Aug,24,2009

事件の翌日、二人はストレス発散のために南アフリカ資本の大型スーパーに行って、買い物をしまくった。ダルエスサラーム以来の大型スーパーに二人とも興奮した。
スーパーにいる間は怖かった事件のことを少し忘れることができた。
チーズにヨーグルト、スナック菓子、ジュースに豚の切り身まで次々と買い物カゴに放り込む。
そして夕食は肉じゃが、豚の生姜焼き、味噌汁にお米。
宿にキッチンがあって素敵な食器をお借りできたこともあって、久しぶりに日本の日常生活みたいな夕食を楽しんでいた。
そんな日常生活のような生活をすることが、今一番私たちを落ち着かせてくれる気がした。
と、そのとき
アーニャが部屋のドアをドンドンと叩いたかと思ったら、勢いよくドアを開けて入ってきた。

電話を片手にあまりにも興奮しているアーニャに二人とも一瞬きょとんとしてしまった。

「警察から電話よ!!何かが見つかったらしいわ。」
モザンビーク警察からだった。
ポルトガル語がよく理解はできなかったのだけど、何かが見つかったから60km離れた街の警察署の来いということだった。
強盗に遭った当日、一応チモイオの警察には行った。
ポリスレポートがなければトラベラーズチェックの再発行も出来ないからだ。
むろん、盗まれたものをポリスレポートに書いてもらったところで、前回の盗難事件で旅行保険は使い果たしてしまったから保険でカバーされるわけでもなく、ただトラベラーズチェック再発行のためだけに警察へ行ったようなものだった。
海外で失ったものが返ってくると期待したことはないし、この強盗事件に関して警察が何かアクションを起こしてくれるとは全く考えていなかった。

一体全体どんなことになってるんだろう。
いくらなんでも事件の翌日だなんて早すぎる。
もしかして犯人がたまたま何か別件で捕まって、私達のものが見つかったのかもしれない。
「こいつらがおまえたちを襲った犯人か?」とか確認させられるんだろうか?
モザンビーク警察は何かと外国人に賄賂ばかり要求して腐ってるとの噂だし、何かよからぬことに巻き込まれたりはしないだろうか?
不安いっぱいで警察署へ向かった。

警察署に入るなり、「あの車を見たことはあるか?」と、警察署にある車を指差して問われた。
その車はグレーのトヨタのセダンだった。
その車かどうかの確信はなかったけど、私達が強盗に遭った現場から1kmくらい先の橋のたもとにグレーのセダンが停まっていたのは覚えていた。助かって、ミニバスに乗せてもらって放心状態のときに、バスに乗っていた乗客が「あの車怪しくないか?」ってグレーのセダンを指差していたのをうっすらと覚えていた。

それから調書をとられはじめた。
運転免許の更新以外で警察署に入るのすら初めてだったし、目の前でタイプライターをカチャカチャと打たれながら調書を取られるなんてドラマの中の出来事のようだった。
調書を取るのに5時間もかかった。
色々思い出すのは怖かったし、ものすごく疲れたけど、
腐っていると聞いていたモザンビーク警官たちはとても紳士で、始終私たちに気を使ってくれた。

そして、犯人3人組のうち2人が捕まって、一番高価だった一眼デジタルカメラとひろの自転車バッグが丸々見つかったことが分かった。
まだカメラ3台やGPS,現金、TCなどは行方不明だけど、それでも半分以上の物が無事に返ってくるなんて奇跡だ。
事件を警察に報告したのは金曜日の夕方だったこともあって、警察がアクションを起こすことなんてないと決め付けていた。それなのにちゃんと事件現場周辺を捜索して目撃者を探して、犯人の車を特定して、検問で車をみつけたことも分かった。
すごいよ、モザンビーク警察!

強盗に遭ったのは本当に残念だったけど、
沢山のモザンビーク人に助けてもらったし、警察の対応も素晴らしかったし、
モザンビーク人の印象は変わらずいい。

もっとモザンビークの村々を走ってみたかったけど、
さすがに今は自転車に乗るのがちょっぴり怖い。
ちょっと離れた大型スーパーへ自転車で行くだけでも、人が近寄ってきたり、人相が悪い人がいると心臓がドキドキする。
しばらくはバックパックで旅をして、自転車に乗りたくて乗りたくてたまらなくなる日を待とうと思う。
早くその日が来ますように。


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