Sep,04,2010

重い腰をあげてホーログを出発しなくてはならない日がやってきた。
次の目的地、首都ドゥシャンベまでは約500km。
途中には標高差2000mの峠もあるし、
その道を越えて来たチャリダーは口をそろえて酷い道だったというし、
ドゥシャンベに着いても特にご褒美はないし(美味しいレストランでもあればやる気が出るのに)、
何よりパミールで完全に燃え尽きてしまったのか、とにかく全然やる気にならない。
ここは飛行機かジープに乗せてしまおうかと、一人でひそかに企んでいたのだけど、
やっぱり行けるところまで頑張ろうと無理やりテンションをあげて、とぼとぼ自転車を漕ぎだした。

ドゥシャンベまでの8日間、相変わらず素晴らしいタジク人ホスピタリティーに毎日感激したり、
大地くんとの1年ぶりの再会を楽しんだり、素敵な景色に出会ったりと、楽しいことも沢山あったけど、
結局、最後の最後までテンションを上げきることはできなかった。
その最大の理由は、予想をはるかに超えるひどい悪路のせいだ。


これは充分まともな道路。悪路で写真を取る余裕なんてありません。

国道M41は、首都ドゥシャンベと隣国キルギス・中国とを結ぶ、タジキスタンの主要幹線道路の一つ。
それなのに舗装されていないどころか、道はボコボコ、岩はゴロゴロ、時には川が氾濫していたり、砂が積もっていて自転車を押して通ったりと、もう散々だ。
心配していた標高差2000mの峠の登りは、予め峠があると知っていて覚悟して登ったのでそんなに大変じゃなかった。
最悪だったのは、その後だ。
とにかく物凄く酷い悪路な上に、細かいアップダウンのオンパレード。
自分はカーブを曲がりながら下っているのに、すぐ先には埃をまき散らしながら上り坂を上がっているトラックが見えて、さらにその先には再び下り坂が見えて・・・という光景が丸2,3日続いた。
どうなっているんだ、タジキスタンの国交省!


すぐ目の前の道が崩れてなくなっている。

首都まであと100kmくらいになって、ようやく舗装路が始まった。
舗装路になった途端に、まるで全然違う乗り物で移動しているかのような快適さ。
さあこれからブイブイ飛ばそうと思ったのに、自転車から何やらおかしな音がする。
あれ?と思って自転車をチェックしたら、なんとフロントフォークのダボ穴(ネジ穴)の根元が、金属疲労でぽっきり折れていた。
自転車の一部が折れるなんて、この2年間で初めてだ。
どんだけ道悪いねん。


フランス人サイクリストとコーヒーブレイク。自転車にデミタスカップを持参しているのが、さすがフランス人!

首都に近づけば近づくほど道はどんどん綺麗になっていく。
ちなみにタジキスタンの道路工事は、ほぼ全部中国の会社がやっている。
世界中に道路を作りまくっている中国だけど、どこの国でも、重機も中国製、従業員も中国人と、とにかく中国だけで完結していて、まるで地元経済に全く貢献していない。
利益を独り占めしていると、どこの国に行っても批判される原因になっているのだけど、実際、中国人はどこの国でも真面目に働いているし、中国製の舗装道路の出来映えが素晴らしいのも事実だ。
こういう問題は、色々難しい。
でも、既に立派な舗装路があるのに、さらにそれをはがして丁寧に修復工事しているのを見た時は、
思わず怒鳴りつけてやろうかと思った。
そこを直すより先に、あの未舗装路を何とかしなさい!


もう勘弁してくれ~

今まで22か国を走って来たけど、主要国道すら舗装されていない国なんてなかった。
国土の9割が山岳地帯の国だけに、道路のメンテナンスがとても大変なのは分かる。
実際に僕らがパミールにいた間でも、今日はここで土砂崩れ、昨日はあそこで崖崩れ、あの道は川が氾濫していて通行止め、と毎日のように道路の状態は変化していた。
でもせめて主要国道ぐらいなんとかしないと、物流が滞ってしょうがないと思うのだけど。

声を大にして宣言しよう。
君たちの国の道路は世界最低レベルだぞ、タジキスタン。


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