いやあ、食べるものがない。
毎日100km近く自転車を漕いでいるというのに、僕らが食べているのはパンばかり。
別にお金をケチっている訳ではない。むしろ僕らは食べ物には全然ケチらない方だと思っている。
ケチっているのではなくて、パン以外にオプションがないのだ。
恐るべし、キューバ。
社会主義国家キューバには、どうやら外食という文化はないようだ。
一応レストランもあるのだけど、外国人しか相手にしていない所ばかりで、入る気にならない。
ストリートフードを探して街を散々歩きまわっても、あるのはパン屋とピザ屋とケーキ屋だけ。
ピザといってもチーズしか乗っていないから、結局パンを食べているのとあまり変わらない。
ケーキはかなりドギツイ色をしていて、さすがに食べる気にならない。
だから僕らが食べているものは、結局いつもパンばかり。
朝はパン、昼もパン、自転車を漕いでいてもパン、街で休憩していてもパン。
田舎の村ではそのパンすらなく、食べるものが何も手に入らないことだって多い。
こんなに力が出ない自転車旅も初めてだ。
キューバのピザにトッピングを期待してはいけない。普通に美味しいのだけど毎日食べるのはきつい。
夕食になるとオプションが一つ増える。
キューバでは、ホテルではなくて政府公認の民宿に泊まることが多いのだけど、
その民宿で夕食をオーダーすることができるようになる。
ちゃんとサラダから始まって(ああ野菜だ!)、食べきれないくらいの美味しい料理が出てくる。
でも何か違う。
国の相場からすると民宿の夕食代がやけに高いからか?
パン1個1円、ピザ1枚20円のこの国で、民宿の夕食は一人800円もする。
いや、社会主義国家なんだし、この程度の外国人料金は覚悟していた。
それに、しつこいけれど食べ物にケチる方ではない。
でも何かが違う。
地元の人と同じ空間で同じものを食べるのが、僕らの好きな旅行のスタイルなのに。
そうだ、民宿で二人っきりで夕食を食べているのは、僕のイメージしているキューバ旅行じゃない。
民宿の夕食は別世界に来たかのように豪勢。さすがにこんなに食べられません!
じゃあ地元の人と同じものを食べにいこう!と街に繰り出してみても、
結局パンとピザしか発見できず、ビールとピザを買って、悶々としながら宿に帰ってくる羽目になる。
もう街で食べ物を探すのが苦痛だ。
これが社会主義国家キューバの現実なのか。
そういえば、街のマーケットに並んでいる食材は、種類も量も、超がつくほど少ない。
いったいキューバ人は、何を食べているのだろう?