僕にとって8年ぶりのエジプト。
前回のエジプトの印象は、”エジプト人うっとおしい”の一言に尽きる。
何でもぼったくるし、蹴りたいくらいにしつこいし、
“プスプスプス”って動物みたいに人を呼ぶし、二言目には”バクシーシくれ”だし、
とにかくうっとおしい人たち、それがエジプト人。
そういう強烈な印象が残っていた。
ところが、ダハブの人たちはとても穏やかで、
それなりに値段をごまかそうとはするけど(それはどの国でも同じなので許容範囲)、
全然しつこくないし、一生懸命働くし、陽気でフレンドリーだし、とっても好印象だった。
いや待て、ダハブの人たちはべトウィンで、生粋のエジプト人じゃない。
べトウィンは優しくていい人なんだよ。エジプト人はうざいぞお。
現にカイロから来た旅人は、口をそろえて、
“カイロはウザイ。ダハブに来てホッとする”と言うじゃないか。
シナイ半島を走っている時も、みんな素敵な人たちばかりだった。
テントも快く張らせてくれるし、適当に放ってくれるのでとても気が楽だし、
何よりバクシーシなんて言葉は全く出てこない。
いや待て、シナイ半島だってべトウィンの土地。この人たちも生粋のエジプト人じゃない。
勝負はエジプト本土に入ってからだぞ。
そうやって自分を戒めながら、自転車を走らせること5日、
スエズ運河の下を通るトンネルをくぐれば、ついに敵地エジプト本土に上陸。
スエズの街に到着し、一息ついてから街に繰り出すと、
案の定、べトウィンとは明らかに違う顔つきの生粋エジプシャンから、次々に声をかけられる。
コロニアル風のこぎれいな港町、スエズ
“China??”
お、早速絡んできたな、なんて思いつつ、とりあえず笑顔で返す。
“No, I’m Japanese”
すると、口々に”I like Japan.”とか、”Oh!Welcome”なんて言いながら笑顔で去っていく。
あれ?
子供たちがやってきた。
“What’s your name?”
来たな、バクシーシちょうだい攻撃か?なんて思いつつ、まずは笑顔で返す
“Yoko & Hiro!”
すると、キャー英語が通じたわ、みたいな感じではしゃぎながら笑顔で去っていった。
あれれ?
落ち着いて街を見てみると、スエズの人々はみんなとっても温和な笑顔。
ためしに”ハロー”と手を振ってみると、老いも若きもにっこり笑って手を振り返してくれる。
屋台でもレストランでもボッタくる気配は全くない。
どう見ても、どう考えても、生粋のエジプト人なのに、みんな素敵な人たちばかり。
なんだ、うっとおしいのは、ごくごく一部の観光客相手の輩だけで、
エジプト人だって素敵な人たちじゃん!
木漏れ日が埃っぽい街に優しいアクセントを与えてくれる
すっかり気をよくして歩き回るスエズの街は、
木漏れ日の感じやワサワサした空気が、ネパールの街を思い起こさせる素敵な雰囲気だし、
イカやら魚やらのシーフードも美味しいし、
コロニアル風の建物も乙な感じだしと、
観光スポット的な見所は全くないけど、すっかりお気に入りの街になりました。
おじさんはカフェでノンビリ日向ぼっこ。
小学校の椅子と机みたいな小ささ。みんなちょこんと座って水タバコを一服。
カイロに入る前に、8年越しの誤解が解けて良かった!
さあ、これでカイロに入る心の準備は出来た。後はカイロまで一路平安!