Jul,06,2010

これでもかというほど、大草原が続く。
地図に載っている村以外に集落はまったくないし、
たまに遊牧民のユルト(テント)がポツンとある程度。
人の手が入っていないというか人が手をつけていない、広大な土地がひたすら続く。
約1年半いろいろな所を走ってきたけど、
ここは中東とも、アフリカとも中米ともまた違う、今まで見たことのなかったような景色が広がる。
世界は広いね、本当に。

長い冬を越えて、短い夏を迎えようとしている山々と大草原は眩しいくらいに青々としている。
中米では、人々の造り出したカラフルな色彩に感動したけれども、
やっぱり自然の色には敵わないのだなぁと実感する。


緑のグラデーションが眩しい!

青い空、瑞々しい新緑、カラフルな野花、空気さえもがキラキラしている。
「いやー、いいね、カザフスタン。4日で駆け抜けちゃうのはもったいないね。でもキルギスタンの方が大草原や山々の美しさが有名だから、きっとこれからもっと凄い景色に出会えるのかもね。」
テンション上がりまくりでキルギスタンの国境へ向かった。

国境から40KMくらい手前にある峠を越えたら、
目の前にどどーんと雪をのっけた山脈が現れた。
美しい山脈、手前には野花が咲き乱れる美しい草原が広がっている。
あの山の向こうがキルギスタンだ。
一生懸命に登った峠の先が天国のような景色。
これだから自転車旅はやめられない。


雲のように見えるけど雪山が壁のように連なる。

国境への最後の15KMは砂利道で面倒だったけど、
そんなことよりキルギスタンに対する期待のほうが大きくて、あっという間に国境に着いた。
国境は砂利道の先にポツンと小さな一軒家が2,3軒建ってるだけだった。
そういえば車もほとんど通らなかったし、人も見かけない、どんだけマイナーな国境なんだろう。


これもぜんぶ野花。

小屋から軍服のおじさんたちが出てきて、
残念そうな顔して「国境は閉まってるよ。」らしきことを言ってきた。
ジェスチャーで、キルギスは戦争をしている、と言う。
政変があったのは知っているけど、最後に6月11日にウルムチでニュースを調べたときはだいぶ沈静化しているようだし大丈夫だろうと確認してから向かってきた。
詳細はロシア語が理解できないので分からないけど、
とにかくキルギスとの国境が閉まっているということだけは理解できた。
峠を越えて、砂利道を走り辿り着いた国境がまさか閉まっているなんて、
考えてもみなかった私たちはただ呆然としながら来た道をとぼとぼと走りだした。


寒い雨の中砂利道をとぼとぼと戻る。

3日後、カザフスタンの旧首都アルマトゥに辿り着いた私たちはニュースを知って驚いた。
6月12日にキルギスタン南部で民族浄化があったこと、死者数が1000人とも2000人とも言われていること。カザフスタンに入国してからインターネットでニュースを見る機会もなかったし、ロシア語は分からないからテレビのニュース等も理解できなかったということもあって、何にも知らずにキルギスタンに入国するところだった。
国境が閉まっていたのはラッキーだったのかもしれない。

そんなわけで急遽ルートの変更を余議なくされた私たちは、物価が日本並みに高い大都市アルマトゥで
ひっそりとウズベキスタンビザ待ち中。
やっと自転車旅が始まったと思ったのに、ビザ待ちで1週間も休憩をするはめに。
なかなか思い通りにいかない、中央アジアの旅が始まったという感じです。


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