
イスファハーンの夜は毎日忙しい。
特にラマダン(断食の月)だったこともあって、昼の街は静まりかえっているのに、
どこに隠れていたのか、夜には人々がわらわらと外に出てきて、
昼時は閉まっていたレストランやスナック屋、アイス屋やジューススタンドも次々と開店して、
街はすっかりと賑やかになる。
夕暮れどきになるとイマーム広場も沢山の人々が集まってくる。
日没時のアザーンが街に鳴り響き、
私たちツーリストが、美しいイマーム広場がいっそう美しくなる瞬間を楽しんでいる頃、
イラン人たちは芝生にシートを敷いて、鍋やかん、ガスコンロに毛布やまくら、
何やら色々詰めたバスケットを次から次へとそのシートへ運んでいく。
まるで日本のお花見時期の場所取りのようにシートが色々なところに敷かれていて、
お父さんがポツンと座って待っていたりする。
アザーンが終わったころには、シートのうえにはすっかり食卓が用意されていて、
断食をしていた人も、こっそり家で食べていた人も、食べられることに感謝して
ディナーを始める。
夜のピクニックの始まりだ。
夜になるとイラン人はいっそうフレンドリーに、陽気になる、気がする。
この国に入国したときは既にラマダンが始まっていたから、
ラマダン時期以外のイラン人を知らないけれども、
夜になると確実に人々の表情が柔らかくなり、ニコニコと話しかけてくることが多い。
やはり昼は辛いのだろうか。
特に今年のラマダンは8月10日から9月9日とまだまだ暑い時期なので、より大変なのだと思う。

夕方のアザーンが鳴り響いたなぁと思ったら、みんなが嬉しそうに飲み食いを始めた。
私たちも毎晩イマーム広場で夜ピクニックを楽しんだ。
何より楽しいのがイラン人たちとの触れ合い。
夜ピクニックをしている外国人をイラン人は見逃さない。
みんな興味深々に話しかけてくる。
ポット持参のおじちゃんたちがチャイやお菓子をご馳走してくれたり、
大学生たちと政治のことや彼女のことについて話したり、
大家族の美味しいピクニック晩御飯に招待されたり。
ピクニックは真夜中まで延々と続く。
赤ちゃんがいようと、ちびっこがいようと、
夜中の12時を過ぎても、広場では沢山の家族がワイワイとピクニックを続ける。
ある晩は、広場でピクニック中に知り合った家族が、車で近くの川沿いの公園に連れて行ってくれた。
12時も過ぎた平日の真夜中なのに、川沿いもピクニック客で溢れていた。
水たばこをふかしていたり、カードゲームに熱中していたり、歌っていたり、踊っていたり。
真夜中のピクニック。
お酒が厳禁のイラン。
夜のピクニックは、日本のお花見の様にみんなが酔っぱらってグダグダになっている図ではなくて、
赤ちゃんもお母さんも、おばあちゃんもみーんないる、ほほ笑ましい家族団らんピクニック。
そりゃー、イラン人の昼寝姿をよく見かけるわけだ。

晩御飯にお呼ばれ。イラン人のママは本当に料理上手。
なんだかかんだで毎晩大忙し。
お酒も飲んでいないのにいつも午前様。
イスファハーンの粋な楽しみ方、夜のピクニック。
ガイドブックには載っていないけど、ぜひ。

マイポット持参のおじちゃんたち。これで何時間もおしゃべりができるね。


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