Apr,04,2013

トドラ渓谷に着くなり、先に到着していたあつし君から「明日クライミングに行きませんか?」と誘われた。

トドラ渓谷は垂直にそそり立つ岩壁に囲まれたクライミング天国。
旅に出る前はインドアクライミングにハマっていたけど、アウトドアクライミングは未知の領域だし、今ではロープの結び方ですらすっかり忘れている。
面倒臭がり屋で心配性な僕ら。きっと僕ら二人だけだったら何だかんだ言い訳をして敬遠していたに違いない。でもこうやって誘ってもらえると素直にアトラクションに参加しようという気持ちになる。
昔取った杵柄だ、やってやろうじゃないか。

そんなトドラ渓谷のクライミングは、さすがモロッコという大胆さだった。
簡単なロープワークの説明だけで、さあ登ってこいと放置される大胆さ。
素人をとりあえず高さ30mまで登らせてしまう大胆さ。
素人に気軽な感じでビレイ(確保)をさせてしまう大胆さ。
日本では絶対にありえないシチュエーションだけど、シメるべきところはちゃんとシメてくれて安全は確保されているので安心だ。


トドラ渓谷。

アウトドアスポーツって、最初の印象が大切だと思う。
始めてのアウトドアスポーツは、素人が出来る安全な範囲で一番すさまじい場所を選ぶ、というのが僕の持論だ。
トレッキングならヒマラヤあたり。
ラフティングならグレード5や6が組み込まれたルート。
ダイビングなら世界一と称される海。

訳も分からずいきなり凄まじいところに行ったら勿体無いという考え方もあるだろうけど、「絶対に安全な範囲で当たらず触らず」な体験でお茶を濁すのではなく、最初だからこそ「これ凄い!楽しい!」というそのスポーツのコアを感じられるような体験をしないと、自分がそのスポーツが好きなのかどうかすら分からない。
だから絶対に安全な範囲内でサワリだけをチピッと体験させる日本のアウトドアより、いきなりすさまじいところに連れて行ってくれる海外のアウトドアのほうが好きだ。


ビレイなんて4年ぶり。登るよりも緊張して手のひらが汗でビショビショになる。

久しぶりのクライミング、始めてのアウトドア、そして目の前に聳える垂直の壁。
颯爽と格好良く登れるはずがなく、轢かれた蛙のような無様な格好で壁にしがみついているのが自分でも分かるのだけど、だからといってビジュアルを気にして登る余裕なんて全くない。
なるべく下を見ないように心がけながら、でも怖いもの見たさにチラッと下を見ては湧き上がる恐怖心に「やっぱり見なければ良かった」と後悔しながら登る垂直の壁。
果てしなく遠くに見えるゴールに「もうやめようかな」という気持ちがちらりと掠めながら、「あつし君もようこも登ったのに僕だけギブアップするわけに行かない」という見栄を心の支えに登る垂直の壁。


僕が岩にしがみついているの分かりますか?素人がこんなところ登って良いんでしょうか・・・

上りきったときの達成感。
下を見た時の「え、こんなに高いところにいるの?」という恐怖感。
無事下界に下りてシューズを脱ぐときの開放感。
改めて下から見上げて味わう「あそこまで行ったのか」という満足感。

これは楽しくて気持ちがいい。
インドアクライミングに続き、アウトドアクライミングも大好きなスポーツの一覧に堂々仲間入りだ。


ねずみ男風の服(ジュラバ)を着てロバに乗るモロッコ人。これぞモロッコの風景。


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