May,11,2009

帰国して翌日、熱が出た。
タンザニアから風邪ぎみだったし、一泊したタイの空港はクーラーがガンガンに効いていて
寝袋を取り出さなくちゃならなかったくらい寒かったから、
とうとう熱が出た!くらいに思ってた。
が、
昼ごろには、あれよあれよと38度5分になってしまって、
これはもしやのまさかマラリア?と心配になり、手持ちのマラリアテストキットでチェック。
結果は陰性。
「やっぱり風邪だね、きっと」と風邪薬を飲んで大人しく寝ていることにした。
薬を飲んだのに、熱はグングンと39度後半にまであがってしまったので、
これはちゃんとした医療機関でマラリアかどうかの確認をしてもらったほうがいいと、
急患で診てもらうことにした。
アフリカのマラリアはマラリアの中でも最も症状が強い熱帯マラリアがほとんどで、治療が遅れると重病、死へもつながる病気。1日遅れただけでも命取りになる可能性だってある。
もちろん日本はマラリア危険地帯ではないけど、私たちの体に潜伏している可能性は多いにあるから油断はできない。

急患なんて初めてかかる。
タクシーで病院につくと、
豚インフルエンザがなんちゃらかんちゃらと大きく書かれた張り紙が目に入ってきたと思ったら、警備員の人が飛んでタクシーの側にやってきた。
「あの、豚インフルエンザの疑いの方ですかね?」
「いいえ、電話でマラリアの検査をお願いしているのですが。」
「いやー、豚インフルエンザだとこの入口からはちょっと・・・・」
「いや、だからマラリアです。」
という押し問答をクリアし、入口で受付からの電話での質問の数々をクリアして、やっと病院内に入った。

診察室へ案内され、先生に「マラリアも心配だけどインフルエンザもチェックしましょう。」
「インフルエンザはここの病院ではA型かB型かどちらでもないかを簡易的にチェックするのみで、もしA型であれば豚インフルエンザの可能性があるということになりますから、その場合は国立感染症研究所での詳しい検査になると思います。」
とさらっと言われた。
入口にあった大きな張り紙には、「喉の痛み、咳、痰、頭痛、発熱があったらインフルエンザを疑いましょう」と書いてあって、「痰以外全部当てはまるわ」と、少し心配だったからチェックして欲しかったような、でもそれで噂の豚インフルエンザだったらどうなるんだ?という不安も大きかった。
「検査結果は1時間くらいかかりますが、基本的にはこの診察室で待っていてください。」と言われ、軽く監禁された。ひろは本を読みながらイスにかけ、私は診察台の上で寝て待った。
「いやー、これでA型インフルエンザが陽性に出たら、私は隔離されるのかなぁ。もう体張ってネタづくりだね、これは。」なんて笑いながら眠りに落ちた。
豚インフルエンザなんかじゃない、
だってタンザニアから風邪気味だったもん。どこかにそういう自信があった。

30分位して、ドアがガラッと開いた。
先生が、これからダイビングですか?というような大きいゴーグルと特殊マスクのようなものを装着し、白衣の上にさらに手術のときに着るような青い使い捨ての割烹着のようなものを羽織って現れた。
この瞬間に私がA型インフルエンザにかかっていることが理解できた。
事態は思っていたより大変な方向に進むのか?

先生が申し訳なさそうに、
「A型インフルエンザが陽性と出ましてね、ただ今の時点では必ずしも新型の豚インフルエンザというわけではないんですよ。旧型の可能性だってありますし。都に問い合わせたところ、アメリカ、カナダ、メキシコからの渡航者がA型インフルエンザの場合、感染症研究所で更に詳しく検査するとのことなのですが、ようこさんの場合対象国ではないので自宅待機ということになります。
出来るだけ家を出ずに、従来のインフルエンザと同じように処方された薬を飲んで、よく休んでください。」
「いやー、でも飛行機の中でどなたか感染していたんですかね、ユナイテッド航空ですしね。もしくは飛行場で感染されたのかもしれませんしねぇ、いやはや、、、、、。」
となんだか私はもう豚インフルエンザと決めつけられたような口調にも聞こえ、それなのに解熱剤飲んで寝ろとけだけとは何処か無責任にも聞こえ若干不服だったけど、
これ以上どうこう出来るわけでもなさそうだし、先生も何と言っていいものか言葉を選びながら同じ様なことを何度も繰り返し言っているところを見ると動揺しているようで、
なんだか可哀相な気がしてきた。

「とにかく豚インフルエンザでもほとんどの方は回復されています。一部亡くなられた方々は元々持病を持っていたり、栄養が足りなかったりということがほとんどですから、
すぐ死につながるわけではありません。」
という励まされているんだか、脅されているんだか、分からないような言葉をかけてもらい帰宅。マラリアではなかったのは、ひとまず安心だし、これはとにかく栄養を取って寝るしかない。

それからまる2日、熱は38.5から9.5の間を行ったりきたりするばかり。
解熱剤を飲んでも、汗を大量にかいても、全然下がらない。
これはやっぱり新型の豚インフルエンザではないんだろうか。
と、さすがに心配にもなったけど、
4日目には36度台まで下がり、ああよかった。
せっかく日本に帰ってきたのに、たったの2週間だけしかないのに、
まるまる5日一歩も出れず。
何してるんだ、わたし。
でも、やっぱり熱を出すなら日本が一番。
ベッドは硬くていいし、ポカリもあるし、ウドンだって雑炊だってある。
うん、それだけで幸せ。


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