Dec,03,2008

パルミラ遺跡は期待もしていなかったけど、
やっぱり期待以上でもなかった。
でも3日ぶりに部屋で二人きりでゆっくりできるってのはいいもの。
ベドウィンの歓待はすごく嬉しくて心が温かくなるけれど、
言葉が通じない分必要以上にニコニコしなきゃだし、一生懸命会話をしなくちゃだから
自転車を漕いだ疲労をかかえた私たちには毎日連ちゃんだとちょっぴり大変。

それにしてもパルミラは観光地。物は高いし、人々は若干ウザイ。
パルミラの人が特にウザイわけではないのだけど、3日間信じられないくらい親切で
優しいかわいい人たちとばかり触れ合っていたから余計にそう思うのかもしれない。
どこの国も観光地は仕方ないのだろう。
彼らも私たちからお金を取ってこそ商売が成り立つのだから。

パルミラの遺跡自体は遺跡マニアでもない私には「ふーん」、って感じではあったのだけど、
シリア砂漠のオアシス都市パルミラのロケーションは本当に素晴らしい。
丘の上から眺めると、広大な砂漠に忽然と現れるこのオアシスの存在には感動せずにはいられ
ない。シリア砂漠を旅してきたキャラバンにとって、ここは本当に身も心も休まるオアシス
だったんだろうな。丘の上から地平線から登ってくる朝日や沈む夕日を眺めながら太古の
キャラバンに想いをはせるのも悪くはなかったけど、1日で充分かな。


砂漠を走っていると緑を見るだけで心が癒される。オアシスは偉大。

また果てしない砂漠を走るのかと思うとちょっぴりめげそうだったけど、
美味しいものがあるはずのダマスカスに期待して出発。
ダマスへの道は今まで以上に何もない砂漠。ベドウィンすら居ない。
時おりあるのは軍事施設くらいで、レーダーらしきものがウィーンウィーンと妙な音を発し
ながら回っているのが物物しい。それでもそこはシリア、軍人さんもフレンドリー。
道を聞いたら「Welcome to Syria!」って満面の笑みでポケットの中からビスケットを一袋
くれた。
そしてここで干乾びて干物になっちゃっても誰も気づいてくれないぞと本気で
思わされる砂漠をひたすら漕ぎ続ける。たまーに車が通ると「私たちをダマスカスまで乗っ
けて行ってくれー」と本気で叫びそうになった。
車で行っちゃえばあと2時間もすれば大都会。
1,2時間車で走っただけで人っ子一人居ない砂漠に来れてしまうのかと思うと凄いな、
なんて思考回路も怪しげになりながらも今日の宿泊地の心配を始める時間がやってきた。


一瞬で水が蒸発してしまいそうな土地。肌からも水分が飛んでいってしまう感覚があった。

小さな施設のようなものを発見。農業用トラクターが数台止まっていて小さな菜園もあるから
きっと農協のようなものなんだろう。シリア人は断らないはず、とかなり図太くなってきた
私たちは今日はもう泊まれると安心。今日は大人しく寝たいからなんとしてでもテントを張ら
せてもらおうと決め込んで農協のドアを叩いた。
出てきたお兄さんに挨拶をして例の紙を見せると、
お兄さんは迷うことなく「いいよいいよ」と即答。そしてやっぱり、
「テントじゃなくて家の中で寝たらいいよ」とのオファー。
それを丁重に断ってテントを張ろうとしていたら、家の中からおじさん2人の応援隊を引き連
れて登場。「テントはダメダメ、夜は寒いんだよ」と大きな男たち3人が体をぶるぶる震わせ
て寒いそぶりをする。
なんでこの人たちはこんなに親切なんだろう。
今日もやっぱり彼らの言うとおりにお家の中に寝かせてもらうことになった。
家に入るなり、まあまあご飯をと勧められ、ストーブを焚いてもらい、
砂漠の真ん中で衛星テレビでボリウッドムービーや韓国ドラマを見ながらコーヒーを頂き、
超リラックス。
まさにこれが砂漠の中のオアシス。


砂漠の中の農業地帯の水やり等の管理をしているおじさんたち。これは2度目の晩御飯

いったいこの国の人たちはどうやってこんなに優しい人に育てられたんだろう。
今日もまたシリア人に感動。そして今日もまたテントも寝袋も食料も出番はなかった。
このいただいた沢山の優しさを私はどうやって世の中に返せるだろう。
これからの大きな課題かもしれないな。


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