Aug,23,2010

自転車で旅をしていて良かったと思うことは多々あったけど、
今回のワハン渓谷、パミール高原の走行は、この約2年の自転車旅の中でも
最も自転車で旅をしていて良かったと感じたエリアかもしれない。

ワハン渓谷からパミール高原に上がっていく峠道の、
石がごろごろしていたり、タイヤが取られてなかなか進めない砂道の悪路を走っているときに、
一台のツーリストのジープが通った。
中から白人の旅行者が笑顔で手を振っていて、
車はあっという間に通り過ぎた。
手を振り返して、再び悪路に集中した。

ふっと気付いたら、汗と一緒に涙が肌をつたってくる。
目の前の美しい景色に涙しているというわけでも、
車の中から手を振ってくれた旅人の声援に感動したわけでも、
悪路でうまく前に進めないもどかしさで涙が出るわけでもなくて、
なんでこんなに涙が出てくるのか自分でも一瞬よく分からなかった。


どこの子供も連れて帰りたいくらい可愛い。

ワハン渓谷を走り続けて5日目。
毎日が感動でいっぱいだった。
ゴージャスというよりは、のどかな、平和を絵に描いたような美しい谷を走り、
心温まるワハンの人々のホスピタリティーに触れる日々だった。
誰もが温かい笑顔と挨拶で迎えてくれて、
チャイを飲んでいきなさいと呼んでくれ、毎晩どこかの家族にお世話になった。

車の中から一生懸命に手を振ってくれたツーリストが、
どのようにこのワハンを走り抜けてきたのかは知らないけれど、
自転車旅にはお金では買えない何かがあって、
このワハンは自転車旅だったからこそ、ここまで充実した濃い毎日が送れたのだなぁと、
その感動が突然堰を切ったようにやってきて、
涙が止まらなくなった。


素敵な景色が見える、平らな庭付きの家を見つけたので、ここでテント張らせてくださいとお願いする。もちろん即OKの返事。>

まだこれからパミール高原を4,5日走るのに、
全て走り切った後かのようになんだか満足していた。

タジキスタンのワハン渓谷、パミール高原、
数多くのサイクリストが、夢にまで見る土地。
大袈裟でも何でもなくて、
自転車旅を最高に楽しめる場所だと思う。
ここを走ることができて本当に幸せだった。


だーれもいない峠の途中でテントを張っていたら虹が現れた。虹が地上から出ているのを初めて見た。

しつこいようだけど、自転車旅サイコウです。


まるでフォトショップで操作して青くしたような空。これは本物の青さです。


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