ガジィアンテップでグルメ三昧した後、重いお腹と腰を上げて、一路シリアに向かいました。
シリアとの国境の街に着いて安宿にチェックインしたまでは良かったものの、
ここでようこが熱を出してよもやのダウン。
単なる食べすぎじゃない?なんて軽く見ていたら、
翌日になると僕まで熱が出てきて二人でダウン。しかも僕の場合はお腹まで壊すオマケつき。
約1ヵ月半のトルコ旅行の間ずっと健康だったのに、
まさか国境まで数キロのところでこんな状態になるなんて。
ガジィアンテップでアホみたいに食べ続けた自分たちを呪いながら、
やむを得ず、さびれた薄暗い安宿に連泊する羽目になってしまいました。
翌日、二人とも熱は下がったものの、依然体調はどんよりとしたまま。
それでも、こんな薄暗い宿に居たら治るものも治らないと、気合のシリア入国を決行。
国境を無事に越えた後、アレッポという街まで約60kmの道のりを、
途中でモスクを見つける度にトイレに駆け込みながら、何とか走り切ることができました。
そんなこんなで、シリアに入国したにもかかわらず、現地の食べ物に挑戦することが出来ず、
暫くは水とヨーグルトのリハビリ生活。
もっとも、この程度の体調不良であれば、海外旅行中は珍しい話ではなくて、
バックパック旅なら普通に移動を続け、現地料理にも果敢に挑戦しているところだけど、
そこは体が資本の自転車旅行。
ちゃんと食べれるようにならないと走ることは出来ないし、
お腹を壊した状態で自転車に乗るのは、もうごめん。
さらに一度走り出してしまうと、その日が宿泊かテント泊かすら未知数になってしまうので、
ある程度計算できる体調でないと走り出すのはやっぱり危険。
ここは焦らず急がず、じっくりと体力の回復を待つことにしました。
黒いチャドルに身を包んだ女性を見ると、アラブの国に来たなあと感じる。
さて、シリアといえば人が良いことで有名。
シリアからトルコに北上してくる旅人は、口をそろえて「シリアは人が良かった」といい、
中には「シリアから入るとトルコ人にがっかりする」と嘆く人までいる。
トルコ人のホスピタリティに感激しっぱなしの僕らは、
どうやればトルコ人より人が良くなるのか想像できず、シリア入国をとても楽しみにしていた。
しかもシリアはトルコよりも全然物価が安いと聞くし、これはトルコ以上の旅行天国か?
ところが、である。
シリアの最初の印象は、あれ?、あれ?という感じだった。
お腹の回復を待ち、満を持して入った現地の食堂は、
味の面でも種類の豊富さの面でも、どう贔屓目に考えてもトルコのロカンタの圧勝。
しかも値段だってそんなに安い感じはしない。
シャイ(紅茶の事をチャイではなくシャイという)屋に至ってはトルコの田舎の方が安い。
これは、僕らが物価に慣れてないことを見抜かれ、ぼったくられているのか?
おいおい、シリア人は人が良いんじゃなかったのか?
アラビア語は右から左に読む。果たして何が書いてあるのやら。
さらに僕らを困らせるのがアラビア語。
クネクネウニョウニョしていて、看板やメニューを見ても何が書いてあるのか全く分からない。
まだ数字も覚えていないし、挨拶もろくに出来ない状態なので、水一つ買うのすら一苦労。
まだ相場を知らない上に、トルコより圧倒的に安いと聞かされてきて、
しかも僕は、アラブ人は何千年も交易で生活してきた百戦錬磨だから値段交渉ではかなわない、
なんて先入観を持っているものだから、
何だかボッタくられている感覚が常に拭い去れず、買い物の度についつい身構えてしまう。
そんなどんよりとした気持ちで、どんよりとした体調で始まったシリアの旅。
これではいかん!
体調を回復させて、物価の感覚を身につけて、まっさらな気持ちでシリアを楽しまなくては。
体調が悪いと、どうしてもその国を楽しもうとする心の余裕までなくなってしまう。
やっぱり健康第一だなあ。