋だ。
シンプルだけど清潔で、明るくて、開放的で、日本の山小屋みたいに粗野で下品な感じは全くない。
アメリカ人&アルゼンチン人の明るいクライマー夫婦が管理していて、
必要なものをシンプルに揃えているだけじゃなくて、
そこにちょっとした工夫を加えて、物凄くラクシュアリーな空間にしている。

早速ビールを頼んだら、僅かな水力発電を利用してグラスをキンキンに冷やして出してくれた。
この心遣いがたまらなく嬉しい。
手作り感満載のウッドデッキに座って、ため息が出るような絶景を見ながら、ビールを飲む。
この小屋を作った人が、そしてこの小屋を守っている人たちが、心からここの自然を愛し、リスペクトしているのだという事が良く分かる、そんな空間だった。
普段は宿の管理人になるなんて全く興味を示さない二人だけど、
この山小屋を管理する仕事だったらどれだけ幸せだろうとか、日本の山小屋だってこんな風な素敵な空間に出来るはずじゃないかと、夢中で話しあってしまったほどだ。

2011年の始まりは、この素敵な山小屋で過ごした。
年越しパーティーは、手作り感満載だった。
羊の丸焼きBBQに、手作りパン、シンプルだけど手の込んだサラダ。
少ない食材で、精一杯のおもてなししてくれた。
そしてカウントダウンの時には、とっておきのシャンパンがふるまわれた。

心地よい気分で山小屋からキャンプ場に戻って空を見上げる。
真夏の夜空に、日本で見るのとは逆さまのオリオンが見える。
そして、雲ひとつない満天の星空に、たくさんの流れ星が降り注いでいた。
これは今年もいい年になりそうだ!


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