意外と冷静にいられる自分が不思議だった。
犯人は3人組の男で、そのうち2人が拳銃を持っていた。
奴らが僕らの自転車を道路脇の茂みに引きずりこんで物色をし始めたときも、拳銃をカチャリとされてお前らも草むらに行けと連行された時も、草むらの中でヘルメットを無理矢理引きちぎられた時も、僕らの目の前で荷物をばら撒かれて漁られていた時も、まるで映画でも見ているような気持ちだった。
そんな風に引っ張ったらバッグが壊れちゃうだろうとか、あの拳銃は果たして本物かなあとか、なんだか手際が悪い強盗たちだなあ、なんてどうでもいいことを考えていた。
実際、強盗たちは物凄く慌てふためいていたので、それが逆に僕らを冷静にさせてくれたのかもしれない。
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